ここ数年、漫画を買うのは控えていた。というか、触れることすら遠ざかっていた。
理由はこんなかんじである。
これらの問題を解決してしまうKindleが手元に来てからというもの、漫画を読む量が一気に増えた。
買う。
↓
読む。
↓
おもしろい。
↓
読み終わる。
↓
「○○(作者名)の本をもっと見る」
「この本を買った人はこんな商品も買っています」
↓
当然続編を選ぶ。
↓
「1-Clickで今すぐ買う」
↓
読む
↓
(以下略)
ということで、本日はすばらしきマンガ+Kindleのコンビネーションで読んだこの漫画を紹介したい。ネタバレがありますのでお気をつけください。
ドラマが話題になっているというのを見て、気になって買ったところ、最新刊まで一気に読んでしまったああ。
様々な登場人物が繰り広げる恋愛模様は、打算や欲望にまみれていてあまりきれいなものではないが、それだけにリアリティーを感じさせるし、人とのつながりとか、生きていくことについて考えさせられる。
わたしは女なので、つい、女性の登場人物に注目して読んでしまう!ということで、おせっかいなおばちゃんの視点から、主要女性キャラクター4人へ勝手にアドバイスしたい。
ついに現実と漫画の世界がごっちゃになったか…と思われた読者のみなさん。だいじょうぶです。結構前からです。あと、ドラマは見ていないので、ご承知おきください。
サエコ
主人公爽太の恋慕する相手。現実の世界でもたまに見かける恋愛至上主義者。しかも自分が好きになるのではなく、相手から好きになってもらって満足して、それこそ男から男へと渡り歩くたちの悪いタイプである。
憧れる人も多そうな裕福な専業主婦だが、典型的な亭主関白の夫に顧みられることもなく、友達とも疎遠になりつつあり(というか、こういう人って女友達いなそうなんだけどどうなんだろ?)、孤独感を覚えるシーンがいくつか書かれている。
働きたいと言っても夫は許可してくれないし、母親には、「働くって言ったってあなたの能力で何ができるの」とか言われてしまう彼女に同情する面もなきにしもあらず。
彼女の悲劇や屈折した「恋愛」への考え方は、ひたすらモテスキルだけを磨き抜いた末路という気がしない。
『NANA』と『新エロイーズ』でも、女性は子供ができたことをきっかけに恋人との関係性だけでなく、自分のあり方をがらっと変える。(このふたつを並列に並べるのはどうかと…) できちゃった婚の人たちもそうだ。
こんなタイトルをつけておいてなんだが、サエコにアドバイスすることはない。恋愛より楽しいことがいっぱいあるよーと言っても彼女の趣味で生き甲斐だから「ない」と言われそうだし、人を傷つけるのはよくないんだよーって言っても無邪気に「何がいけないんですか?」って返されていらっとしそうだからだ。…ってここまで考えちゃうわたし、さすがにちょっと妄想がやばい。
主要人物の中ではまだまだ語られていない部分が多い気がするので、これからもっと心の深いところが見えてくるのかなあと思うと、救いを期待すると同時に、見るのが恐ろしい気持ちにもなる。
えれな
主人公の爽太のよき理解者で、どんなことも話せる明るく屈託のない性格。モデルで美人だし、人のことを悪く言わない(ように心がけている)。女なら誰でも憧れてしまうような子で、友達にしたい子、幸せになってほしい子ナンバーワンである。
えれなの存在は、「男と女の友情」とか、「好き」とか、「つきあう」とかってどういうことなんだろう、という疑問をつきつけてくる。
人との関係で、自分がどれだけ関わっていいのかってなかなか難しい。友達にはなんでも言えるのに、恋人には口をつぐんでしまう、ということはよくあることのような気がする。
これは、友達という関係はそうそう壊れないけど、恋愛関係っていう状態は壊れてしまって修復できない可能性があるからじゃないかなあと思う。でも、恋人だったり、配偶者だったりと関係を続けていくには、自分の考えていることを伝えて、その上でどうしていくかをふたりで考えていく必要があるとわたしは考えている。
えれなにはぜひ、いい子から少し脱皮して、「自分がどうしたいのか」をぶつけるところから何かを見出してほしい。しかしなにぶんいい子なので、「どうしたい」=「我慢すること」になりそうでおばちゃんはひやひやである。
薫子
仕事が好きで、恋愛下手で、いろいろあきらめている風を装っている主人公の同僚の薫子さんは、わたしの周りでは最も多くの人からの共感を集めている。
わたしも他人とは思えない…サエコのような恋愛至上主義者に対して、軽蔑のまなざしを送ってしまう気持ち、わかりすぎるーーーーすみませんーーーー。
恋愛を生活の中心に置くのはいやだけど、するからにはまじめでありたい、と思いつつ、真逆の生き方をしているサエコとの交流を通して、恋愛ができないのは自分が努力をしていないからなのか?と自問自答する姿はなかなか見応えがある。
恋愛も結婚もタイミングが重要だし、「ばかばかしいな」と思いながら相手を「落とす」のはなんだか相手に失礼な気がする。
あと、薫子さんはどこか「恋愛はしなきゃいけないもの」って思っているような気がするけど、「恋愛はしてもいいもの」であって、人生の必要条件ではないんだよーというのも言ってあげたい。だから、恋愛してなくても人間失格みたいに思わなくていいんじゃないか。
いずれにしても、薫子さんには恋愛面でも仕事面でも、もやもやせずに「これでいく!」という自分の道を貫いてほしい気がする。彼女が満足する道を見つけてほしいなあと思わせるキャラクターだ。
まつり
主人公の妹で大学生のまつりは、「正しい自分でありたい」気持ちが強くて、自分の欲求の優先順位が低い。
二股をかけられていた友達の彼氏と別れて主人公の同僚のオリヴィエに押し切られてつきあっているのだが、端々からなんとなく冷めた雰囲気が伝わって来る。
しかし、正しいってなんだろう?そのルールを決めているのは何だろう?そして、恋愛とは、「正しいか正しくないか」だけで制御できるものなのだろうか?というのを、正しくなさそうな恋愛をしている主人公の対比から強く訴えてくる。
正しい恋愛、なんて問いにはきっと答えがない。まつりちゃんには、いっぱい失敗をしながら自分の恋愛を見つけてほしいなあと思う。
ところで、この漫画を読んで、何か似たような話を読んだことがあるなあと思ったんだけど、『モテキ』だ!
男の主人公がひとりでぐるぐる考えて、相手に伝えないで自爆する様とか、周囲の女がその姿を見てやきもきするのとか、似たような構成じゃないだろうか。
恋愛の場合に限らず、他人とのコミュニケーションって難しいものだ。
自分の気持ちを伝えることをためらってしまうのは、相手の反応が怖いからなのだろう。でも、溜め込むといつかその反動で自分が壊れてしまう。
友達や恋人との関係を強固なものにするという目的だけでなく、自分の心を平静に保つためには、怖くても、自分の気持ちを表現していくことが大事だな、ということを再確認した。
理由はこんなかんじである。
- 冊数が多くなりがちで収納スペースがとられる
- シリーズ全巻を最初から一気に買うのはためらわれる
- おもしろかった場合、ちょっとずつ続きを買いに行くのがめんどくさい
これらの問題を解決してしまうKindleが手元に来てからというもの、漫画を読む量が一気に増えた。
買う。
↓
読む。
↓
おもしろい。
↓
読み終わる。
↓
「○○(作者名)の本をもっと見る」
「この本を買った人はこんな商品も買っています」
↓
当然続編を選ぶ。
↓
「1-Clickで今すぐ買う」
↓
読む
↓
(以下略)
ということで、本日はすばらしきマンガ+Kindleのコンビネーションで読んだこの漫画を紹介したい。ネタバレがありますのでお気をつけください。
様々な登場人物が繰り広げる恋愛模様は、打算や欲望にまみれていてあまりきれいなものではないが、それだけにリアリティーを感じさせるし、人とのつながりとか、生きていくことについて考えさせられる。
わたしは女なので、つい、女性の登場人物に注目して読んでしまう!ということで、おせっかいなおばちゃんの視点から、主要女性キャラクター4人へ勝手にアドバイスしたい。
ついに現実と漫画の世界がごっちゃになったか…と思われた読者のみなさん。だいじょうぶです。結構前からです。あと、ドラマは見ていないので、ご承知おきください。
サエコ
主人公爽太の恋慕する相手。現実の世界でもたまに見かける恋愛至上主義者。しかも自分が好きになるのではなく、相手から好きになってもらって満足して、それこそ男から男へと渡り歩くたちの悪いタイプである。
憧れる人も多そうな裕福な専業主婦だが、典型的な亭主関白の夫に顧みられることもなく、友達とも疎遠になりつつあり(というか、こういう人って女友達いなそうなんだけどどうなんだろ?)、孤独感を覚えるシーンがいくつか書かれている。
働きたいと言っても夫は許可してくれないし、母親には、「働くって言ったってあなたの能力で何ができるの」とか言われてしまう彼女に同情する面もなきにしもあらず。
彼女の悲劇や屈折した「恋愛」への考え方は、ひたすらモテスキルだけを磨き抜いた末路という気がしない。
あたし…爽太くんに あたしのこと好きになって欲しいって本気で思いますこれは行き過ぎた想像だが、こういう人物が渡り鳥をやめるのは子供ができた瞬間なんじゃないかな。
他の女の子も周りにたくさんいると思うけど
がんばってあたしのこと一番好きになってもらおうって
それが「本気で好き」ってことですよね?
『NANA』と『新エロイーズ』でも、女性は子供ができたことをきっかけに恋人との関係性だけでなく、自分のあり方をがらっと変える。(このふたつを並列に並べるのはどうかと…) できちゃった婚の人たちもそうだ。
こんなタイトルをつけておいてなんだが、サエコにアドバイスすることはない。恋愛より楽しいことがいっぱいあるよーと言っても彼女の趣味で生き甲斐だから「ない」と言われそうだし、人を傷つけるのはよくないんだよーって言っても無邪気に「何がいけないんですか?」って返されていらっとしそうだからだ。…ってここまで考えちゃうわたし、さすがにちょっと妄想がやばい。
主要人物の中ではまだまだ語られていない部分が多い気がするので、これからもっと心の深いところが見えてくるのかなあと思うと、救いを期待すると同時に、見るのが恐ろしい気持ちにもなる。
えれな
主人公の爽太のよき理解者で、どんなことも話せる明るく屈託のない性格。モデルで美人だし、人のことを悪く言わない(ように心がけている)。女なら誰でも憧れてしまうような子で、友達にしたい子、幸せになってほしい子ナンバーワンである。
えれなの存在は、「男と女の友情」とか、「好き」とか、「つきあう」とかってどういうことなんだろう、という疑問をつきつけてくる。
…それを怒れるような立場じゃなかったんだよあたしは不倫をしている人が言いそうな台詞だな…と書いていて思った。
だって彼女でもなんでもなかったんだもん (中略)
爽太くんにとってのあたしの価値は爽太くんが決めることだもん
あたしが文句言う資格はないよ (中略)
……ちゃんと付き合ってたら上手くいってたかもね
でも現実には付き合ってなかったし
なんにも始まってなかったってことだよ
人との関係で、自分がどれだけ関わっていいのかってなかなか難しい。友達にはなんでも言えるのに、恋人には口をつぐんでしまう、ということはよくあることのような気がする。
これは、友達という関係はそうそう壊れないけど、恋愛関係っていう状態は壊れてしまって修復できない可能性があるからじゃないかなあと思う。でも、恋人だったり、配偶者だったりと関係を続けていくには、自分の考えていることを伝えて、その上でどうしていくかをふたりで考えていく必要があるとわたしは考えている。
えれなにはぜひ、いい子から少し脱皮して、「自分がどうしたいのか」をぶつけるところから何かを見出してほしい。しかしなにぶんいい子なので、「どうしたい」=「我慢すること」になりそうでおばちゃんはひやひやである。
薫子
仕事が好きで、恋愛下手で、いろいろあきらめている風を装っている主人公の同僚の薫子さんは、わたしの周りでは最も多くの人からの共感を集めている。
わたしも他人とは思えない…サエコのような恋愛至上主義者に対して、軽蔑のまなざしを送ってしまう気持ち、わかりすぎるーーーーすみませんーーーー。
恋愛を生活の中心に置くのはいやだけど、するからにはまじめでありたい、と思いつつ、真逆の生き方をしているサエコとの交流を通して、恋愛ができないのは自分が努力をしていないからなのか?と自問自答する姿はなかなか見応えがある。
人間は お菓子?薫子さんの悩みは難しい…モテ路線への妥協は必要なのか?ということだと思うが、もし薫子さんにそう聞かれたら、わたしは「必要ない」と答えたいと思う。
あたしが全然売れないのは当たり前の努力をしてないせいなの?
飾ったり、おすすめアピールしなきゃ興味もってくれないお客さんに
「わかってない」とか怒ってイラついてる方が間違ってるってこと?
恋愛も結婚もタイミングが重要だし、「ばかばかしいな」と思いながら相手を「落とす」のはなんだか相手に失礼な気がする。
あと、薫子さんはどこか「恋愛はしなきゃいけないもの」って思っているような気がするけど、「恋愛はしてもいいもの」であって、人生の必要条件ではないんだよーというのも言ってあげたい。だから、恋愛してなくても人間失格みたいに思わなくていいんじゃないか。
いずれにしても、薫子さんには恋愛面でも仕事面でも、もやもやせずに「これでいく!」という自分の道を貫いてほしい気がする。彼女が満足する道を見つけてほしいなあと思わせるキャラクターだ。
まつり
主人公の妹で大学生のまつりは、「正しい自分でありたい」気持ちが強くて、自分の欲求の優先順位が低い。
二股をかけられていた友達の彼氏と別れて主人公の同僚のオリヴィエに押し切られてつきあっているのだが、端々からなんとなく冷めた雰囲気が伝わって来る。
だから好きだって言ってるじゃん正しいことをしていると信じている人は、自信をみなぎらせている。他人から攻撃されるところがないと思っているからだろうか。弱点がないボスキャラみたいなかんじ。だからそうありたいと思う人は多いのだろう。わたしもできれば「正しく」ありたいと思う。
正しいと思うから付き合ってる
しかし、正しいってなんだろう?そのルールを決めているのは何だろう?そして、恋愛とは、「正しいか正しくないか」だけで制御できるものなのだろうか?というのを、正しくなさそうな恋愛をしている主人公の対比から強く訴えてくる。
正しい恋愛、なんて問いにはきっと答えがない。まつりちゃんには、いっぱい失敗をしながら自分の恋愛を見つけてほしいなあと思う。
ところで、この漫画を読んで、何か似たような話を読んだことがあるなあと思ったんだけど、『モテキ』だ!
男の主人公がひとりでぐるぐる考えて、相手に伝えないで自爆する様とか、周囲の女がその姿を見てやきもきするのとか、似たような構成じゃないだろうか。
恋愛の場合に限らず、他人とのコミュニケーションって難しいものだ。
自分の気持ちを伝えることをためらってしまうのは、相手の反応が怖いからなのだろう。でも、溜め込むといつかその反動で自分が壊れてしまう。
友達や恋人との関係を強固なものにするという目的だけでなく、自分の心を平静に保つためには、怖くても、自分の気持ちを表現していくことが大事だな、ということを再確認した。
0 件のコメント:
コメントを投稿