今日は女子が主役の元気をもらえる本をいくつか紹介したい。
30歳を過ぎて自分を「女子」というのはちょっと厚かましくて恥ずかしいのだが、今日紹介する本の主人公は10代だったり、やたらエネルギーに溢れているので、これは「女子」と呼んでもいいでしょう!
ネタバレになってしまうのだが、現在のような形をとどめなくなってしまった日本で、サバイバルをしていく若者を中心とした約40人の話である。
とにかく、女性がたくましい。「虫が嫌い」という彼氏と対比されるやたらたくましい女子高生の花とか、グループを統率する建築家志望の蘭はもうかっこいいとしか言えない。
元警官の牡丹のいう女性はすべての人を見守りながら、サバイバル能力にも長けていて、新しい時代の「聖母」感すら漂わせている。
そんな中、気の弱い女子も、情けなかった男子も、だんだん強くなっていく。そして、一見強そうに見える人々の方も、人との関わりを通して新しい世界で生きることについて考えを深めていく。
人との関わりを通してトラウマや悩みを克服していく姿も心を打たれるし、原始時代のような日本との対比を通して現代社会への鋭い批判もしていて、読み応えのある作品だ。
未完なので、どういう風に終わるのかなあというところが非常に気になる。ちなみに同じ著者の『BASARA』もなかなか胸を焦がしますよーーー!
ふたりは社会的な性別を心の性別に合わせるのだが、男女の役割が明確に固定されている社会なので、もちろん苦難に巻き込まれていく。
とにかく話の展開が速く、「ええっ、そんな重大な決断を、あっさりと!」みたいなところもあるが、そのおかげもあってページをめくる手が止まらない。プロの技だ…
男として生きる姉の沙羅双樹の悩みも、女として生きる弟の睡蓮の辛苦も、なぜか現代女性に響いてくるものがある。社会における「男女平等」と「生物としての生殖機能」のバランスを取ろうとする、永遠に解決されなそうな問題がテーマとなっているからだろう。わたし自身、何度男に生まれたいと思ったことか!
現在Kindleでは3冊しか出ていないのだが、早く続きが読みたい。
これまた同じ著者の『子爵ヴァルモン』も気高く、強い女性が出てきてかっこいい。はらはらするけど。
作者の原田マハさんも述べている通り(インタビューへのリンク)、非現実的で、夢小説的でもあるのだが、それを補ってあまりある、読んでて気持ちよくなる文章の応酬である。
妻で総理の凛子の政策や、夫の日和の世の中の見方は、わかりやすいくらい現代的でリベラルである。古くさい人たちも、ふたりにつられてだんだん考えを改めていくし、凛子と日和の関係がどんどん強固になっていくところもなごむ。
わたしも、夫や周りの人に感謝せずに突っ走ってる感がある。しかも自分の道と呼べるほど高い志を持っているわけでもない。なんとなく探検してみたい未開っぽく見えるところを好奇心のままに無計画に突き進んでいるのだ。みなさんつきあわせてごめんなさい…などと身につまされた本であった。男女同権とは、これまで伝統的に女性がやってきたものをすべて男性に押し付ければ果たされるというものではないのだ。
30歳を過ぎて自分を「女子」というのはちょっと厚かましくて恥ずかしいのだが、今日紹介する本の主人公は10代だったり、やたらエネルギーに溢れているので、これは「女子」と呼んでもいいでしょう!
7SEEDS(田村由美)
少女漫画の部類に入ると思うのだが、男女問わず友達から熱烈におすすめされた本。ネタバレになってしまうのだが、現在のような形をとどめなくなってしまった日本で、サバイバルをしていく若者を中心とした約40人の話である。
とにかく、女性がたくましい。「虫が嫌い」という彼氏と対比されるやたらたくましい女子高生の花とか、グループを統率する建築家志望の蘭はもうかっこいいとしか言えない。
元警官の牡丹のいう女性はすべての人を見守りながら、サバイバル能力にも長けていて、新しい時代の「聖母」感すら漂わせている。
そんな中、気の弱い女子も、情けなかった男子も、だんだん強くなっていく。そして、一見強そうに見える人々の方も、人との関わりを通して新しい世界で生きることについて考えを深めていく。
人との関わりを通してトラウマや悩みを克服していく姿も心を打たれるし、原始時代のような日本との対比を通して現代社会への鋭い批判もしていて、読み応えのある作品だ。
未完なので、どういう風に終わるのかなあというところが非常に気になる。ちなみに同じ著者の『BASARA』もなかなか胸を焦がしますよーーー!
とりかえ・ばや(さいとうちほ)
時は平安時代、同じ日に生まれた異母姉弟が、自らの信念のままに性別を交換して生きていくことにするという話。ふたりは社会的な性別を心の性別に合わせるのだが、男女の役割が明確に固定されている社会なので、もちろん苦難に巻き込まれていく。
とにかく話の展開が速く、「ええっ、そんな重大な決断を、あっさりと!」みたいなところもあるが、そのおかげもあってページをめくる手が止まらない。プロの技だ…
男として生きる姉の沙羅双樹の悩みも、女として生きる弟の睡蓮の辛苦も、なぜか現代女性に響いてくるものがある。社会における「男女平等」と「生物としての生殖機能」のバランスを取ろうとする、永遠に解決されなそうな問題がテーマとなっているからだろう。わたし自身、何度男に生まれたいと思ったことか!
現在Kindleでは3冊しか出ていないのだが、早く続きが読みたい。
これまた同じ著者の『子爵ヴァルモン』も気高く、強い女性が出てきてかっこいい。はらはらするけど。
総理の夫(原田マハ)
アラフォー女子(!)が日本初の女性総理大臣になるという話。彼女の夫の日記という形式で綴られた物語である。作者の原田マハさんも述べている通り(インタビューへのリンク)、非現実的で、夢小説的でもあるのだが、それを補ってあまりある、読んでて気持ちよくなる文章の応酬である。
妻で総理の凛子の政策や、夫の日和の世の中の見方は、わかりやすいくらい現代的でリベラルである。古くさい人たちも、ふたりにつられてだんだん考えを改めていくし、凛子と日和の関係がどんどん強固になっていくところもなごむ。
私、すごく自己中心的な人間だと思う。自分のことばかり、考えてきた。総理になって、家庭を顧みなくなったことを反省する、凛子のこの言葉にぎくりとした。「伴走」をどう捉えるかは人それぞれだと思うが、「自分の道を脇目もふらずに走って行くのに」というところがひっかかったのだった。
どうしたら、思うように仕事をすることができるか。どうやったら、誰にも邪魔されず、自分で決めた道を突っ走っていけるか。
とても正直に言うと、あなたは、私が自分の道を脇目もふらずに走っていくのに、ぴったりの伴走者だったのよね。
わたしも、夫や周りの人に感謝せずに突っ走ってる感がある。しかも自分の道と呼べるほど高い志を持っているわけでもない。なんとなく探検してみたい未開っぽく見えるところを好奇心のままに無計画に突き進んでいるのだ。みなさんつきあわせてごめんなさい…などと身につまされた本であった。男女同権とは、これまで伝統的に女性がやってきたものをすべて男性に押し付ければ果たされるというものではないのだ。
男性論(ヤマザキマリ)
ヤマザキマリさんの新刊キター!
以前も書いた通り、これまでのヤマザキさんの生き方から紡がれるエッセイは本当に面白いし、深いし、かっこいい。(過去記事:『ヤマザキマリさんがかっこいい!』)
帯には「波瀾万丈の男性遍歴」と書いてある。確かに、エキセントリックな詩人の子供を身ごもって、別れて、かなり年下の男性と子連れ再婚、という遍歴は相当波瀾万丈だけど、その事実よりもその経験を乗り越え、糧にしたヤマザキさんの物事の考え方の方がわたしの心を捉える。
とにかく、妻候補や浮気相手というセクシュアリティを要に女性を見ている、そんな男性の評価だけが女性の美の価値観であってはいけないと思います。それを念頭に置きさえすれば、もっと女性である以前の、人間としての人生が楽しくなるのではないでしょうか。
若いアイドルのような女の子を求める男性、さらにその美意識に合わせる女性に大して苦言を呈している。「他人に求められる」というのはわかりやすい指標ではあるが、それを目標にすると苦しいものだ。
自分に自分で満足するというのはなかなか難しいのだが、作者は「自分の鏡を持つこと」と説いている。周りを気にする日本人的にハードルが高い気がするが、持てるようになりたいものである。