わたしは日本語が大好きだ。
厳密に言うと、外国語も含めて、「言葉」というものに興味がある。
いろんな語彙を味わうのはもちろん、語源なんて大好物、ただ文字を眺めるだけでもよだれが出そう。
…というのはさすがに言いすぎかもしれないが、とにかく好きなのだ。なんでと言われてもわからない。
今、どこからか
「好きなのにこの程度の言語能力か」
という冷ややかな声が聞こえてきたけれど、「好きこそものの上手なれ」は怠け者の凡人には適用されないことを身を持って証明しているだけである。
新しい言葉を見て、もぞもぞする感じを覚えたときに、わたしは日本語を愛しすぎて頭が固くなっているなあ、と感じる。
今日はそんな「日本語ラブなわたしがもぞもぞする日本語」を3つ挙げたい。
念のため書いておくが、こういう言葉を使っている人を否定するつもりは毛頭ない。
◆◆ もぞもぞする日本語 ◆◆
(1)「そうなんですねー」「~じゃないですか」「~やんか」
まずはこれ!
--------
(例)
わたし「わたし、○○に住んでるんです(相手にとっては初めての情報)」
相手「そうなんですねー」
--------
もぞもぞっ!!
最初は美容室とかネイルサロンとか、柔らかな女性の園でよく聞く言葉だったように思う。
最近はかなり市民権を得てきたように思えるのであるが、最近読んだ三浦しをんさんのエッセイに書いてあって、「やっぱりなんか違和感覚えるよね!」と思い出したのである。
語尾が「ね」というだけで、相手が既知の情報のような気がしてしまうのだ。あれ、いつわたしそれ話しましたっけ、みたいな。
おそらく同様の理由で、「~じゃないですか」とか、関西出身の友人が使う語尾の「~やんか」も、初めて聞いたときはもぞっとした。
--------
(例1)
会話相手「この年になると、友達ってなかなかできないじゃないですか」
わたし「あ、そうなんですか…」
(例2)
友人「わたし、読書好きやんか」(意味:「わたし、読書好きじゃん」)
なんというか、これらの言葉の
「知ってるよね?」
感がどうももぞっとするのであった。言ってる当人たちにはそんなつもりがないのだろうけど。
(2)ものっそい
「ものすごい」の縮約形、もしくは早口言葉バージョンである。
これは「そうなんですねー」より歴史が新しい気がするが、それでも数年前から見聞きするようになった。
たしかに、「すご」が「っそ」になると、濁音がなくなって口をそんなに動かさなくていい…気がする。
同じような疑問を持っているひとがいるようで、こんな疑問が出ていた。
羽海野チカさんや筒井旭さんの漫画で、よく「ものっそい」って言葉が出てきますが、これって若い人の表現なんですか? それとも何か出所があるんでしょうか?(Yahoo知恵袋)
へえええ、香川では「ものっそい」って言うんだーーー。
でも方言というよりは、若者の言葉が台頭してきた感じがするな。テレビで芸能人が使っていたりするのだろうか。
この言葉、わたしとしては字面からしてもぞっとする。なんというか、しまらないかんじ。
もうそう(妄想)
ようこう(洋行)
ろうかつ(老猾)
--------
あれ?最後はあんまり癒されない?まあいいや。こんなかんじである。
あ、「もぞもぞ」も「お」段だな。
(3)「だょ」「今日ゎ」に代表される小さなひらがな
これはもう10年くらい前からだろうか。ともあれ、わたしが学生界を引退してからの言葉だと思う。念のためだが、退学ではない。
「だょ」と書かれると、他の表記と同じで前の音にくっついて、一音に見えてくるのである。「でゅ」とか「ちゅ」みたいな。
でも、「だ」にくっついているので、どういう音にすればいいのか頭の中が混乱する。
これに連動して「もょもと」ってどう発音するんだろう、っていうなつかしい疑問が思い出される。
(わからない方が多数だと思うので解説。昔のドラクエの裏技?で自動で決められる主人公の名前である)
ちなみに小さくできる文字は全部小さくするの?というルールもわからない。
たとえば、「おもしろいよ」はどうなるんだろう?「ぉもしろぃょ」?
7歳年下の妹にLINEで聞いてみたところ、「ぉもしろぃお」と返ってきた。
--------
わたし「語尾、『お』になるの!?」
妹「そぉだぉー!!『よ』を『お』にするとちょっとかわいいでそ?」
わたし「そぅですか…」
妹「ムズカシィぉね」
--------
むずかしぃ。最後には禁断の半角カタカナまで出てきた。
どうもわたしは型にはめたがるので、この表記のゆれには謎が深まる。
Wikipedia先生によると、こういう風に小文字で表記することを「小文字文化」と呼ぶそうだ。
やはり、2000年ころから始まり、脚光(?)を浴びたのは2006年くらいのように見られる。
小文字文化(Wikipedia)
小さくするには、1個よけいにキーを押すことが必要なのに、マメだなぁ…と思う。
(ちなみに「だなぁ…」の「ぁ」は理解できる。なんかこう、内側からにじみ出たかんじ。)
いつから始まったのだろう?と思ってさらにぐぐったところ、一番最初に出てきたのはこれだった。
「8時だョ!全員集合!」
…………………
も、もしかして約20年越しでリバイバルしたのだろうか??
流行は巡るんだなあ、と妙なところで納得してしまったのであった。
引き続き、もぞもぞする日本語を発掘し、勝手に突っ込む活動に鋭意取り組んでいきたい。
厳密に言うと、外国語も含めて、「言葉」というものに興味がある。
いろんな語彙を味わうのはもちろん、語源なんて大好物、ただ文字を眺めるだけでもよだれが出そう。
…というのはさすがに言いすぎかもしれないが、とにかく好きなのだ。なんでと言われてもわからない。
今、どこからか
「好きなのにこの程度の言語能力か」
という冷ややかな声が聞こえてきたけれど、「好きこそものの上手なれ」は怠け者の凡人には適用されないことを身を持って証明しているだけである。
新しい言葉を見て、もぞもぞする感じを覚えたときに、わたしは日本語を愛しすぎて頭が固くなっているなあ、と感じる。
今日はそんな「日本語ラブなわたしがもぞもぞする日本語」を3つ挙げたい。
念のため書いておくが、こういう言葉を使っている人を否定するつもりは毛頭ない。
◆◆ もぞもぞする日本語 ◆◆
(1)「そうなんですねー」「~じゃないですか」「~やんか」
まずはこれ!
--------
(例)
わたし「わたし、○○に住んでるんです(相手にとっては初めての情報)」
相手「そうなんですねー」
--------
もぞもぞっ!!
最初は美容室とかネイルサロンとか、柔らかな女性の園でよく聞く言葉だったように思う。
最近はかなり市民権を得てきたように思えるのであるが、最近読んだ三浦しをんさんのエッセイに書いてあって、「やっぱりなんか違和感覚えるよね!」と思い出したのである。
お友だちからお願いします(三浦しをん)
いったいなんなんだ、「そうなんですね」とは。こっちは「そうなんですか」と来ると予想して身構えているというのに、語尾が「ね」だったときの脱力感!まったくその通りなのである…!
語尾が「ね」というだけで、相手が既知の情報のような気がしてしまうのだ。あれ、いつわたしそれ話しましたっけ、みたいな。
おそらく同様の理由で、「~じゃないですか」とか、関西出身の友人が使う語尾の「~やんか」も、初めて聞いたときはもぞっとした。
--------
(例1)
会話相手「この年になると、友達ってなかなかできないじゃないですか」
わたし「あ、そうなんですか…」
(例2)
友人「わたし、読書好きやんか」(意味:「わたし、読書好きじゃん」)
わたし「あ、そうなんだ…知らなかったよ」
--------
なんというか、これらの言葉の
「知ってるよね?」
感がどうももぞっとするのであった。言ってる当人たちにはそんなつもりがないのだろうけど。
(2)ものっそい
「ものすごい」の縮約形、もしくは早口言葉バージョンである。
これは「そうなんですねー」より歴史が新しい気がするが、それでも数年前から見聞きするようになった。
たしかに、「すご」が「っそ」になると、濁音がなくなって口をそんなに動かさなくていい…気がする。
羽海野チカさんや筒井旭さんの漫画で、よく「ものっそい」って言葉が出てきますが、これって若い人の表現なんですか? それとも何か出所があるんでしょうか?(Yahoo知恵袋)
へえええ、香川では「ものっそい」って言うんだーーー。
でも方言というよりは、若者の言葉が台頭してきた感じがするな。テレビで芸能人が使っていたりするのだろうか。
この言葉、わたしとしては字面からしてもぞっとする。なんというか、しまらないかんじ。
なぜだろう、と少し思いを巡らせて、すべての言葉が「お」段になっているからだろうか?ということに気付いた。
「お」段の音はなんだか包容力がある気がするのだ。
長音と組み合わせるとその包容力(ほうよう、も両方お段の長音だな)たるや、聖母のようである。
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おおらか
こうだい(広大)
そうげん(草原)
とうげんきょう(桃源郷)
のうのう
ほうける(呆ける)もうそう(妄想)
ようこう(洋行)
ろうかつ(老猾)
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あれ?最後はあんまり癒されない?まあいいや。こんなかんじである。
あ、「もぞもぞ」も「お」段だな。
(3)「だょ」「今日ゎ」に代表される小さなひらがな
これはもう10年くらい前からだろうか。ともあれ、わたしが学生界を引退してからの言葉だと思う。念のためだが、退学ではない。
「だょ」と書かれると、他の表記と同じで前の音にくっついて、一音に見えてくるのである。「でゅ」とか「ちゅ」みたいな。
でも、「だ」にくっついているので、どういう音にすればいいのか頭の中が混乱する。
これに連動して「もょもと」ってどう発音するんだろう、っていうなつかしい疑問が思い出される。
(わからない方が多数だと思うので解説。昔のドラクエの裏技?で自動で決められる主人公の名前である)
ちなみに小さくできる文字は全部小さくするの?というルールもわからない。
たとえば、「おもしろいよ」はどうなるんだろう?「ぉもしろぃょ」?
7歳年下の妹にLINEで聞いてみたところ、「ぉもしろぃお」と返ってきた。
--------
わたし「語尾、『お』になるの!?」
妹「そぉだぉー!!『よ』を『お』にするとちょっとかわいいでそ?」
わたし「そぅですか…」
妹「ムズカシィぉね」
--------
むずかしぃ。最後には禁断の半角カタカナまで出てきた。
どうもわたしは型にはめたがるので、この表記のゆれには謎が深まる。
Wikipedia先生によると、こういう風に小文字で表記することを「小文字文化」と呼ぶそうだ。
やはり、2000年ころから始まり、脚光(?)を浴びたのは2006年くらいのように見られる。
小文字文化(Wikipedia)
小さくするには、1個よけいにキーを押すことが必要なのに、マメだなぁ…と思う。
(ちなみに「だなぁ…」の「ぁ」は理解できる。なんかこう、内側からにじみ出たかんじ。)
いつから始まったのだろう?と思ってさらにぐぐったところ、一番最初に出てきたのはこれだった。
「8時だョ!全員集合!」
『8時だョ!全員集合』(はちじだよ!ぜんいんしゅうごう)は、1969年10月4日から1985年9月28日に、TBS系列で毎週土曜日20:00 - 20:54(JST)に放送されていた、ザ・ドリフターズ主演の国民的人気コント番組である。(Wikipedia)
…………………
も、もしかして約20年越しでリバイバルしたのだろうか??
流行は巡るんだなあ、と妙なところで納得してしまったのであった。
引き続き、もぞもぞする日本語を発掘し、勝手に突っ込む活動に鋭意取り組んでいきたい。