2014-03-09

MoMA 『A Collection of Ideas』展へ行ってきた(25ドル払いました)

ニューヨーク近代美術館、MoMAで新しい展示が始まったというので行くことにした。
展示名は「A Collection of Ideas」。3階のはじっこに設置されており、美しく機能的に標準となったデザインだけでなく、新しいイノベーションのカテゴリーやデザインの形を導入したものも展示している、とのことである。

展示の入口にある表示は星座を模したムービーで超すてきだ。

入ってすぐのところにあった巨大な展示。
むむ、これ、よく見る気がする…Google Mapsのピンだ!
ちなみにGoogleからの寄贈と書いてあった。MoMAのサイトで見ると、デジタルデータでもらったと書いてあるので、印刷して貼付けたのかなあ。
解説:Google Map Pin (MoMA)

壁にぺたっと貼られていたアットマーク。イノベーションとデザインを兼ね備えているといえば確かにそうである…
すぐ横にあった解説いわく、アットマークの起源には6世紀からラテン語で使われてたとか、16世紀にヴェネチアで使われてたとか、諸説あるそうだ。
MoMAでは2010年にアットマークをコレクションに加えたとのことである。紹介している記事のタイトルがウィットに富んでいる。
ところで、無精わたくし、恥ずかしながら@が英語だと「at sign」というのを今日知りました…
記事:@ at MoMA (MoMA)

どこの駐車場でも見かける、車椅子とか身体が不自由な人のスペースを示す看板。
ステレオタイプなこの看板のイメージを変えよう!ということで、アーティスト3人が取り組んだプロジェクトだそうだ。
目のつけどころがおもしろいなーと思うと同時に、躍動感溢れる車椅子のデザインが元気になれそうで楽しい。
解説:Accessible Icon Project (MoMA)

写真だとまったく伝わらないけど、プロジェクターで壁に映し出された草。
ゆらゆらとゆれて、屋内にいながらにして風まで感じられる作品。癒しだーーと思いきや、なんと光量や風速を感知するセンサーがつけられていて、それに応じて成長したり、種を落としたりするらしい。すごい。
解説:Lightweeds (MoMA)

この展示をするにあたり、MoMAは8つのゲームを新たにコレクションに加えたそうだ。解説いわく、インタラクションデザインの重要度が増しているからとのことである。

ストリートファイター2。ちゃんとプレイできる。
必殺技が出せなくて夫に負けた…としょんぼりしていたら、コアゲーマーの夫「このコントローラー、特設のものだから操作しづらい」という評価をしていた。ちっ。
紹介:Hyper Street Fighter 2 (MoMA)

テトリス。白黒だし、なんだか動きもかくかくしている!
素晴らしいシステムを基本として、操作性とゲーム性が磨かれて今に残っているんだなあと思った。
ソ連の教育機関で生まれたという由来は知らなかった。
解説:Tetris (MoMA)

パックマン。初めてやってみたけど、奥深そうでなかなかおもしろい。
横にはパックマンのコードを可視化した図が掲げられていた。
解説:Pac-Man (MoMA)
解説:Distellamap (Pac-Man) (MoMA)

こちらはシムシティ。確かにこのゲームのアイディア、デザインは革新的である。
自分がはまっているからだが、わたしは社会の授業の教材としてシムシティを取り入れたらどうかなあ、と思っている。都市は絶妙なバランスの上に成り立っていて、まちづくりには絶対に正しい答えがないということがわかるからだ。人が多い都市は税収が多いけど渋滞やら上下水道、犯罪増加等の問題が起こりやすい。人が少ない都市はとにかくお金がなくて、何をするのも苦しくて、どんどん人が離れていく…あれ、これはもしかしてわたしが下手だからですか!
ちなみにアメリカの学校ではシムシティを学校教育に使うという動きがもう出てきているようだ。(SimCity EDU)
解説:SimCity 2000 (MoMA)

他の展示もとても楽しかった。来年の1月までやっているので、もう1回くらい行きたい。

ところでMoMAは金曜日の16時以降は無料である(過去記事)。
これまで幾度か、無料時間帯を狙って行っていたのだが、人ごみにもまれて疲れるので短時間で引き上げてしまっていた。
今回はゆっくり見たいと思ったので、ひとり25ドルのチケットを買って入ったのだが、日曜日にも限らず人がそこまで多くなくて、「これは払う価値があるかもな」と思ったのだった。

ところで、MoMAといえば、以前読んだこの本!
MoMAのキュレーターと、日本のある美術館の監視員のアンリ・ルソーの絵画を巡る推理と駆け引きがすごくおもしろかった。


表紙にも使われていて、作中で重要な役割を果たす作品、『夢』は、もちろんMoMAに置いてある。

絵の前に立って、思わず暗号が仕込まれているんじゃ…!?と探してしまう楽しみは、『ダヴィンチコード』を読んだあとにフランスやイギリスの教会できょろきょろしてしまうのと似ている。

ともあれ、こんな風に、ひとつひとつの作品をじっくり楽しみたい方には、ちょっと高いような気がするけど、25ドル払って入ることをおすすめしたいなあと思ったのであった。


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4 件のコメント:

  1. うささん、はじめまして!わわわと申します。
    今度夫を帯同して海外赴任する予定がありまして、先輩がいらっしゃらないか…と検索しているうちにこのブログにたどり着きました。
    初の海外赴任に向けてわくわくと同時にこれで良かったのか…?と不安が募る日々ですが、ブログを読ませていただきとても励みになります、これからも訪問させていただきたいと思います。
    (記事に関係ないコメントになってしまいすいません汗)



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  2. わわわさん
    初めまして!とても嬉しいコメントありがとうございますー!同じような境遇になる人の参考になるといいなあと思ってブログを書いていたので、本当に嬉しいです。
    海外赴任、おめでとうございますー。夫を連れて行くのって、前例があまりいないし、どきどきしますよね。周りの人は「は?どういうこと?」って何度も聞いて来たりするし(笑)(わたしが古い組織にいたからでしょうか…)
    前例をちょっとずつ作っていって、いろんな可能性が広がる社会になるのを微力ながら手伝えればいいなあと思っている毎日です。
    ぜひぜひこれからもよろしくお願いします。今後もいろいろお話できたらうれしいです。
    Twitterもやっていますので、もしアカウントをお持ちでしたら教えてくださいー!

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  3. わーこんなに早くご返信いただけて嬉しい限りです!
    うちも古い組織&環境なので、夫を連れて行くというとネガティブな反応しか返って来ません。
    幸い直属の上司や両親、友人は理解して応援してくれているので、こういう人生の選択もあるっていうのを周囲に知らせることが出来ればいいなーと思っています。
    うささんの結婚式についての記事を読んで、そちらにもかなり共感しておりまして、本当にこのブログを見つけられてよかったです、是非是非こちらこそよろしくお願い致します。

    そして鯛子という謎のニックネームを残したままでした、すいません…。

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  4. 近い存在が応援してくれるっていうのはうれしいですよね。そういう人がいたからこそ決断できるという面もありますし!
    「こういう人生の選択もあるっていうのを周囲に知らせることが出来ればいいなー」というのもすごく共感します。やったことない人がいるならやればいいじゃん!と思ってます。めんどくさいことも多いですが、そうすることによっていろいろ考えるいいきっかけになってます。
    結婚式の記事!弟の数百万レベルのお式を見てもやっとしたあとほとんど勢いだけで書いたのですが、そう言っていただけると本当にうれしいですー。「常識」「やってあたりまえ」みたいな空気にはとことん反発してしまう子供な30代だなあと自分でも感じています(笑)

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