2014-12-24

お騒がせ映画、「ザ・インタビュー(The Interview)」を観たよ

なんで「ジ・インタビュー」じゃないんだろう…という疑問はとりあえず置いておきます。
この事件、毎日のようにアップデートがあって目が離せない。
「公開中止!」→「圧力に屈するな!」→「言論の自由!」とか言い出すいかにもアメリカンな経緯をたどったこの映画。オンライン配信されていたので観ることにした。

我が家はXboxで観た。これを書いている時点では、他にもGoogle PlayとYouTubeで観られるそうだ。NHKいわく、日本では観られないらしい。

いやー、とにかく、これまでに観たことないくらいのおばか映画だった…(あまり映画を観ないので、というのもあるが)
「金正恩の暗殺映画」とか書いてしまうと、なんだかシリアスな手に汗握るサスペンス映画を想像するが、全然そんな感じじゃない。どたばたおばかコメディーである。
くわしいストーリーはこちら。町山さんがおっしゃっている通り、この映画で北朝鮮が釣れたこと自体がまずネタだし、むきになるアメリカ政府やら「言論の自由だ!」とか言ってる人たちも、すべてが次回作に向けた壮大な仕込みなんじゃないかと邪推してしまうくらいだ。
「言論の自由だ!」と拳を振り上げていた人たちが「勝利!」とばかりに実際に観てみたら、まるで実家で流れていたテレビに突然ラブシーンが出てきたかのような、なんともいえない微妙な雰囲気がその場に漂うことが容易に想像できる。実際、無駄(?)なポルノシーンもあるし。

ということで、日本で公開されるかどうかわからないけれど、「観る価値があるか?」って言われたらどうだろうなあという感じである。少なくとも、映画館で観る必要はまったくもってない…
おばかの裏にはたぶん強烈な皮肉があるのだが、見たあとに何も残らないお笑い番組のように、うすっぺらいおばかの勢いが何よりも勝っている。やっぱりこれに釣られたという北朝鮮(なのかなあ?)のレベルは推して知るべしとも言えるのだろう。そして売られたケンカは種類を選ばず買っちゃうアメリカさんよ…

本当の「自由」はおばか映画をおばかだと言える環境なんじゃないだろうか。なんちゃって。

2014-11-27

アメリカの車社会に屈した日 ~車、買っちゃいました~

わたしは車所持否定派である。そんな派閥があるのかは知らないが。
車はそれ自体も高いし、保険も駐車場もかかる。ガソリン代も気になる。
東京近郊は本当に公共交通機関が便利で、渋滞や、駐車場を探すわずらわしさを考えると、電車で行くより車で行く方が早い!という場所があんまりないような気がする。大江戸線とか京葉線とかめんどくさいけど、なんだかんだで電車のが早かったりすると思う。

ということで、買いたいものリストに「車」という項目が出てくる機会がここ十数年なかったのだが、少し前に郊外に引っ越してからというもの、さすがに生活に不便が生じてきた。
よくよく周りを見ていると、アメリカ郊外…というか、ニューヨークの地下鉄圏外に住んでいる人は、だいたいみんな車を持っている。その理由がわかってきたのである。

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(1)公共交通機関の品質が悪すぎる
マンハッタンに住んでいたころ、地下鉄の不安定さにぶーすか文句を言っていた。今読むと東京の水準が忘れられていなかったんだなあと思う。(過去記事 『ニューヨーク地下鉄との終わりなき戦い』
…が、ここ、首都の公共交通機関に比べたら、ニューヨークの地下鉄なんかかわいいものだった。
ワシントンDC近郊を走る地下鉄は、車両も線路も大してメンテナンスしてないし、乗り心地を考えた運転をしてくれないので、がたがた揺れて、10分ほどの乗車時間にもかかわらず、毎日ほぼ100%酔う。週末は始発が朝7時、運が良くても電車の間隔は20分おきくらいになる。
さらに、空港や免許センターやコムキャストみたいなほぼ公共施設に公共交通機関で行きづらい。25分電車に乗ったあと、降りて20分歩くとか、30分おきのバスに乗り換えて1時間以上かけて行かなきゃいけないとか…
そんな場所が、「車だったら20分」と出てくるのである。これは車所持を前提で街を作っているんじゃないだろうか、ということに気づいたのだった。

あと、電車のマナーが東京のように確立されていないので、車内は混む。せっかくあるつり革も使い方がわからなくて、みんな棒を確保しようとする…
東京メトロのみなさん、新しいビジネスとして電車の乗り方コンサルタントなんてどうでしょう。

(2)車で移動しやすい
車だったら15分でも、東京みたいに駐車場探すのに苦労するんだったら意味がないのだが、さすが土地だけは余ってるアメリカ、郊外だったら駐車場探しに苦労することはない。
駐車スペース空きまくり。
道路わきの駐車スペースも空いていることが多いし、いたるところに州の公営駐車場があって、25セントで12分という安さな上に、夜間、土日は無料である。
もちろん、お店にもだいたい駐車場がついている。

(3)ガソリンが日本より安く、電車が日本より高い
ガソリン代が日本よりかなり安い。今日は1ガロン2.799ドル(ソース)。

1ガロン=3.785リットルなので、1リットル0.74ドルである。今は円安だけど、それでも日本の半額くらいじゃないだろうか。日本車が燃費改善を追求している理由もここからもわかる気がする。
ちなみに郊外の我が家から電車でDCの中心地へ行こうとすると、片道3ドルほどかかる。往復6ドル、割引はほとんどない。毎日乗ろうがなんだろうが、ふつうの民間人に割引はないのだ。(公務員はあるっぽい?)
6ドルということはガソリンが8リットル買える。よほど燃費の悪い車でなければ、10km足らずの距離に、これだけのガソリンを消費することはないだろう…
ともあれ、公共交通機関の高さやしょぼさ、ガソリン税の優遇っぷりは、自動車業界のロビイストの手腕を称賛せざるを得ない。

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つまるところ、アメリカは、「便利に生活したいなら車を買え」ということである。
その思想に屈するのは公共交通機関を心から信頼する日本出身者としてちょっと悔しいが、これ以上、東京にいたころの気持ちをひきずって車を買わないのはなんだか現実をちゃんと見ていない気もする。田舎の実家にいたころは、車を持つことに疑問を抱かなかったじゃないか。ということで、ついに買ってしまった…

なんとなくハイブリッドで地球環境を意識してみた。アメリカの流行に踊らされている気もするが、ともあれ、これで行動範囲が格段に広がったのはたしかである。

最近、アメリカでも若者の車離れだったり、シリコンバレーのバス通勤がクール!みたいな風潮があったりもする。

Millennials Don't Care About Owning Cars, And Car Makers Can't Figure Out Why(Fast Company)
「グーグルが運営する通勤バス」をめぐるさまざまな問題(WIRED)

のしかかる教育ローンを考えると車買えません…というのはわかる。しかし、こういう場合でも、もし若者が田舎に住んでいたら、日本の地方都市と一緒で、親世代から古い車をもらってたりするんじゃないだろうか。
シリコンバレーのバス通勤も、「住んでるところがサンフランシスコだからできるんだよねー」と今のわたしはうがった視線を送ってしまうのである。
さらに、アメリカでは公共交通機関が便利なところほど、車を買えないような低所得者層の人が集うという問題もあるそうで、日本ってやっぱり平和だよなあと思わざるを得ない。

これからもしアメリカに来る人で、「絶対に車持ちたくない!」という人は、治安とか家賃とかの問題も飲み込んで、とにかくその都市の中心地付近に住むことをおすすめする。きれいで家が広くて家賃がお手頃だからという理由で、うっかり郊外なんかに住んではいけない。わたしのように…
でもきっと、都市中心地でも車なしではきついってところがたくさんあるんだろうなあ。アメリカはやっぱり広い。


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(2015/4/3 追記)
DC近辺でも「若者の車離れ」は深刻で、いわゆるミレニアル世代に住んでもらうには公共交通機関が絶対に必要だ、という記事を見つけたのでご紹介。

Suburbs such as Montgomery County rethink transit to court millennials(Washington Post)

この記事で出てきているMontgomeryカウンティーというのは、DC郊外の高級住宅街。もともとかなりハイソな場所なのだが、車必須という環境は若者にとって全然魅力的じゃない、という話だ。記事の中に出てくる人の「地下鉄の駅があるから中華街(※あんまり治安がよくないといわれている)に決めた」というところが、おそらくこれまでの価値観と間逆なのだろう。

「使いづらいから公共交通機関を使わない→赤字→整備できない→ますます使わない」というループに入っちゃってるような気がするこの辺の公共交通機関。ともあれ、もうちょっとなんとかなりませんかねー。日本のテクノロジーがんばれ!

2014-11-11

車でアメリカ・カナダ国境を越えてみた


天高く馬肥ゆる、短くはかない東海岸の秋だ。容赦なく暑い夏、長くて寒い冬の間の素晴らしい季節である。当然、行楽シーズンである。
しかし、トロント・ナイアガラ旅行の予定を直前に立てたところ、飛行機がひとり400ドルくらいであまり安くない。ということで、初めて車を借りて旅行へ行ってみることにした。
わたしの手元には期限が切れた国際免許証…ニューヨーク州免許を持っている夫に全面協力を仰いだ。

車はEnterpriseで借りた。
遠出するし、燃費のいいハイブリッドカーがいいよねえ、ということで日本が誇るプリウスをオンライン予約していたのだが、当日営業所へ行ったところ、
「昨日の夜、事故にあってひどい損傷なのでプリウスが貸し出せません。別の普通の車でもいいですか?」
との宣告。あてがわれたのはヒュンダイのセダンであった。最初から予定が狂うのがさすがのアメリカクオリティー。ナビと呼ぶにはしょぼすぎるナビをオプションでつけて、いざ出発!

なんせ車を持っていないので、勝手が全然わからない。この道、みんな100km/hくらい出してるけど、高速道路…なの??お金どこかで払うの?

助手席でぐぐってみると、アメリカには日本的な有料道路はあまりないようである。じゃあサービスエリア的なものは?と思ったのだが、ないと言っていいだろう。幹線道路の出口の手前に、フォークやガソリンスタンド、ベッドのシンボルが書かれた看板が出てくる。それを見て大きな道路を降りるとたいてい細い地元っぽい道がつながっていて、ちょっと走ったところにガソリンスタンドやファーストフード店やファミレス、モーテルが並んでいる。無料だから別に何度降りようといいのだろうが、ちょっとめんどくさい。
たまに道路の出口のすぐそばにガソリンスタンドやファーストフードのお店が展開されているところがあって、そういうところは日本のサービスエリアに近い。地元のおみやげを売っているところは本当に数が限られるが、ゼロではなさそうだった。

地方のガソリンスタンド。土地が有り余っている感満載。

ガソリンスタンドにはたいていコンビニ的なものが併設されている。当たり前だが、品揃えに期待してはいけない。ジャンクフードばっかりである。サブウェイ、マクドナルドなんかも多いが、とにかくスナックやらファーストフードやら、こってりぎとぎとなものばっかりで代わり映えしないので、長いドライブの最後には食欲がなくなる。うどんからメロンパンまで幅広い品揃えを提供する海老名SAや上里SAはやっぱりすごいと思わざるを得ない。(※注:日本の素晴らしいサービスエリア。念のため)

このコンビニ、車のメンテナンス用グッズもたくさん売っている。
近所の人達にとって、コンビニとファーストフードと車用品店が合わさったような存在なのだろうか。

DVDやゲームのレンタルができるRedboxが設置されているところもあった。
日本の地方だと蔦屋書店(TSUTAYAではないところがポイント)がででーんと構えていたりするが、アメリカでは自動レンタル機になってしまっているようだ。

たまに有料道路もあるが、全体の行程からすると本当にちょっとだけの区間である。日本だと有料道路の料金を自動で精算するETCがあるけど、アメリカ東海岸にはEZ Passというものがあるらしい。

ちょっとこの写真だとわかりづらいが、EZ Passもしくはクレジットカードで支払うところと、キャッシュで支払うところのレーンがわかれている。
わたしはレンタカーだったし、システムがよくわからなかったのでキャッシュのところに行って払ったが、結局カナダまで3ドルくらいの金額を1,2回払っただけだった。800キロくらい移動していることを考えると日本とはだいぶ道路システムが違うなあと思わされる。安かろう悪かろうだけど…

家を出発して10時間ほど、とっぷり日も暮れて雨がふりだした頃、やっとニューヨーク州とカナダのオンタリオ州との国境に到着。国境をまたぐ橋のその名はレインボーブリッジ。お台場の橋とどっちが先に名前をつけたのだろう…と思ったが、世界中に同じ発想の人がいるのだろう。橋を渡るときに、3ドル渡した。カナダドルなら3.25ドルと書いてあった。

その後現れた入国審査の感じのいい人に、「武器は持ってないか?」みたいなことを聞かれた。平和を愛する一般的な日本人が持っているわけがないが、アメリカからカナダへ行く人には持っている人がいるかもしれない。

今回、カナダのワーホリビザの許可証(?)を持っている妹も一緒に行ったところ、横の建物へ行くように言われた。建物がおしゃれで、カナダの玄関口としてのこだわりを感じさせる。その中でわたしたちはスタンプを、妹はビザのようなものをもらって、無事カナダへ入国!
カナダに入った瞬間、道がきれいになった気がしたが、カナダひいきのわたしの気のせいかもしれない。

これは帰り道。アメリカへの入国はお昼すぎくらいだったので、なかなか混み合っていた。
カナダとアメリカの国旗がかかげられているところが国境だった。来るときには混んでいたので全然気づかなかった。
帰りの入国は「カナダで何か買った?」と聞かれて、「買ってない」と答えたらそのままスルー。スタンプすら押されなかったけど大丈夫なんだろうか…

結局、途中の観光や休憩も込みでトロントまで12時間の長時間ドライブだったが、飛行機のときに気をつけなければいけない荷物関係、重さや液体物の仕分けを気にしなくてよかったので、車で行くのも十分選択肢のひとつとなり得ると思う。
費用面もお手頃である。レンタカー代はプリウスじゃなかった分安くて、税込みで1日40ドルしないくらい。ナビのオプションが1日10ドル、ガソリン代は1リットル1ドルくらいで、日本よりかなり安く感じる。結局3人で200ドル強で行けてしまった。

…というか、道中「リアル大草原の小さな家」をたくさん見たので、「車という選択肢がある」なんて話ではすまされないのかもしれない。延々と続く長い道と変わらない雑木林や枯れたとうもろこし畑の景色に、とにかくアメリカの広さを実感させられた。
アメリカが車社会である理由がちょっとわかった気がする旅行だった。

2014-11-02

カラーランをラン!(ときどきウォーク)

インドのホーリーというお祭に行ったことがある。
ホーリーとは色のついた粉をつけあうというお祭りで、赤青黄色といった原色びかびかの粉を手いっぱいに握りしめて投げつけたり、そっとなすりつけたり、水鉄砲に仕込んで人を打ったり、たまにかけられた色水からはアンモニア臭がしたり…と、何を言っているかよくわからないと思うが、そんなお祭である。

このホーリーに影響を受けて作られたのがカラーランである。(元ネタはホーリーだけではないっぽいが)
このカラーラン、5kmの距離を色まみれになりながら走ったり踊ったりしながら駆け抜けるイベントで…これまた何を言っているか全然わからないと思うので、実際に写真を貼り付けながら紹介したい。

今回、ワシントンDCのカラーランに参加したのだが、スタート地点はナショナルズパークというDCの東南のはじっこにある野球場のすぐ横だった。スタート時刻、9時の気温は多分摂氏10度くらいで寒い。目の前の人、半袖ですけど…

スタート地点には櫓みたいなものがあって、男性はMCをし、女性は国歌斉唱を担当。こういうイベントで国歌を歌っちゃうのが国民性の違いだよねえ、と思いかけたのだが、さすが住人が各国からの寄せ集めでリベラルなワシントンDC。あまり歌声は大きくならなかった。


9時ちょうどにスタート。野球場の中を走って行くのはなかなか楽しい。スクリーンに映し出されたランナーたちは思い思いにポーズをしていた。わたしはカメラの位置がいまいちわからなくてスルー…いや、あの大画面で自分の全身を見たくないというのもあるが。

球場の中を抜けて、駐車場の方にちょっと走ったら最初のカラーポイント。紫である。

おそらくボランティアと思われるスタッフの人たちが、ボトルに紫色の粉を詰めて、ランナーたちに振りかける…という優しいやり方ではなく、ボトルを水平に動かして、粉を投げつけるような感じである。
あたりにはもわーんと紫の粉が漂う。あんまり吸い込まないようにする人もいたが、口に入っても大丈夫な素材でできている粉はあんまり味のしない生の小麦粉のような感じだった。(つまり、食べた)

続いて青のカラーポイント。
ボランティアスタッフの人たちが拍手をして出迎えてくれる。

しかし青のポイントはランナーが多かったこともあり、粉をかける人の数が不足して、あんまり粉がかからなかった…

続いてピンク。カラーポイントが立て続けに現れる。カラーポイントは1kmごとに設置されていると思い込んでいたのだが、青のポイントからたぶん300mくらいしか走ってない。思うに、球場の中では色をかけられないので、外のエリアで集中的に色をかけているのだろう。

ピンクエリアは粉かけボランティアの人とタイミングがばっちりだったので、一気に全身がピンクに染まった。

その後、球場の側道を折り返して、再度球場の中へ。

この写真でご覧いただけるだろうか。球場の中を登っていく。駐車場かな?と思ったのだが、おそらく3,4階建ての球場の中を移動するための通路なのだろう。

最初は上りでつらい。下ってくる人たちがテンション高く、「Come on!」とか「Keep going!」とか声をかけてきて、ハイタッチを求めてくる。

スタジアムの客席上部の通路へ出ると、しゃぼん玉の機械があった。色はだめだけど、これはOK出たのだろう。

車いすやベビーカーを押しながら走る人たちも一緒に走ったり、歩いたりしている。

球場を抜けたあと、赤のカラーポイントがあった。ポイントを示す空気の入ったゲートがしぼんでしまっていて、後ろでスタッフの人が一生懸命発電機を動かそうとしていた。

バンドの軽快な音楽がランナーを応援。

赤の粉もばっちりくらった。ここのポイントはボランティアの人が多かったような気がする。

子供づれもたくさん。

ランナーの後ろ姿の写真ばっかりだったので、ちょっと振り返ってみた。

あれ、もう!?という感じでゴール。かなり歩いたのに、出発から45分くらいだった。5kmってこんなもんなのねーという感じである。

ゴールでは色の粉が入った袋や、お水、ナッツバーなんかが配られた。
ステージではこれからパーティーだよーとスタートとは違うMCの人と、カラーランのゆるキャラが場を盛り上げている。到着してすぐくらいに、カウントダウンが始まり…

0になった瞬間、そこにいた参加者がもらった粉を振りまいた。すごい粉!煙幕のようになった。
そこからはステージに上がる参加者もあり、踊る参加者もあり、の1日遅れのハロウィンパーティーのようである。

帰る前、スタッフの人が道の枯れ葉を吹き飛ばす機械で粉を吹き飛ばしてくれたが、全然完璧には落ちず、色まみれのまま地下鉄に乗った。地下鉄では「あ、カラーラン?」と声をかけられる人もいて、なかなか知名度は高くなってきつつあるように見受けられた。

ともあれ、ひきこもりで走るのとか無理無理、と思っていたわたしですら「短い!」と感じられる5kmで、「Happiest 5k」のコピーも伊達じゃないな、と思った次第である。参加費が55ドルくらいするのだが、Tシャツなどの特典がついてくるし、歩いても大丈夫な雰囲気だし、リアルホーリーみたいにアンモニア臭がする水をかけられる心配はしなくてすむし、また参加したいなあと思ったのであった。

2014-09-13

ハウスワイフ2.0よりオールワーカー2.0じゃない?

ある日の友人たちとのLINEのやりとりがものすごく切実で胸が痛んだので、これはインターネットの片隅に残しておきたいと思ってキーボードをぺこぺこ叩いている。
彼女たちは東京の企業で働いているのだが、それぞれ1歳弱から2歳くらいの子供がいて、出産後に産休と少しの育休を取ったあと、会社に復帰した。それぞれ1日4時間から5時間の時間短縮勤務、いわゆる「時短」をしている。

彼女たちの悩みは、ひとえに、残業大国日本において、時短で働くことに起因している。具体的にはこんなかんじだ。
「フルタイムのときのクオリティは物理的に絶対無理なのに、周囲の期待値はフルタイムの時と同じ」
「フルタイムのときの100%の出来を自分でも求めて、私の仕事はこんなじゃない!と思ってしまう」
友達のことをほめちぎるのもなんだが、彼女たちはみんな仕事への意欲があって、職場でも高く評価されている。そんな彼女たちが「時間的制約のせいで、思い通りに仕事ができない」と悔しがるのはよく考えてみれば自然の摂理だった。
子供が生まれたばかりの頃は「かわいいし、仕事したくない」とか言ってたが、根がまじめだし働くことが好きだから、いざ会社での仕事に復帰してみると「時短だし、適当でいいでしょ〜」なんて割り切ることができないくらい、彼女たちは仕事にも育児にも熱心なのだ。
よく、「時短の人は周りを頼りましょう!自分がいなくても仕事が回る体制を作りましょう」とか言うが、その辺についてもうまくいかせるのが難しいみたいだ。
「働く時間が短くて、忙しい周りの人と顔を合わす時間も限られるから、タイムリーに相談できない。さらに相談すらできない自分がふがいない」
「いない間のキャッチアップで午前が終わる。こっちの仕事の状況を話す暇も、向こうの状況も聞く間もなく、打ち合わせが始まる」
「メールが見切れない」
「限界まで自分でやろうとしてしまって、最終的に周りが見かねて助けてくれるんだけど、最初からお願いしておけば相手も楽だったんじゃと落ち込む」
うわー、話す時間がなくて、メールも見切れないって、有効な情報共有手段がない。さらに、時短だからこそ、できるところまではやらなければと思ってしまうのだろう。「甘えるの難しい。女子力低いし、いままで甘える人間の真逆のポジションにいた…」という友人の言葉には、みんな画面の前で「たしかに」とうなずいた。(と思う)

フルタイムのときのクオリティは無理、というのはどうだろうか。時間が短くても、なんとか品質を上げることはなんとかできるんじゃないだろうか…?という希望的観測も、ばっちり撃ち落とされた。
「考える仕事のアウトプットが出せない。アウトプットに一番満足していないのは自分自身」
わたしは、「身体を動かす仕事はフルタイム時代と同等のことができないかもしれないけど、考えることならできるんじゃないかなあ」と勝手に思っていた。
しかし、例えばわたしの場合、考えるためには正しい情報に基づく状況の把握と、その上での持論が必要だ。持論を導くためにいろんな情報を集めて考える結果を出して表現することには時間がかかる。その情報収集や理解には自分で考えているより時間がかかるし、体力も使うものなのかもしれない、と気づかされた。
「絶対にフルタイムだったときの自分には到達できないからいろんなテクニックが必要」
と友人たちは気づきを述べる。まったくその通りだ。今までと同じように資料を探して、読んで、考えて…というやり方を変えなければいけない。でもどうすればいいんだろう?という悩みの渦中に彼女たちはいる。
よく言われているフレックスとか、家でも仕事をできるようにする、という案を思いついたのだが、夜11時にもメールが来ていた自分の生活を思い返し、乳飲み子を抱えながらそんな生活は無理だろうと思い…っていうかそういう生活、誰がしていてもやっぱりおかしい。
「残業大国、男性天国の会社においてくじけそう」
「分速での仕事量は相当のはずなのに…」
男性社会、長時間労働がほめそやされる場所でくじけそうになるのはものすごくわかる。
こんな彼女たちの悩みを聞いて、わたしは、
「みんなががんばることに価値があって、がんばることで後の世代とか、子供の世代が生きやすくなるんだよ」
としか言えないのであった。


しかーし。そんな「がんばっていた母親」を反面教師にして、ちょっと貧乏でもいいからオーガニックで手作りの生活をしようとするのが、アメリカでちょっと前から話題の「ハウスワイフ2.0」である。

ハウスワイフ2.0(エミリー・マッチャー)

ウーマンリブ運動の影響を強く受けたハウスワイフ2.0たちの母親世代は、ばりばりと仕事をこなし、「家事はお金で解決」という姿勢だった。アメリカに来てみて驚いたことのひとつに、冷凍食品や保存食品のコーナーが異様に広いことが挙げられるのだが、あの大きな冷凍食品の棚にはこの時代背景も影響しているのだろう。家事なんかダサイ、みたいな風潮があったみたいだ。

母親は「働くのが当たり前だから、就職に苦労しないように」と教育に力を入れて、いい大学に進ませるのだが、そんな母親の背中を見て育った娘たちは、「お母さんはいつも忙しそうだし、ご飯はおいしくないし(想像)、こんな生活って本当に幸せなのかなあ?」と疑問を感じてしまう。

不況も手伝って、せっかくがんばって勉強したのに専門性を活かせない、やりがいのない仕事にしか就けない。家庭を持ちたいけど長時間労働だし子供を預けたらめちゃくちゃお金がかかるし夕飯は毎日冷えたピザだし(想像)……ああああ、もうめんどくさい!!!仕事やめて家に入る!!!

外で働いてないけど家で野菜とか鶏とか(!)豚とか(!!)育ててるし、ほとんど自給自足。だってスーパーで売ってるものなんて、どう育てられたかわからなくて怖い。冷凍食品なんてもってのほか、ほら、焼きたてのキッシュっておいしいでしょ?学校なんてどんなモンスターペアレントがいるかわからないし、できない子に合わせられちゃうから、子供には私が家で勉強を教えてあげるの。手芸品は白っぽい写真を撮ってEtsyで売ろう。空き時間には素敵ライフをブログで発信。あ、またコメントついてる。ああ、忙しいなあー。

……
…というのが、わたしから見たハウスワイフ2.0である。ちょっととげがあるように見えたらごめんなさい。
「食べ物はおろか、子供の教育ですら他人にはまかせられない!」という意識の高いハウスワイフ2.0たちの生活だが、田舎大好きでぐうたらしているわたしなのに、「豊かな生活でいいなあ」とは思えない。
なんだか「社会が信じられないから自分が!」というところに、鼻息の荒さと世捨て人感とストイックさと自分勝手さと自己顕示欲が透けて見えて、最終的には「家に遊びに行くとき、どんなおみやげ持ってけばいいかわからん…」という状態になるからである。ハウスワイフ2.0の前では、オサレオーガニックスーパーWhole Foodsですらだめ出しされるんだろなあ。外食もできなそうだ。

本の中でも、ハウスワイフ2.0たちが求める社会というものは、家の中にいるだけでは絶対に訪れないと書かれていて、心から同意した。
家庭の変化は大切だけれど、すべての変化が家庭の中だけで終わってしまってはもったいない。(中略) 女性が外で働くのをあきらめてしまったら、会社がいまと何も変わらず、職場での女性の発言権もなくなってしまう。わたしたちは、職場に踏みとどまって、男性と同じ給料や、適切な産休や、人間らしい勤務時間を手にいれなければならない。男性のために働くなんて馬鹿馬鹿しいと、仕事を辞めてしまったら、会社も社会も改善されないままだ。
ああ、本を読み始めたとき、友人たちに仕事もがんばれ!と言ったばっかりにその子供たちが働くのめんどい、と思ったらどうしようとか思ったけど、こういう結論になっていて本当によかった…とひそかに胸を撫で下ろしたのであった。

一方でこの本は、自立と人を頼るバランスがうまいなあ、と思ったし、社会への貢献といった面も言及されているので、悩んでいる友人たちにプレゼントしたいなあと思った。

 

著者の会社は育児や介護等、さまざまな事情を抱える社員がこれから増える中、残業を減らしても売上を維持もしくはアップさせることは可能だとしてコンサルティングを提供しているのだが、そんな著者から見て、日本社会はちょっとずつ変わってきているという。
もしかしたら皆さんは、「でもやっぱり、うちの会社は変わらない……。こういう環境で頑張り続けることに疲れてしまった」と思うこともあるかもしれません。でも、日本社会は今、確実に変わってきているのです。(中略) 創業して約8年たつのですが、弊社から営業の電話をしたことは一度もありません。900社のクライアントはすべて先方からの問い合わせで受注しました。とても強い危機感を持って、経営者自ら「うちの働き方を変えないと!」とご依頼いただく時代になったのです。(中略) 現在コンサルを提供している企業は、陸海空の運送、自動車部品、重電、製薬、エネルギー、ソフトウェア、食品、住宅、そして不夜城といわれた中央省庁など、多岐にわたります。変わらない業界なんてないと思います。
ここまで書いてみて、結局日本もアメリカも、父親や社会制度を始めとする一緒に子供を育てる人だけでなく、職場や同僚の協力はとても重要であるということを再確認した。
前出の友人のひとりは、「同僚と今の仕事がわかるようにExcelで共有するようにした」と言っていたが、なかなかいい第一歩だと思う。こういう、「みんなで協力しよう!」というのはアメリカよりも日本の風土の方が受け入れられやすいと思う。
道を拓くのは女性だけの努力じゃない。周りにいるすべての人の協力や、社会制度だと思う。ということで、ハウスワイフ2.0じゃなくて、オールワーカー2.0じゃない?と思ったのだった。

世の中の母のみなさん、自分で背負いすぎなくていいんだよ。あなたたちの苦労や努力は、確実に社会を変えています!


◆関連過去記事
ネイティブ女子との会話から考えるアメリカの少子化(の予感)
この会話の中に出て来る友人アメリカ人女子たちと比べると、ハウスワイフ2.0たちは、「外で働くことからは逃げるけど、社会からほめられそうなことをして、自分の選択を正当化している」だけのようにも見えるんだよなあ…

2014-08-16

宇宙兄弟!航空宇宙博物館!アイスバケツチャレンジ!

今更で申し訳ない…『宇宙兄弟』がめちゃくちゃおもしろい。


ブームになっているときは横目でチラチラ見ていただけなのに、モーニングで1話目を読み、Kindleで期間限定3巻まで無料だったので、思わずポチったら見事にはまってしまった…

あまりにおもしろかったので、スミソニアンの航空宇宙博物館へもう1回行ってしまったくらいだ。
ブライアン・J(注意:作中の英雄的宇宙飛行士)はいなかったけど、エンデバーの最終打ち上げの映像に見入ったり、アメリカとロシアの宇宙開発競争について思わず熟読したりした。た、楽しい…

おおっ、これは日々人も着ていた与圧服ですな!
作中で出てきたとき、「なんで打ち上げの時にはこれを着てるのに、宇宙に行ったら脱いでるんだろう?」と思っていたんだけど、解説によると、1986年のチャレンジャー号の事故を受けて、発着陸時の不測の事態から飛行士たちを守るために作られたのだそうだ。なるほど…

こういうシーンもあったなと思ってぱちり。

月の上を移動する車。こう見ると超シンプル。

宇宙服。地上で着たら、めちゃくちゃ重そう…と思って見てみたら、やっぱり100kgくらいあるらしい。うひゃー。

ドッキングしたアポロとソユーズ。
恥ずかしながら解説を読むまで知らなかったんだけど、この時代のアメリカと旧ソビエトの宇宙開発競争はほんとに激しい。1960年代後半という、今よりもいろんな面で遅れていたであろう時代に、毎月(毎「年」ではない!)のように宇宙に何かしらのものを打ち上げていたなんて、ちょっと信じられない。今よりも全然お金がかかっただろうしなあ。
そして開発「競争」から「協力」の時代となって、その結果として上の写真のアポロとソユーズがあるわけだが、すぐ後ろにはひっそりと、「2002年、アメリカとロシアは核兵器を減らす合意書に調印をした」みたいなことが書いてあった。
「なくす」じゃなくて「減らす」というところに、冷戦が完全に終わったわけじゃないんじゃ…と不安になる平和ぼけの日本人はわたしだ。

ところで本編の中で出てくる難病「ALS」だが、最近、ALSの認知度を上げるための「The Ice Bucket Challenge」という活動が行われている。

ALS Ice Bucket Challenge Takes U.S. by Storm(ALS Association)

これは指名された人が、氷水を頭からかぶるか、100ドル寄付をするかしなければいけないという取り組みなのだが、かなり大物も氷水をかぶっていてなかなかおもしろい。大物たちはもちろん、水をかぶるだけではなくて寄付もしているようだ。

The best Ice Bucket Challenge videos (The Verge)


The Vergeのこの記事には、主にテック系の人たちのチャレンジがまとめられていておもしろい。ビル・ゲイツとAmazonのジェフ・ベゾスのやつがなかなか洒落が聞いていてお気に入りだ。大好きなジミーさんも!


ということで、ビル・ゲイツの動画を貼っておきます。

ちょっとみんな気持ち良さそうに見えるのは、暑いからだろうか…
ともあれ、こういう活動が瞬時に流行るインターネットの時代とアメリカの風土はいいなあと思うのであった。