2013-05-17

「オレがオレが」なミレニアル世代が世界を救う?



先日、図書館でこの表紙のTIMEを見つけて、熟読したくなって思わず買った。

1980年から2000年くらい生まれのいわゆる「ミレニアル世代(Millennials)」の人たちを「The  Me Me Me Generation」と名づけて、

・narcissistic(ナルシスト的・自分大好き)
・overconfident(自信過剰)
・entitled(評価されたいという姿勢。参考)
・lazy(なまけもの)

というデータが出ているけど、どうなんだろう?ちょっと年上の世代がこの世代の特徴を見ていこう!という記事。

Me Me Me Generationってすごい名前である。
日本語にしたら、「オレがオレが世代」「わたしがわたしが世代」とかになるだろうか。
世代論ねえ・・・・思いつつも、ここまでけちょんけちょんに言われてしまっては読むしかない
あ、はい。わたしもミレニアル世代の一員です。

まず、著者は
「これから、歴史の中で繰り返されてきた、年上が若者を非難することを、私もしていきますよー」
と、前置きしたあと、
「でも、これまで批判した親父世代の人たちと違って、オレデータ持ってるもん!!」
と、ミレニアル世代が上記のように考えられている根拠となるデータを持ち出してくる。

その根拠データは以下の通り。

・ナルシスト的人格が見られた人の割合が、65歳以上と比較して、20代では3倍(2009年)
・40%のミレニアル世代が、実績と関係なく2年ごとに出世すべきと考えている
・CEOよりも、アシスタントになりたいという女子学生が4倍(2007年)
・60%のミレニアル世代が、どのような場面でも自分が正しいと感じられると回答
・18歳から29歳までの若者は、配偶者よりも自分の親と同居している割合が高い(2012年)
・大きな責任を負う仕事をしたいと言っている若者が10年前と比較して、80%から60%に減っている

なんだかこの辺のデータ、日本で若者を草食系とか無気力とかパラサイトとか言うのと似ているなーと思ったところ、記事でも、
「グローバリゼーションで、世界中にSNSとか同じようなものが出回っているので、どの国でも似たようなものでしょう」
と指摘している。

しかしながら著者は、インターネットや携帯の普及で、情報やら人やらがあふれている社会では、人々とつながっていなきゃという気持ちも生まれるだろうし、埋もれずに人々に認識されるためには、いいね!みたいな評価(entitlement)を得たいだろうねえ、と理解を示している。
年上の世代にYouTubeがあったら、もっと大変だったでしょ!とも。
そして、ミレニアル世代はこんな人たちだとも書いている。

・熱心で、楽観的
・システムを受け入れる
・実用主義的な理想主義者
・夢を見ているよりはいろいろ試してみる人
・ライフハッカー
・世界は平等
・コンスタントに受け入れられている実感を得たい
著者は以下のように、年上世代から見たミレニアル世代の印象を記している。()内は私の注釈である。

They (millennials) are the most threatening and exciting generation (...) not because they're trying to take over the Establishment but because they're growing up without one. (...) The information revolution has further empowered individuals by handing them the technology to compete against huge organizations: hackers vs. corporations, bloggers vs. newspapers, terrorists vs. nation-states, YouTube directors vs. studios, app-makers vs. entire industries. Millennials don't need us. That's why we're scared of them.

IT革命により、ミレニアル世代はひとりひとりが力を持っていて、個人がこれまでの「Establishment」、大きな組織や団体を脅かす存在になりえる。
でも、ミレニアル世代はEstablishmentをのっとろうとして行動しているのではなくて、Establishmentを必要としていないのである。
私たち(著者が代表する年上世代)は必要とされていないから、彼らを恐れている、というかんじだろうか。
これは非常に的を得ている気がする。

この、「年上の世代が自分の世代を恐れている」っていうのを感じたことがある人はどのくらいいるのだろうか。
おそらく、あまりいないんじゃないかと思うけど、
「こんなことできないの(知らないの)?」
「ぐぐってみればわかるのに・・・・」
「なんで何かをするのにそんなに時間かかるんだろ?」


という、素朴な疑問というか、あれっという感覚を持ったことがある人は、結構いるのではないだろうか。


・・・・・・・・
あれ、わたしだけ?

しかし、日本のこのEstablishmentのミレニアル世代に対する見方は、もうちょっとゴマすってくれてもいいよーというような姿勢である。

「イクメン、弁当男子」は、なぜ出世できないか(プレジデントオンライン・・・・から消えてる!!)

ゴマをすらなかった結果、炎上→記事削除に追い込まれたのだろうか。
日本のミレニアル世代のパワーはすごい。(すべてがいい面ではないけど)


ともあれ、いまや、ミレニアル世代は、年上世代より、いろんな情報を手に入れられるし、端末やサービスも使いこなせるし、様々なコミュニティにアクセスすることも可能なのである。
こういう人たちを活用しないのって、社会の損失じゃない?
ちょっと上の世代の同じような人たちばかりが働いている環境だから、

「洗濯機+スマホ+クラウドを組み合わせたすごい製品作っちゃったぜ!」


みたいな悲劇がおこるわけで(参考)、この商品の企画段階に例えばミレニアル世代に忌憚のない意見を求めていたら、

「スマホもクラウドも無理に使わなくていいんじゃないでしょうか。洗剤の容器に目盛りありますし・・・・

と苦笑しながら(ちょっと申し訳なさそうに?)提案してくれるだろうし、また、毎日洗濯をしている人がいたら、

「いや、洗濯のとき一番大変なのってたたんでしまうことだから


と一笑に付してつっこめるわけである。


さらにタチが悪いなあと思うのは、
「じゃあミレニアルの意見を!」
となったときに、おじさま方は、

「ではお客様アンケートを」
「ではマーケティングデータを」
「ではコンサルタントを」

という発想に陥りがちなんだけど、ミレニアル、あなたの席の3m先にいますから。
そういう人たちの率直な意見を聞いて、生かさないなんてもったいない。


前回(参照)も書いたけど、オールドボーイズネットワークで固まっているところからは、同じような発想しか出てこなくて、イノベーションとか成長とか無理だろうなあと思う。


この取り組みみたいに、多様化を促進するような動きがどんどん広まるといいなあ。

イオン:女性管理職、20年に5割へ 出産、育児に配慮(毎日jp)

この動きの中で、女性手帳とか慰安婦は仕方ない、とか言っちゃうどうしようもない政治家や、つまらないヤジや見栄もついでに駆逐できないかな。

オヤジギャグはなごむので、存続を支援したい。
たまになら。


(2013/5/27追記)
「app-makers vs. entire industries 意味」という検索ワードでこのブログをご覧になった方がいるようなので、もしもう1回このブログを見ていただく機会があるなら・・・・と思い、追記しておきたい。

app-makersというのは、字面通りとるとスマートフォンやタブレット向けのアプリケーションを作っている人たちのことだろうけど、entire industriesと対比しているということは、おそらく、YouTubeや、Netflixとかの新しいメディア・サービスのことも指していると思われる。

こういう新しいサービスで既存の業界(entire industries)が脅かされている例としては、

Youtube vs. テレビ(地上波、衛星、ケーブル)、音楽業界
Netflix、Hulu(動画ストリーミングサービス) vs. テレビ、映画業界
Pandora、Spotify、Songza(インターネット音楽ストリーミング) vs. ラジオ業界、音楽業界
Kindle(電子書籍) vs. 出版業界
Skype、LINE、Viber(無料音声通話、メッセージング) vs. 電話会社、携帯会社(もしかしたらハガキ、郵便会社とかも?)

さっと考えただけでもこのくらいある。
これまでの業界の常識を打ち破るアプリケーションがミレニアル世代によって作られて、それによってEntire industries=Establishmentと思われている業界に結構な打撃を与えているということですな。
この辺得意なので、ご質問いつでもお受けします!


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