最近、日本の知人友人親戚が出産ラッシュである。
先日もある友人から「狙い通りできちゃった婚することになった」という連絡が来たのであった。
この、「狙い通りできちゃった婚」だけど、30代半ばくらいの女性から非常によく聞く台詞である。
世の中のみなさんの夢やらなんやらを壊したくないのでここではあまり触れないでおく。もう十分触れちゃった気もするが。
ところで皆さんご存知だろうか。アメリカでは少子化が一般的な問題にはなっていない。
日本では、誰も彼もが「少子高齢化」を毎日のように見聞きするだろう。学校のクラスが減ったりというので体験している人もいるかもしれない。老若男女とまでは言わないけれど、割と誰でも日本の問題点として知っていることである。
対して、アメリカではそこまで一般の人に浸透していない、というのが正しい言い方になるだろうか。
そう感じたのはある日、アメリカ人の子に、
「少子高齢化社会、ってなんて英語にすればいいかねえ?」
と聞いたときのことだった。彼女はやや考えて、
「aging society…かなあ。でもアメリカではあまり使わない」
と答えたのであった。もうひとりのアメリカ人女子も、その意見に同意した。
その子たちによると、アメリカは今でも人口が増えているらしい。よく考えてみると、世界の人口は減るどころか爆発的に増えているのでそんなに不思議に思うことでもないのだけど、その当時アメリカに来て2ヶ月程度だったわたしは、「先進国で少子高齢化に悩んでないのかー」と鮮烈な印象を受けたのであった。
世界中のいろんなデータを見せてくれる素晴らしいGoogle先生のサイトがあったので、そこから人口増加率を持ってきてみた。
(このサイト。数字好きは1日ここでにやにやできるのでおすすめ。危険とも言える…)
【人口増加率】
【出生率(女性ひとりあたりの出産数)】
日本では、「フランスの女性はすごいよ!子供めっちゃ生んでるんだよ!」とよく引き合いに出されている気がするが、そのフランスをしのぐ人口増加率のアメリカさんである。参考に身近な韓国も入れてみた。
この人口増加率(+出生率)の高さは増え続ける移民と、その移民が子供をアメリカで生むことだと言われているようだ。
ということで、今のところアメリカの世間一般は日本ほど真剣に「人口減るかも」みたいなことを考えていないようなのであるが、ここのところ、前述のアメリカ人女子ふたりと話していて、「このままじゃ日本の後を追って、少子高齢化社会になるんじゃないかなあ」という気がしてきた。
そのアメリカ人女子は、ふたりともまじめで、とても頭が良くて、自分の意見をきちんと持っている。
それでいてばりばり前のめりな「意識高い系」というわけでもなく、かといって女を武器にする感じでもないし、優しいし、いい意味で遠慮がちだったりするし、いわゆるアメリカの最近の若者「ミレニアル世代」(過去記事)なのかもしれない。体温高めで冷え性知らずだけど意識低めなわたしが一緒にいて心地よいゆるさである。
前置きが長くなったが、そんなふたりが口を揃えて、
「結婚はしたいかもしれないけど、子供は興味ない」
と言ったのである。
これにはびっくりした。
わたしの友人知人には「子供いらない」と明言する人がいなかったからである。
それどころか「狙い通りできちゃった婚」みたいに、子供ほしさに結婚していると言っても過言ではない人たちがたくさんいるのに。
彼女たちの子供に興味がないという理由は一致していた。
「お母さんが本当に大変だった、つらかった、と言っているから」
彼女たちのお母さんは、「大変だった」という面を強調して、「生まなくていいよ」とまで言っているようである。
たしかに、アメリカの…というか、ニューヨークの子育ては、わずかに聞き及んでいる限りではとても大変だ。
----------------
(1)産休が無給
まず、ニューヨーク州はお給料が出る産休がない。(ここやここを読むと、カリフォルニアからニュージャージー州まではあるっぽい)
これは、お給料が出る産休制度をもうけると、起業が損をすることをいやがって、女性を雇用しなくなるんじゃないかという雇用機会の差別をなくすため、というのをどこかで読んだ。う、うーん…行き過ぎた市場原理主義怖い。
(2)子供を預ける費用が高い
お給料が出ないから働かなきゃいけないので、子供を預けると、1ヶ月余裕で1000ドル(10万円)くらいする。ここの記事によるとニューヨークでは平均年間14939ドル(149万円)だそうだ。
同じ記事によると、ナニーさんは1時間12.75ドル〜19.25ドルとのこと。1ヶ月で計算すると…ああ、血の気が引く。
----------------
これらの事実に、若年層のお給料が押さえられているとか、教育ローンが重くのしかかっているだとか、ニューヨークの物価がどんどん上がっているだとか、その辺の話も加わって、とにかく働き続けなきゃいけないし、趣味は楽しいし、「ちょっと子供のことまで考えられません」みたいな状態になるのではないだろうか。
彼女たちは、わたしより、ずっと「個人」で社会を生きている。
自分の感覚に忠実になっている。子供がいても、いなくても、自分は自分。
その姿勢はかっこいいなあと思うんだけど、こういう人が増えていったとしたら、絶対少子化は進むだろうなあ、という予感がするのであった。
もしかしたら、気の毒なくらい現実的とも言える。これは日本の若者に通じるものがあるのかもしれない。
ちなみに、一般の人は意識してなくても、アメリカの少子化はやっぱりじわじわ話題になってきているようなので、参考までに関係する記事を貼っておきます。
U.S. population growth slows to just 0.71%
What's Driving the Decline in U.S. Population Growth?
Pregnancy Rates for U.S. Women Continue to Drop
彼女たちとの会話を通して、日本で「生まなくてもいいよ。生むのも生まないのも自由」と言える人がどれだけいるのだろうか、と感じたのであった。
あ、うちのお母さん…。
そしてこの「どう生きるのも自由」という大原則のもと、確固たる自分がない、ふらふらした娘が育ったのでした…。
--------
(2014/1/24 追記)
この記事を書いてから、関係する話題がWall Street Journalに出ていたのでご紹介。
More Women Seeking Medical Help to Get Pregnant
25歳から44歳の女性の12.5%が妊娠のために医療措置を受けたことがある、という調査結果で、その割合は以前の調査より増えているとのこと。
やっぱりじわじわ少子化きてるんじゃない??
先日もある友人から「狙い通りできちゃった婚することになった」という連絡が来たのであった。
この、「狙い通りできちゃった婚」だけど、30代半ばくらいの女性から非常によく聞く台詞である。
世の中のみなさんの夢やらなんやらを壊したくないのでここではあまり触れないでおく。もう十分触れちゃった気もするが。
ところで皆さんご存知だろうか。アメリカでは少子化が一般的な問題にはなっていない。
日本では、誰も彼もが「少子高齢化」を毎日のように見聞きするだろう。学校のクラスが減ったりというので体験している人もいるかもしれない。老若男女とまでは言わないけれど、割と誰でも日本の問題点として知っていることである。
対して、アメリカではそこまで一般の人に浸透していない、というのが正しい言い方になるだろうか。
そう感じたのはある日、アメリカ人の子に、
「少子高齢化社会、ってなんて英語にすればいいかねえ?」
と聞いたときのことだった。彼女はやや考えて、
「aging society…かなあ。でもアメリカではあまり使わない」
と答えたのであった。もうひとりのアメリカ人女子も、その意見に同意した。
その子たちによると、アメリカは今でも人口が増えているらしい。よく考えてみると、世界の人口は減るどころか爆発的に増えているのでそんなに不思議に思うことでもないのだけど、その当時アメリカに来て2ヶ月程度だったわたしは、「先進国で少子高齢化に悩んでないのかー」と鮮烈な印象を受けたのであった。
世界中のいろんなデータを見せてくれる素晴らしいGoogle先生のサイトがあったので、そこから人口増加率を持ってきてみた。
(このサイト。数字好きは1日ここでにやにやできるのでおすすめ。危険とも言える…)
【人口増加率】
【出生率(女性ひとりあたりの出産数)】
日本では、「フランスの女性はすごいよ!子供めっちゃ生んでるんだよ!」とよく引き合いに出されている気がするが、そのフランスをしのぐ人口増加率のアメリカさんである。参考に身近な韓国も入れてみた。
この人口増加率(+出生率)の高さは増え続ける移民と、その移民が子供をアメリカで生むことだと言われているようだ。
ということで、今のところアメリカの世間一般は日本ほど真剣に「人口減るかも」みたいなことを考えていないようなのであるが、ここのところ、前述のアメリカ人女子ふたりと話していて、「このままじゃ日本の後を追って、少子高齢化社会になるんじゃないかなあ」という気がしてきた。
そのアメリカ人女子は、ふたりともまじめで、とても頭が良くて、自分の意見をきちんと持っている。
それでいてばりばり前のめりな「意識高い系」というわけでもなく、かといって女を武器にする感じでもないし、優しいし、いい意味で遠慮がちだったりするし、いわゆるアメリカの最近の若者「ミレニアル世代」(過去記事)なのかもしれない。体温高めで冷え性知らずだけど意識低めなわたしが一緒にいて心地よいゆるさである。
前置きが長くなったが、そんなふたりが口を揃えて、
「結婚はしたいかもしれないけど、子供は興味ない」
と言ったのである。
これにはびっくりした。
わたしの友人知人には「子供いらない」と明言する人がいなかったからである。
それどころか「狙い通りできちゃった婚」みたいに、子供ほしさに結婚していると言っても過言ではない人たちがたくさんいるのに。
彼女たちの子供に興味がないという理由は一致していた。
「お母さんが本当に大変だった、つらかった、と言っているから」
彼女たちのお母さんは、「大変だった」という面を強調して、「生まなくていいよ」とまで言っているようである。
たしかに、アメリカの…というか、ニューヨークの子育ては、わずかに聞き及んでいる限りではとても大変だ。
----------------
(1)産休が無給
まず、ニューヨーク州はお給料が出る産休がない。(ここやここを読むと、カリフォルニアからニュージャージー州まではあるっぽい)
これは、お給料が出る産休制度をもうけると、起業が損をすることをいやがって、女性を雇用しなくなるんじゃないかという雇用機会の差別をなくすため、というのをどこかで読んだ。う、うーん…行き過ぎた市場原理主義怖い。
(2)子供を預ける費用が高い
お給料が出ないから働かなきゃいけないので、子供を預けると、1ヶ月余裕で1000ドル(10万円)くらいする。ここの記事によるとニューヨークでは平均年間14939ドル(149万円)だそうだ。
同じ記事によると、ナニーさんは1時間12.75ドル〜19.25ドルとのこと。1ヶ月で計算すると…ああ、血の気が引く。
----------------
これらの事実に、若年層のお給料が押さえられているとか、教育ローンが重くのしかかっているだとか、ニューヨークの物価がどんどん上がっているだとか、その辺の話も加わって、とにかく働き続けなきゃいけないし、趣味は楽しいし、「ちょっと子供のことまで考えられません」みたいな状態になるのではないだろうか。
彼女たちは、わたしより、ずっと「個人」で社会を生きている。
自分の感覚に忠実になっている。子供がいても、いなくても、自分は自分。
その姿勢はかっこいいなあと思うんだけど、こういう人が増えていったとしたら、絶対少子化は進むだろうなあ、という予感がするのであった。
もしかしたら、気の毒なくらい現実的とも言える。これは日本の若者に通じるものがあるのかもしれない。
ちなみに、一般の人は意識してなくても、アメリカの少子化はやっぱりじわじわ話題になってきているようなので、参考までに関係する記事を貼っておきます。
U.S. population growth slows to just 0.71%
What's Driving the Decline in U.S. Population Growth?
Pregnancy Rates for U.S. Women Continue to Drop
彼女たちとの会話を通して、日本で「生まなくてもいいよ。生むのも生まないのも自由」と言える人がどれだけいるのだろうか、と感じたのであった。
あ、うちのお母さん…。
そしてこの「どう生きるのも自由」という大原則のもと、確固たる自分がない、ふらふらした娘が育ったのでした…。
--------
(2014/1/24 追記)
この記事を書いてから、関係する話題がWall Street Journalに出ていたのでご紹介。
More Women Seeking Medical Help to Get Pregnant
25歳から44歳の女性の12.5%が妊娠のために医療措置を受けたことがある、という調査結果で、その割合は以前の調査より増えているとのこと。
やっぱりじわじわ少子化きてるんじゃない??
0 件のコメント:
コメントを投稿