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2014-07-06

『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』ブロードウェイリバイバルがめちゃくちゃ良かった!

独立記念日の花火は華麗にスルーして、『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ(Hedwig and the Angry Inch)』を観に行った。
ちなみにこのミュージカルは今年のトニー賞で、リバイバルミュージカル部門、主演ミュージカル男優部門、主演ミュージカル女優部門、照明部門の4つで最優秀賞に輝いている。

トニー賞以外にもたくさん受賞しているようだ。

会場はブロードウェイのBelasco Theatre。外装も素敵だけど、内装もかなり素敵。

柱の上がステンドグラスつきのライトっぽくなっている。天井にもこんなライトがたくさん。ちょこっと調べたところ、ティファニーグラスというものらしく、1900年代初頭にはやったものだそうだ。

土曜日の22時からの回だったが、もちろん満席。休憩なしで約2時間通しのショーである。
ちょっと奮発して2階席Mezzanineの一番前のど真ん中の席を買ってしまった。180ドルくらい。同僚いわく、トニー賞受賞後、チケットの価格が倍になってしまったとのこと。ううう、早く行けばよかったけどオペラ座の怪人にはまってたので(過去記事)これは仕方あるまい。当たり前だけど舞台がばっちり見えてすばらしい。

撮影禁止だったので舞台の写真はないのだけど、限られたスペースの中に仕掛けられたもろもろがすごい。この劇場に限らず、ブロードウェイの劇場や舞台は、日本の劇場に比べたら驚くほど小さくて最初見たときは驚いたものだが、その制約の中で場面を表現する手法は磨き抜かれている。「Origin of Love」のときの映像と演技の融合はそう来るか!という感じだった。

主演でトニー賞の主演男優賞に輝いたニール・パトリック・ハリスだが、『Glee』とか『ママと恋に落ちるまで(How I Met Your Mother)』といった最近のドラマにも出ていたそうなのだが、『天才少年ドギー・ハウザー(Doogie Howser, M.D.)』のドギーと言われて「うおーー!」となったミドサーのわたしである。

彼の歌はもちろん、演技もなんだか目が離せない。ともすれば下品なしぐさもどこかかわいく見えてしまう、絶妙なバランス。首を傾げる仕草は観客の中に真似をする人が出てくるくらいだった。
あとスタイルいい。腹筋と脚がめっちゃきれい。ヘドウィグを演じるために20ポンド(9キロ)痩せたらしい。
時事ネタ、ブロードウェイネタを盛り込んだトークは軽快で、話で人をひきつけるスナックのおばちゃんっぽさがあって憎めないし面白い。しかし、笑いのツボがわからないところもたくさんあったのでちょっと悔しい。笑いには文化背景への深い理解が必要だなあと再確認。

トニー賞でのパフォーマンスがあったので置いておこう。
これでもかなり楽しいショーなのだが、生で見るとさらにすごい!1階の前の席だと、口に含んだ水を飛ばされたり、キスされたりという経験ができるかもしれない。(たぶん男性限定)
ちなみにニールさんはゲイだということを公表している。
こういうショーがショーの域を超えて、LGBTといった性的マイノリティーの受容につながればいいなあと思う。
彼のヘドウィグは8月17日までとのことなので、気になっている方はお早めにどうぞ。
イツハク役のリナ・ホールも必見である。かっこいいし、声がきれいだし、最後の場面の変身っぷりがまた素敵。

このキャストの音源も販売中。もちろん買ってしまった…


8月中旬に降板するニールさんの後任は『Book of Mormon』で主演したアンドリュー・ランネルさんということで、これもまた気になる…
Andrew Rannells Will Replace Neil Patrick Harris in Broadway’s Hedwig and the Angry Inch(TIME)

ブロードウェイ沼、深い!!


--------
(2014/8/13 追記)

「Glamour」という雑誌のサイトに、ニールさんのインタビューが載っていたので貼っておきます。
最初ハイヒールを履くのは変なかんじだったけど、だんだん妙な力が湧いてきたとか。

Neil Patrick Harris Shares His Secrets of Work, Love, and Living by Your Own Rules(Glamour)

2014-05-17

ブロードウェイで『オペラ座の怪人』を1ヶ月に3回見た人の記録 ※追記:2ヶ月ちょいで4回見ました

◆2014年4月19日(土) 14:00
待ちに待ったオペラ座の怪人の日である!
2週間前にチケット購入。この日はいい席が残っていたのだ。前から5列目くらいで、ちょっと斜めだけどまあいいでしょう!ちなみに110ドル。(手数料除く)

シャンデリアが近い。
しかーし、よく見るとプログラムに1枚の紙が。
「この回は、Jeremy Stolleという人がファントムやりまーす」
なんだとー!主役が代役とな!!
以前、MAMMA MIA!を見たときに、主役が代役でちょっと悲しい思いをしたのに(過去記事参照)またやってしまった…
しょんぼりしていたのだが、代役のファントムが圧巻の演技を見せてくれた。
クリスティーヌ役のMary Michael Pattersonも低音から高音まで声がきれいだし、脇を固める人たちのレベルも相当高い。
まんまと感動して、家に帰ってからロンドンの25周年のファントムを見た。

な、なんだこの素晴らしさはーーー!ファントムすごい!
(※追記:見られない方、すみません。こちらです。)
あれ?この声どこかで聞いたことがあるような。調べてみると、先日レミゼで見たジャン・ヴァルジャン役のラミン・カリムルー(Ramin Karimloo)さんじゃないですか!!なんなのこの表現力ーー!!!
そして、クリスティーヌ役の人の声も美しいし、喜怒哀楽を余すところなく表現する迫真の演技もものすごい。ロンドン、やるな…!!
すっかりとりこになって、結局、家のTVで食い入るようにして全編見てしまったのであった。ところで1日に2回同じもの見るってどうなの。
ついでに、ロンドンの25周年の音源を買った。ラミンさんのファントムを仕事中にヘビーローテーションである。


2014年4月29日(火) 19:00
先日の舞台には満足していたのだが、ファントムが代役だったのがものすごく気になっていた。
実は今年、ブロードウェイのオペラ座の怪人は25周年で、そんな記念すべき年に主役として抜擢された人がちゃんと見たい!
調べてみると、本来の主役の人はヒュー・パナロ(Hugh Panaro)という人らしい。いわく、ブロードウェイでファントムもラウルもやったことがあるとか。これは期待できそうではないか。
しかも、「5月3日でパナロのオペラ座の怪人は終わりです」とか公式サイトに書いてある。えええええ!急がなければ!!
そんな時にニューヨークに友達が来て、ブロードウェイでオペラ座の怪人を見ようかなーと言っていたので便乗した。
2日前にチケットを調べて購入。90ドル。席は前から15列目くらいだが、オーケストラのちょっと高くなっているところのすぐ後ろなので、割と見やすい。
わくわくしながら迎えた舞台。
……
……あれ?もしやマイク壊れてる??と最初心配になった。そしてその心配は彼特有の持ち味っぽいということに、2幕目でやっと気がついた。
特に歌い始めに声がめちゃくちゃ細い。最初の見せ場とも言える「The Phantom of the Opera」で「あれ??」と思ってから、最後までその違和感が消えることがなかったのである…
こちらは、ラミンさんの力強いファントムに慣れているというのもあって(たぶん30回は聞いている)、彼の表現しようとしているファントムがなんとなく違うなあと思ってしまったのだった。ネットで調べると、彼の名前とともに歌が良かった!と書いてあるレビューもあるので、この日調子が悪かっただけなのかもしれない。

こういう静かな曲は彼の繊細な声がいいかんじなのだが。(リンク)
あと、この日の舞台では、ファントムが出たー!という発砲シーンで、カチッという音がして終わったというアクシデントもあった。


2014年5月16日(金) 20:00
先日のヒューさんのファントムが5月頭で終わるというのを見たときに、
「5月13日からのファントムはノーム・ルイス(Norm Lewis)さん、クリスティーヌはシエラ・ボーゲス(Sierra Boggess)さんです」
とアナウンスがされていた。
…ん??シエラ・ボーゲス??
うおおおおおおおおお、わたしがすり切れんばかりに聞いているロンドンのオペラ座の怪人25周年公演のクリスティーヌの人ではないか!(=一番上にある動画に出ている女性)
さらにノームさんは「ブロードウェイで初の黒人ファントム!」とニュースになっている。しかもこれまた大好きなロンドンのレミゼラブルの25周年コンサートでジャヴェールをやっている人だということが発覚!


いやーこれ、ほんとにジャヴェールの存在感が半端ないんだよねーーー。(リンクはこちら)
ということで、今回は絶対に代役にならないように調べた。シエラさんはTwitterで「I'm doing Tuesday thru Saturday (No Monday or Saturday matinee)」と発言していて、Playbillのウェブサイトに、「ノームさんは毎日出てる」とある。
「TodayTix」というアプリで前日にチケットを購入。75ドル。T列、オーケストラの後ろから数えた方が早いような席だが仕方あるまい。

この席、上にMezzanineシートがせり出しているので、音の反響具合はめちゃくちゃいい。
ファントムとクリスティーヌが邂逅する場面から、地下水路に行って…というところの圧倒的な歌の力にすっかりやられた。これまでのはなんだったの?というくらいの差があった。
3回目にして、この演目はクリスティーヌ役の人の負担がものすごいということに気づいた。もちろん、どの役の人も大事だけど、クリスティーヌは出番が半端なく多い。多いし、歌のキーはめちゃくちゃ高いし、最初のバレエっぽい動きから、歌、ファントムやラウルとの絡みまで、大変だ。それらを完璧にこなすシエラさんは、もうさすがだなあとしか言いようがない。
逆に言うと、ファントムは出てこないシーンも多いので、出てきたときにどれだけ印象を残せるかが鍵なのかもしれないと感じた。ノームさんのファントムは、最後の部分でものすごく荒っぽく、子供っぽくなる。それがクリスティーヌとの対比で「愛を与える人」と「愛されたい人」を表現していて、感動せざるを得ない。
しかしだ。完璧な演技を、オーケストラが台無しにしかけているように感じた。速い!速すぎる。
いわゆる聞かせるところの「The Music of the Night」とか、「All I ask of You」とか、動きが多い「The Point of No Return」はもうちょっと速度を落としていいんじゃないかなあ。特に「The Point of No Return」ではオーケストラが速すぎて演技が追いついてなかったように見受けられた。
あと、残念だったのは、後ろの方の席だったから、おしゃべりしてる人とか、咳や咳払い、スペイン語のオーディオガイドの音が大きすぎる人がいたことだ。
さらに、ラウル役の人が代役だった。もうラウル役の人は過去2回見てるからいいんだけど、ここまでファントムとクリスティーヌが素晴らしいと、スタメン&いい席で見たいなあと思ってしまうのであった。
DVDになったら絶対買う。25周年なのでお願いしたいところである。


とりあえずロンドンの25周年は素晴らしいので超おすすめ。

ロンドンかーと今のキャストを調べてみたら、アルゼンチンで勉強したというファントム役の人が気になり始めてしまった。


なかなか実際の舞台の動画が出てこないあたりも気になる。(リンクはこちら)
気になるではないか…行っちゃうか?ロンドン。行っちゃうのか…?

ともあれ、相変わらず、はまったものには自ら進んでずぶずぶ行くという性格を再確認した。
ああ、ミュージカル沼が見える…


◆◆◆◆◆◆
過去の参考記事
『レ・ミゼラブル初日プレビュー公演を観てきた!』
『MAMMA MIA!でブロードウェイ観劇デビュー』

※この他にも色々見てるのに、あんまりブログに書いてないなーということに気づいたので、今度チケットの購入から情報サイトまで、色々まとめようと思った。

◆◆◆◆◆◆
(2014/6/28追記)

2014年6月27日(金) 20:00
う、うっかり最前列が取れたので行ってしまった…かなり斜めだったけど。99ドル。

わーシャンデリアが目の前よー。オーケストラピットものぞけるわーーー。
かなり斜めなので、ファントムが鏡の中に登場するシーンとか、見えないところもあったけど、4回目なので仕掛けとかオーケストラとかを見ながらお話も、という楽しみ方ができた。最前列なので、音がばっちりなのもあって、なんだかいつもより英語が聞き取れた気もする。しかし、隣に座っていた日本人らしきおばさまふたりは「見えない!前過ぎたわねー」とちょっと不満そうだった。
相変わらずノームさんとシエラさんの歌と縁起が素敵だった。あと、前回「オーケストラ速すぎ!」と書いたけれど、だいぶ息が合ってきている感じ。同じキャストでも時間経過によって全然変わるんだなあ、というのを体験できたのでよかった。
…けど、やっぱりこれはミュージカル沼にはまっている気がする。

この日もらったPlaybill(キャストとかが載っている冊子)はプライドバージョンでした。

でもって、中にはノームさんのインタビューが!きゃーーー。
ファントムは絶対にやりたい役だったということや、若い頃は歌うことや演じることにそこまで惹かれていなかったことなどが語られている中で、ふと気になったのは、「オーディションのときのノームさんは、非常に集中していて、エロティックだった」という監督の言葉が書かれていたこと。
それを読んで、「こんな大物でもオーディションやるんだ…」というのにびっくりしつつも妥当なのかもな、と思った。
ブロードウェイのレベルはそうやって保たれているのかもしれない。

ちなみにこのPlaybillによると、最近ノームさんは月曜日は出ていないそうだ。行かれる方はお気をつけてーー。


◆◆◆◆◆◆
(2014/9/4 追記)
ノームさんは、来年2015年1月末まで契約を延ばしたそう。
シエラさんの後任は以前クリスティーヌ役をやっていた、マリー・ミシェル・パターソンさんだそうです。

Tony Nominee Norm Lewis Extends Run in THE PHANTOM OF THE OPERA; Sierra Boggess' Successor Announced

27周年公演行きたいな…

2014-03-02

レ・ミゼラブル初日プレビュー公演を観てきた!

先日、3月1日、レ・ミゼラブルのブロードウェイの初日公演へ行ってきた!
1987年初演のこのミュージカル、ロングランで2008年に閉幕した後、6年ぶりのブロードウェイ公演だそうだ。今回の公演には映画の成功が大きく寄与しているらしい。(NYT記事)
恥ずかしながらどんな話かもあまり知らなかったのだが、『ベルサイユのばら』つながりで、マリー・アントワネット様以降のフランスの歴史が大好きなわたしは、映画をきっかけに案の定はまり、去年の10月にチケットが売り出された瞬間に買ったのだった。
半年も前だったので、チケットが添付されてるメールを探すのが大変だった…

ミュージカル素人のわたしはこのチケットを買うときに知ったのだが、正式な公演が始まる前に2〜3週間プレビュー公演というものがあるらしい。
プレビュー公演は、いわばお客さんの前でやるリハーサルのようなもので、お客さんの反応を見て、制作者が演出だったり台本を変更するそうだ。
わたしたちが今回見たのもこのプレビューだった。
小ネタだけど、レ・ミゼラブルのことを英語だと「les miz」と略す。日本語の「レミゼ」という略し方に近いかもしれない。

会場はImperial Theatretという劇場で、席はオーケストラ(1F)の一番うしろ。意外と小さい劇場でびっくり。
ちなみにチケットはひとり140ドルくらいだった。

キャストはこちら。タイピングがめんどくさいので写真ですみません…
以前マンマミーアを観に行ったとき、主役が代役の人でちょっと残念だったのだが、今回はさすが初日だからか、ばっちりスタメン(?)。(過去記事)

なんせミュージカル素人なので批評めいたことはできないのだが、ヴァルジャン役のラミン・カリムルーが本当にすごかった。
調べてみるとまだ35歳らしいのだが、ヴァルジャンらしい貫禄があるし、強さを前面に出したシーンから、苦悩する老人のシーンまで、迫真の歌とパフォーマンスが心を打つ。
あと、わたしはアンジョルラス役とエポニーヌ役の人がかっこよくて釘付けだった。
アンジョルラスは原作を考えるとちょっとイメージが違うかな?という配役だけど、仲間を率いる勇猛な姿がすてきだし、迫力がある。
彼の横にいるとへたれキャラ・マリユスがますますへたれに見える…いやこれは演出だ!と思うことにした。(キャスト一覧はこちらでどうぞ)

演出といえば、背景の使い方がおもしろい。特にジャヴェールの最期のシーンは意表をつかれた。プレビューなので本公演では変わってしまうかもしれないが。
満員の客席は、テナルディエやガブローシュのコミカルな演技に笑い声を上げたり、開始数分から泣いてる人もいたり、という感じ。
もちろん、終わると同時に立ち上がって拍手喝采。
…3月24日からの本公演も観に行こうと心に誓ったのであった。

あまりに感動したので、思わず会場でCDを買った。30ドル。25周年公演のものらしい。
買った直後に夫がぼそりと「Amazonで買ったらもっと安いのに…」と言った。

1967円ですか……
さすがに「やっちまった」感がただよう価格差である。

いいんです。素晴らしいミュージカルの感動の余韻を買ったんです。ヘビーローテーションで聞きまくってテンションを上げるんだもん。
「でもLook Down聞いてたら元気なくなりそうだよね」
と夫にすかさずつっこまれたのだった。


 
うぐぐ、映画のDVDですら、2180円だった…
振り返らずに生きていきたいと思います。


(2014/4/7 追記)
公式ムービーもいいのですが、朝のTV番組に出演したときの動画がそれぞれの表情がはっきり見て取れてとても良かったので貼っておきます。アンジョルラスとエポニーヌがやっぱり素敵…!


(2014/5/8 追記)
すっかりラミンさんのとりこになってしまったわたしですが、おなじようにラミンファンのみなさんが代役で悲しまないように、こんなニュースを張っておきます。

Les Miz Star Ramin Karimloo Will Not Perform Thursday Evenings Beginning April 3; Rush Tix Policy Announced (Playbill)

ということで、ラミンさんは当面、木曜日の夜は出ていないようです。
で、ラミンさんがお休みのときに何をしているかと言うと…


別の舞台を観てるのであった…
※ちなみに一緒に映ってるのはロンドンのオペラ座の怪人でクリスティーヌ役で共演したシエラ・ボーゲス!たまらんツーショットであります。
どちらにしても、ブロードウェイでラミンさんに会えるかも!?

この記事もにやにやものなのでどうぞ!

"Who Am I?": Broadway's Newest Leading Man, Ramin Karimloo, On His Journey to Starring in Les Misérables (Playbill)

ああ、ミュージカル沼が見える…

2013-10-06

『そして父になる』、『風立ちぬ』をニューヨーク映画祭で見た

秋になって、イベントが多い。
気になっていた日本映画2本が上映されるとのことなので、ニューヨーク映画祭へ行ってきた。今年で51回目だそうだ。

会場のあるリンカーンセンター近辺は、夜歩くと眺めが壮麗でたのしい。噴水の前で語り合うふたり。うふふ。

まず見たのは『そして父になる』。

映画祭の長い歴史のおかげなのか、ニューヨークという場所のおかげなのか、是枝監督もいらっしゃっての上映会。しかも上映後にQ&Aセッションがあるという。ただの「ご挨拶」じゃすまされないところがさすがである。

これは始まるちょっと前に撮った写真。上映が開始するころには満席だった。意外と日本人少ない。

こちら上映後のQ&Aの様子。
観客からひっきりなしに手が挙がって、たくさんの質問が監督に浴びせられる。
ふたつの家族の違いを極端に出すためにキャストを選んだとか、
キャストは声を重視したとか、
子供を撮るときには台本をあらかじめ渡さないでその場でセリフを伝えて話してもらうとか(これは『誰も知らない』のときにも言ってたかも)、
テイクはあんまり長くとらないけど、この映画の中で一番テイクを撮ったのはお母さんとケイタくんが電車の中で話しているシーンで、テイクに時間がかかったので電車が駅に止まって、真っ暗な中で話すふたりという演出ができたところがよかったとか、
そんな話をされていた。作り手に直接質問して答えがもらえるってすごいなあ。

話の内容は、ものすごく簡単に言うと、田舎でほったらかし子育てをする家族と、都会で子供を私立小学校に入れてがっつりしつける子育てをする家族の対比で、ワーカホリックであまり子供と関われない父親が田舎の子育て家族との交流を通して自分の生き方、子供との関わり方を考えていくというお話。
わたしは自分の育ちが似ているので、田舎側の家族の形を大絶賛派なのだけど(というかそれ以外できる気がしない)、抵抗を覚える人の気持ちも容易に想像できる。福山さんの妻はひとりでいろいろ抱え込んでいて、わたしは見ていて気の毒になった。でもあれがあるべき「良妻賢母」と言う人もいそうだし、この辺は意見が大きく分かれるところだろう。
あと、わたしは真木よう子さんの演技が肝っ玉母さん的で本当にいいなあと思ったのだけど、夫は「きれいすぎてあの役には浮いてる」と言っていた。
ところで、どう考えても福山さんのサービスシーンだよね!というところがあって思わず笑ってしまい、隣にいた夫に話しかけたところ、彼は号泣していたので後で怒られたのであった。わたし…もっと素直に映画を見るべきである。

この映画の英語のタイトルは『Like father, Like son』。日本語と英語でタイトルの対象にしている時間が違うのかなあと邪推。是枝監督は「ふたつの家族の交流を通して、主人公の父としての成長を描きたかった」、とおっしゃっていたので、日本語のタイトルはそれをそのまま表しているのだけど、英語のタイトルは取り違えられた実子ではない子供との時間に焦点を当てているような気がする。


はい、それでは次。『風立ちぬ』。英語のタイトルは『The Wind Rises』でそのまんまである。

こちらは話題作だからか2回上映があったのであるが、わたしたちは2回目に行った。
話の内容は言わずもがな、飛行機を作りたいという熱意に駆られた主人公の半生…と書くとさすがにちょっとあっさりしすぎかもしれない。
『そして父になる』よりも観客の年齢層が若く、日本人も多い気がした。
このパンフレットの紹介文がおもしろい。
The Wind Rises is something wondrous - a pacifist film with a protagonist who understands that his country is headed for disaster but pursue his dream. It's also a great and astonishingly beautiful work - and quite a controversial one in Japan - about the fragility of humanity and the pursuit of love.
主人公が抱える矛盾を通して平和を描いているとか、人間の弱さと愛の追求について美しく描かれているところが日本では賛否両論だ、という解説をしている。
主人公は飛行機を作ること以外頭にないような人で、戦争に向かうという状況の中でも淡々と自分の夢を追いかけている姿はかっこいい。主人公にあまり感情の起伏が見られないためか、周囲の人物の喜怒哀楽の表情が際立つというか、みんないい味を出している。
しかし…わたしは主人公の演技にあまりにも起伏がないような気がしてしまって、子供から大人になったシーンの第一声からずーーっと違和感が消えず、なんだか最後までいまひとつ話に集中できなかったのであった。よく言えば朴訥、素朴な感じなので、そういう演出だったのかもしれないけど。
この感想はあまり理解してもらえなかったのだが、わたしの敬愛する沢木耕太郎さんが同じことを言っている、ということを教えてもらった。

「風立ちぬ」諦めきれない快感の続き(朝日新聞)

あと、外国の人たちがイタリア語、ドイツ語を話しているのに、突然日本語を話し出すという演出はちょっとびっくりした。あれはずっと外国語で喋ってもらっちゃだめだったのかなー。…と細かいところをぐちぐち言っていますが、隣の夫はやはり号泣していた。
前述の通り詩的で、場面がころころ変わるので、その場面の推移や、ひとつひとつの言葉をじっくり見られたら違う感想を抱きそうである。もう1回集中してじっくり見たいなと思った。

ところでポール・バレリーの詩と言われてあとで思い出した。バレリーが創作活動をして亡くなったフランスのSèteに昔行ったことがある。

海辺の墓地。青い海といい、思い思いの形の墓標が立ち並ぶ姿といい、美しい。
潮騒だけが周囲を支配しているような静かでいい場所だったなあ。また行きたい。行きたい場所が多くて本当に困る。

ところでこの画像を探そうとして、昔の旅行の写真が全部外付けハードディスクの中に入っていることに気づいた。
そのハードディスクをつないだら、PCに認識されない…
ということで、これはかろうじてオンラインに残っていた写真である。

………

ほんと、アナログというか目に見えるオフラインなものが信用できない時代になってきました。
うう、どうしよう…


--------
(追記)
『風立ちぬ』の解説でおもしろいものを教えてもらった。

町山智浩が映画『風立ちぬ』を語る(YouTube)

すみません…理解できなくてすみません…

2013-04-29

東京スカパラダイスオーケストラ in NYC!!!

最近、英語環境にどぼんと放り込まれる仕事があって、なんだかへろへろであった。

何がへろへろにさせるかって、仕事関係で初めて会う人に、

「Hi! Nice to meet you, I'm...」

と、英語なテンション最高で挨拶する瞬間って余裕で50くらい血圧上がってるかんじがする。


こんなのを続けていたら脳みその血管が切れてしまいそうである。
わびさびの国から来たんですよ、わたし。いとをかし。いとあはれ、ですよ。
ああ、日本語に触れたい・・・・

無意識に癒しを求めて、フリーの日本語情報誌をかき集め、ぼんやり眺めていたところ、



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スカパラが、ニューヨークに、来るだとーーーー!!!

テンションは一気に英語の「ハァイ!」なんて目じゃないくらいに急上昇!!
それは行かねばなるまい。何があろうとも!

と気づいたのが2日前。運よくチケットを買えたので、行ってきた。
11Aveという最果て感満載の元倉庫?といった趣の場所である。(写真はない)
入口でIDチェックをされて、「21歳以上」のリストバンドを巻かれて、さあ、中へ!

癒しが必要な突発性高血圧患者のわたしは上の階から見ることに。

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上の階はなんというか、銀座のクラブ的な椅子が並んでいて、ゆっくり見られそうな雰囲気。
バーカウンターもあるし。

そして、お目当てのスカパラ登場!!!!

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うぎゃーーー、メンバーを覗き込むような角度である!!
直線距離にしたら!!すごい近い!!
音響的にはあまりよくない場所だったのかもしれないけど、メンバーの細かい指使いや呼吸も伝わってくるかんじである。
血圧急上昇!!!鼻血でそう!!!

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眼下にはノリノリの人々。
高いところから失礼しているわたしは、「見ろ!人が○○のようだ!」とムスカ様気分。
押し合いへし合いのホール、最後には上半身裸の人もいる始末。残念ながら全員男性でしたけど。
たくさんの人たちが同じ音楽を身体中で受け止めて、にこにこしている空間は非常にいいものであった。


翌朝、つまり今朝。
前日の高血圧の反動か、酸欠・貧血気味の身体をひきずって仕事へ行くことに。
ああ、昔はホールの方ではしゃいでも平気で仕事に行けていたのに。あれが、若さか・・・・

と20代の頃に想いを寄せていたところ、ふと気が付いた。

わたし、現在8連勤中じゃん。

なーんだ、貧血っていうか疲れてるだけか。
連勤記録が早く途切れることを祈りつつ、せっせとチョコレートで疲労回復を図る月曜日なのだった。



2013-03-09

MAMMA MIA!でブロードウェイ観劇デビュー

昼間、オペラ座の怪人の劇場の前のすてきなカフェに行った。


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すっかりはまったフレンチプレスコーヒーとチョコスフレ(日本サイズ)。
オレンジ味のソースがかかってておいしかった。
Angus' Cafe Bistroというところ。内装もレトロで雰囲気があって楽しい。

同僚の奥様ふたりがオペラ座の怪人を見に行った帰りに、せっかくマンハッタンにくるから、と誘ってくれたので出かけたのだけど、観劇後のふたりはすごく興奮していて、
「すごくよかったよーーーーー!」「余韻がーーーーー!!!」
と、力説。
なんだかほわーーーーっと観劇への熱が高まる。

帰りに、タイムズスクエアの当日券を安く売っているTKTS の横を通ったら、いつになく空いてる・・・・


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つい買ってしまった。マンマミーアの当日券。
40%オフって書いてあったから・・・・つい・・・・

劇場はタイムズスクエアからちょっとだけ北に行った、Winter Gardenという劇場。


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おおおおお、外観はこてこてに出演者の写真がラッピングされててわからなかったけど、中は古くて趣がある。
いつものようにWikipedia先生にお聞きしてみたところ、1896年に元となる建物が作られて、1922年に建て替えられたそうだ。
あれ・・・・そんなに古くない・・・・と思ったけど、アメリカだしねえ。
座席はV列で、オーケストラ(1F)の一番後ろだけど、まあまあよく見える。


ショーはというと、終わりよければすべてよし、的に面白かった。
というとあんまりよくなさそうだけど、80点くらい!


よかったのは、
・年配組(お母さん、お母さんの友達、お父さんたち)の演技、歌
→見ていて間違いなく楽しいし、やっぱり声も歌も演技もすごい。円熟した技術を感じた。
特に、お母さんの友達役のふたりはやっぱり楽しい!年の功とはっちゃけっぷりのコントラストがよかったなー。


・若者たちのダンス
→ブロードウェイだしねえ、とは思うんだけど、出てる人みんなすごいなーーー。迫るものがあるな。


・カーテンコール
→最後はもちろんスタンディングオーベーション、というか、ABBAの歌をみんなで歌って終わりで、超楽しかった!!
ABBAの歌を知らない、って人もきっとどこかで耳にしたことがあると思うので、きっと楽しめると思う。




ちょっと気になったのは、
・主演の人が違う人だった・・・・
→調べていけよって話だけど!!(笑)
お母さんのドナ役の人がサブ(っていえばいいの?)の人だった。
もちろん主役になれるくらいの人なので技術はあるし、声もいいし歌も上手なんだけど、なんというか、ドナをやるには若くて細すぎる、という違和感があったような・・・・?
結婚するくらいの年齢の子供がいるっていう役はちょっと無理があった気がする。
メリル・ストリープの印象が強すぎるのかもなーーー。
でもパンフレットのお母さん役の人もそんなかんじだしなー。ちょっと残念。

・音響がイマイチ?
これは席が1Fの一番後ろだったからかもしれないけど、特に、小さい声の歌のときに、音楽と歌の聞こえ方がばらばらで、一体感がないように感じた。
劇場自体があんまり音が響かないのかなあ?
大きく声を張っている系の歌とか、大勢で歌う歌とかは結構まとまりがあって、迫力もあったので、スピーカーの配置の問題なのかなあ・・・・
ブルーマンを見たときは(参考)、全身が音楽に包まれる感じがあったんだけど、なんとなく前から音が聞こえてくるなーーー程度で、ちょっと残念だった。


・・・・と、いろいろ言っていますが、終わりよければすべてよし(2回目)、で、最後のカーテンコールで歌ってカラオケ欲を満たしたので大満足です。
映画ももう1回見たくなってきたなー。


見たあと、

「せっかくブロードウェイにすぐ来られる場所に住んでるんだから、この機会にいっぱい見なきゃねえ・・・・・・・・」


みたいな話になった。

ほんとですよねえ・・・・・・・・
出不精の自分に反省。
マリオカートはしばらく封印する。

しばらく。
たぶん。




2013-03-03

オフオフブロードウェイでブルーマンを見る

「ブルーマン見たいんだよねー」



と、そろそろ日本に帰る職場の人が言った。



「おお!いいですね!わたしも行きたい!」



せっかくブロードウェイのシアターディストリクトにすぐ行ける場所に住んでいるのに、引っ越しやらお散歩やらをしていて全然観劇できていないわたしは、そのつぶやきに食いついた。
ということで、職場の3人組でブルーマングループのショーを見に行くことにした。



あー、やっとブロードウェイのシアターディストリクトを堪能できるー!



・・・・と思ったら、ブルーマンは、オフブロードウェイ(Off-Broadway)と呼ばれている、ブロードウェイからちょっとはずれた区域でもない、南の方でやっているらしい。
ちなみに日本語のガイドブックには「オフオフブロードウェイ」って書いてあった。
英語Wikiによると、ブルーマンをやっている場所はオフブロードウェイって書いてあった)



思い立ったが吉日、すぐにネットでチケットを予約。運よくまだちょっと残っている。
席どこがいい?と聞かれるが、前の方がいいでしょー!と即答。
『Section PONCHO』という場所の席を予約した。



劇場はAstor Place駅のすぐ近くの、その名もAstor Place Theatre
え!?こんなところ?というような地下に入っていく小さな入口。
前の方の区画の席には、何かビニールのものが置いてある。
もちろん、前の方を指定したので、わたしの席にもビニールが置いてある。

「これなんですか?」
ポンチョだよ。席の名前に書いてあったじゃん

え?????

広げてみると、薄い透明のビニールの3か所に穴があけられていて、1つの穴には簡単なフードみたいなものがついている。
超やすっちい雨合羽のようである。

「え、もしかして、シートの名前の『PONCHO』って」
「そう、ポンチョが置いてある席だよ。水かぶったりするかもしれないからね
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「ブルーマンってそういうショーなの!?!?!?!?」
「えー?知らなかったの?いや、ポンチョシートがいいって言ってくるから、さすがだと思ったよ!


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知っていたら、わたしはどうしていただろうか。

いそいそとポンチョから頭を出す。コートどうしよう、と思っていたら、隣で、

「水ならまだましだけど、色のついた水とか、ガムとか、飛んできたらやだねー」


とか言っている。
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コートもバッグもポンチョの中に格納した。


どきどきしながらショーは開幕!
ちゃんと評価できるほど知識があるわけではないけど、「面白かった!!」の一言に尽きる。
映像、音楽、ブルーマンの動きがものすごく一体化していて、小さい劇場ながら、ものすごい仕掛けがしてあったり、その広さを生かした惜しみのない演出はすごい。
これ、1日3公演やる日は、各公演のあとの片づけ大変だろうなあと変な心配をしてしまう。
後で調べたら、1991年からブルーマングループの公演は始まったそうで、20年以上の歳月の中で、うまく時事ネタとか、流行を取り入れてショーを進化させてきたのだろうなあと思った。

ブルーマンをやっているパフォーマーの人は、本当に芸が多彩なので、ものすごく幅広いトレーニングをするのだろうなあ。
ロックバンドの人たちの音楽もかっこいいし、ものすごいプロフェッショナルだ!と感動。


最後にスタッフが大人が楽しんでやっている感じが伝わってきて、元気になれる。
あと、観客の巻き込み方がすごい!!
巻き込まれないように目を合わせないようにしてるおじいさんとか、そんなことよりロックな音楽に夢中なお兄さんとか、ブルーマンの動きにいちいち爆笑する子供とか、幅広い年代が楽しめるショーだと思った。
ショーの後にはブルーマンと写真が撮れるおまけつき!


あ、で、結局汚れたかどうか。


書かないでおこう。ウフフ・・・・