2013-05-30

世界のフラットさを情報伝達手段から考える

先日書いたこちらの記事、特にミレニアル世代の方たちや、その世代を応援したいという方たちに読んでいただいて、うれしいフィードバックもたくさんいただいた。

過去エントリー:「オレがオレが」なミレニアル世代が世界を救う?


「ああ、こういう経験ある!」だったり、「スマホ洗濯機の例がすごくよくわかる」というようなミレニアル世代の普段は隠されていた心の叫びだったり、少し上の世代の方からはこんなコメントも。





Tweet_3

おそらく、FacebookやTumblrを初めとする、アメリカでその影響力が認められているIT系スタートアップ(=ベンチャー企業のこと)はミレニアル世代が経営しているものが多いので、「最初は何をやっているかわからないけど、無視できない大事な存在」と捉えられているんだろうなあ。


さて、冒頭のミレニアル世代の記事の中にも転載したのだけど、TIMEのあの記事が言う、
「ミレニアル世代の世界は平等(Their world is so flat that they have no leaders)」
について、なんでなんだろう?と考えていた結果、

「情報伝達手段が平等で、誰もが発信源になれるし、誰もが有益なフィードバックを返す存在になれるからじゃない?」


という仮説に行きつき、こんなエントリーを書いてみることにした。


今日のエントリーでは、「情報伝達」の手段を、

A. 情報の宛先の数→ユニキャストか、ブロードキャストか?
B. 情報の媒体→紙か、データか?


のふたつで分割してみようと思う。
思考実験なので、「町の掲示板みたいのはどうなんだ」というツッコミは勘弁してくだせえ。


ちなみに、ユニキャスト、ブロードキャスト、というのは、インターネット関連の技術でよく使われる言葉で、

ユニキャスト:1対1の通信
ブロードキャスト:1対複数の通信


のことを指す。この辺の言葉がどのくらい一般的なのかわからないので念のため解説。
(中学くらいからどっぷり情報系理系女なのでわからないのである・・・・)


ということで、このふたつの要素で情報伝達手段を分けてみると、こうなる。

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それでは、ひとつずつ見ていきたい。


(1)ユニキャスト+紙

要は手紙。はるか昔、聖徳太子が使った手法で、今でも残っている。
あと、印刷技術が広まる前の詩や物語は、みんな書き写していたんだよねえ。源氏物語とか。
この方法、何よりも時間がかかる。紙の紛失を恐れて書き写すのも大変だし、書き写す人が間違える可能性もなきにしもあらず、とにかく信頼性も低い。パケット再送とかできないし。
しかし、1対1で、基本的に相手の立場や自分の立場を考えて、特化したメッセージを伝えることができるので、「気持ちが伝わる」というのはいまだに特徴として挙げられるのかもしれない。
あえて図を描くとこんなかんじ。
Photo_3
上が聖徳太子バージョン、下が源氏物語バージョン。
年賀状がここに入るかはちょっと微妙だけど、ひとりひとりに手書きメッセージを入れていたら入れてもいいとしよう!


(2)ブロードキャスト+紙

新聞とか正党機関紙、雑誌。
フランス革命のときにばらまかれた、マリーアントワネットを中傷するビラ(こんな感じ)なんかもこれに入る。(何を隠そうわたしはベルばらファン)
手紙よりは情報が伝搬する範囲が広いので、自分の考えをたくさんのひとに伝えたいとき、仲間を作りたいときに有効。本とか同人誌もここに入る。

Slide2

図はこんなかんじ。
何より紙でブロードキャストするのには昔は版画、今でも大きな印刷機がないといけないので、お金がかかる。
印刷そのものにもやっぱり時間がかかるし、印刷後は記載を修正のが大変なので、印刷するまえに推敲を重ねる時間も必要で、時間もかかる。
さらに、情報の受け手側は、「この記事なんかおかしくない?」と思っても伝える手段が投書とかで、ちょっとハードルが高い。

この方式は、行きわたる情報の範囲は広いんだけど、「情報の受け手どうしでの情報交換があまりない」という点も挙げられる。
もちろん、「ねえねえ、あのアントワネットの悪口読んだ?」というのを噂することもできるけど、基本的には情報の受け手は受け手であって、もしかしたらアントワネット様の大ファンかもしれない人に「悪口見た?」とか言うのは危険だし・・・・
ちょっと例が極端かつ趣味に走りすぎたかもしれない。


(3)ユニキャスト+データ

電話とかFAX、電報とかがここに入る。
媒介するものが紙の時と違うのは、即時性と双方向性。伝えたいことをすぐ伝えられて、さらに相手のレスポンスをすぐに得られる。

Photo_4


ちゃんと相手に伝わった、ということがすぐに確認できるので、緊急の連絡には非常に向いている。
こういうちゃんとした(?)情報の伝搬だけじゃなくって、自分のぱらぱらとしたまとまりのない感情を伝えるのにも向いているといえる。ああ、昔、長電話とかしたなあという気持ちである。
ただし、電話代は特に国際電話とかになっちゃうと高いし、時差も気になる。
また、当たり前だけど、連絡網とか言いつつ5人に電話しろ、っていうのは大変だし、相手が超忙しいのに電話をずーっと鳴らし続けたら嫌われるかもしれない。


(4)ブロードキャスト+データ

ブロードキャストと言えばまずはテレビ、そして最近(でもないけど)ならインターネット。
大勢でやる電話会議もこれに入る。


アントワネット様の風刺画のように、同じテレビを持っている人もでも、誰が何を見ているかはよくわからないし、どんな感想を持っているかも基本的にはクローズド。
そのため、影響度を測る物差しとして、視聴率というサンプリング調査が行われている。(共通言語のように「月9見た~?」という会話を繰り広げるグループに一瞬足を突っ込んだことがありましたがそれはさておき)
数字だけじゃねえ、ということでテレビ局側ももっと細かいフィードバックがほしくて、アンケートとかしているのかもしれない。
さらに(2)の新聞とかに近い部分として、たとえば
「納豆がダイエットにいいって嘘っぽくない・・・・?」
と思っても、それを確認するにはテレビ局に電話しなきゃいけなくて、それですらめんどくさいのに、きっとつながったらつながったで、
「視聴者の皆様の貴重なご意見として承ります」
とかマニュアル通りの対応を受けるのだろう、想像だけど。だから、放送内容を検証する社内組織や団体がいる・・・・のだと思う。


しかし、我らがミレニアル世代の味方のインターネットさんはここがちょっと違う。




Photo_5
まず、誰かがネタ(と書いたけど、記事でも自分の考えでもなんでもいい)をオレンジ矢印の方向に投下したとしよう。
そしたら、それがフォローしている人の目にとまる。上の図だと、その人をフォローしている人は1人しかいないけど、そのたったひとりの人が、その情報を自分のフォロワーに流して、さらにそのフォロワーが自分のフォロワーに流して・・・・とどんどんシェアされていく。
さらに、そのネタを受けた人は、赤い矢印のように自分の考えをいろんなところで表明し始める。
これについてはどう思う、こう思う・・・・各自のSNS上の設定にもよるけど、基本的には個人の意見は可視化されていて、広く見ることができる。
これらのいろんなところで発生したフィードバックを、ネタの発信者はすぐに手にいれられる。


そして、インターネットに接続できる端末を持っていて、インターネット接続料金を払ってさえいれば(無料Wi-FiでもOK!)、だれでもネタの発信元になれる。
もちろん、受けるフィードバックはすべてが友好的なものではないだろうし、時にはめんどくさいと思うこともあるけれど、双方向+速い+広い影響範囲のコンボ!!
さらに、ネタはもちろん玉石混交で、いいものもあれば嘘もあるので、ノイズから必要な情報を得るという力を養う必要がある。

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ここまで書いてみて気づいたのだけど、友達とのおしゃべりとか、深い議論とかは(1)か(3)の方法がいいような気がする。もしくはクローズドな(4)。
最近、SNS疲れと言われているのって、(1)か(3)の方法で解消すればいいコミュニケーションを、オープンな(4)の方法で解消しようとして失敗しているのではないだろうか・・・・

ともあれ、(4)は広くフィードバックがもらえることに大きなメリットがあるのだなあ、ということを再確認。ということで、Twitterの非公開設定は今日でやめてみた。
この辺についての考察は今後していきたいと思う。

相変わらずニューヨークあんまり関係ないエントリーが多くてすみません・・・・




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