2015-02-28

意を決してアメリカで病院へ行った話

わたしは身体がものすごく丈夫である。ゆえに日本にいたときも、年1回の定期検診以外で病院にかかることはほとんどなかった。医者嫌いというわけではないけど、ちょっと体調がすぐれないときでも睡眠をとればすぐに治るので、病院へ行く必要がない。

しかーし。最近たまに、わき腹近辺が急に痛くなることがあった。そんなに頻繁ではないのだが、毎回同じところが痛む。
「厄年くらいは本当に身体壊すから。気をつけるんだよ」
という友人の言葉が脳裏をよぎる…
うぐぐ、たしかにそうなのだ。わたしの周りを見渡しても、30歳を過ぎてから特に婦人科系の病気が見つかった友達がやたら多い。健康を過信してはいけない年齢なのかもしれない。
なんせ健康なので、医療システムはもちろん、臓器や医療の英語もわからないのにアメリカで病院かあ…と思いつつも、まだまだ人生に未練がありまくりなのにある日ぽっくり、みたいなことになるのもいやだったので、重い腰をあげることにした。はい、ここまで長い前置き。おつきあいありがとうございます。前置きも長いですが、中身はもっと長いです。

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ステップ1. 契約している保険を確認しよう!
まずは病院を探さねば…と思い、Zocdocを試してみることにした。


Zocdocはニューヨーク発のスタートアップ企業。複雑怪奇なアメリカの医療界において、オンラインでお医者さんを探せて予約できるというすばらしいウェブサービスである。

よーし、さっそく検索!…ううう、「○○科」っていう英単語すらよくわからない。そもそも外科ってなんで「外」科なの?とりあえず、辞書をひきまくる。今回は症状がなんだかよくわからないので、日本で言うところの内科(って言えばいいんだろうか?)、最初にかかるべきらしい「Primary Care Doctor」にしてみた。

しかしここで手が止まった。「Who participates in」??


うわ、保険である。よくわからないまま契約した保険のカードにはAetnaって書いてあるから…


………
自分がAetnaに入ってるかな?と思っても、Aetnaのどのプランかっていうのがわからない選択肢の量。あてずっぽうも無理。さすが複雑怪奇、魑魅魍魎がはびこるアメリカの医療システム。(※個人のイメージです)

ということで、自分が入っている保険のプランを保険会社のウェブサイトで確認した。日本ではたぶん起こりえない、思わぬトラップだった。日本では保険が使えるかどうかってことを気にしないからこんなサービスもいらないのかもしれないが。


ステップ2. 病院を探そう!
◇Zocdocをもう一度試してみる
さあ、今度こそZocdocの出番だ!Primary Care Doctor、郵便番号、調べた保険のプランでもう一度検索!

こんなかんじで、保険ネットワーク内のお医者さんが口コミと一緒にいっぱいでてくる。

それはもう…いっぱい…10ページって何人出てくるんですか!!!

人は選択肢が多くなりすぎると決められないと言う(『選択の科学』より。以前の書いたもの)。まさにそういう状態になりそうなわたし…口コミで選ぶか…うーん、うだうだ。

◇日本大使館のウェブサイトを見てみる
そういえば、「困ったときは大使館」と誰かが言っていたことを思い出した。大使館だったら日本クオリティーの情報を提供してくれているのでは、と思いぐぐってみた。

ワシントンDC医療情報(在米日本大使館)

うおおお、ありがたやありがたや。
歯医者さんばっかりだけど、内科のお医者さんも掲載されている。しかも日本語が使えるところなんて!
しかし…ここで欲が出た。みんな遠い。なんでバージニアなのーーー。未だに車の免許を持っていないわたしは、不安定かつ酔う公共交通機関を乗り継いで、2時間かけて病院へ行かなければいけないのだろうか…
もうこうなったら日本語じゃなくてもいいので、歩いていけるお医者さんはないのか。選択肢の多さはわたしを贅沢にした。

◇知り合い・同僚に聞く
なぜ最初からそうしなかったのか…という声が聞こえてくる。なんででしょう…
聞いてみたところ、長く住んでいる人でも意外と「ずーっと診てもらっている」というお医者さんがいなかったりする。というのも、仕事や勤めているところの方針変更で、保険のプランもしょっちゅう変わるので、そのたびにその保険を扱ってくれるお医者さんを探さなきゃいけないとか…
この話を聞いてやっぱり医療にがっつり民間が入ってくるのってどうなの!と心が折れそうになったが、ある人から最近かかったお医者さんがよかったという話を聞いたので、その人のところに行くことにした。結局、バージニアに行くことにした

ちなみに保険のプランを確認してからお医者さんを決めるまで2ヶ月かかった。この優柔不断さ。重病だったら着々と病魔が身体をむしばんでいたことだろう。この辺、ふだん健康な人ほど危ないというのがわかる。


ステップ3. 病院へ行く
◇予約をとる
こちらの病院は予約をとるのが一般的である。病院を決めたのでさっそく電話。さすがアメリカ、最初は自動音声で、予約をとるというメニューを選んでから延々待たされる。ノイズ混じりの明るい音楽と、ときどき入る「おっ、つながった!?」と思わせる音の途切れと病院のウェブサイトを案内する声の繰り返しが10分くらい続いたあと、やっと受付の人が出た。
予約のときには、こんなことを聞かれた。

・診てもらいたい先生
・名前
・生年月日
・保険会社(プランまでは聞かれなかった…がせっかく調べたので言った)
・病院へ行く目的、症状

予約ができる時間帯はいちばん早くても1週間後だと言われた。うーん、東京の歯医者さんみたい。風邪引いたからお医者さんに行こう、とかしたら予約を待っているうちに治っちゃいそうだ。

◇問診票を書く
予約の電話で、「初診の人はいろいろ書かなきゃいけない書類があるから20分から25分早く来てください」と言われたのだが、同時に、「ウェブサイトにも書類のフォーマットが載せてあるから、それを書いてきてくれれば当日楽です」とも言われた。
医療用語わからないし、先に書いておくべきだろう。さっそく病院のウェブサイトへアクセス。

注意:一部です

………
左側のアレルギーとか手術歴はともかく、右側。初めて見る単語のオンパレードである。しかたないので辞書を引くのだが、日本語でも知らないものばかり。
リストの最後まで調べたのだが、チェックの数ゼロ。つまり重病ばかりだったのだ…途中で気づくべきだったと言えよう。
この他にも、病院に情報を登録するための書類や、情報公開についての書類がいっぱいあった。PCでかたかた打ち込めるのは嬉しい。途中まで気づかなかったんですけどね…

◇やっと病院へ行く
結局公共交通機関ではとても無理な場所にある病院にしてしまったわたし。夫に運転してもらって病院行くとか、なんだかものすごく重病人のようである。
病院の受付で書いてきた書類と保険のカードを渡す。フォトIDも求められたけど持ってない、と答えたら、次回でいいですよ、と言ってくれた。初診料として20ドルほどとられたが、クレジットカードで払った。
どうやら、看護師さんが待合室で患者の名前を呼ぶシステムになっているらしい。10分ほど待ちぼうけ。なかなか呼ばれないなーと思っていたら、夫に「呼ばれてるよ!」と言われた。ああ…保険の名前、新姓でした…
左右に部屋が並ぶ廊下を歩きながら、名前を呼んでくれた看護師さんに「気づかなくてごめんなさい、新姓だったから」と言ったところ、「あら、結婚して何年なんですか?」と聞かれた。す、すみません。もう4年目です…

看護師さんに連れられて行ったのは個室。机とベッドがあるけど、その他には大したものも置いていない。椅子も1脚しかなくて、看護師さんがそこに座り、わたしはベッドの上に座らされた。日本のお医者さんは、おそらく製薬会社からのノベルティと思われるものが部屋にあふれているので、なんだかちょっと新鮮だ。
看護師さんに初めてだからと身長・体重を測られ、名前や生年月日を確認して、来院の理由やアレルギーの有無を聞かれる。わたしが話した内容を看護師さんは手にしていたノートPCでぱちぱち打ち込んでいく。ひと通り質問が終わったあと、看護師さんがドクターを呼んでくるからと退室した。

しばらくして、ノートPCを片手に持ったお医者さんが部屋に入ってきた。噂通り、めちゃくちゃてきぱきしていて、感じのいいお医者さんである。看護師さんが入れたデータをPCで見ながら、わたしに細かい質問をしていく。傷みが出るのはいつだとか、どのくらい続くのか、生理や便通に問題はないかとか。何も自覚するような問題はない、と答えたら、「とりあえずすぐできる尿検査をして、今後精密検査をしましょう」という話になった。尿検査の容器とともに、小さいパッケージに入ったぺらぺらのおしぼりみたいなものを渡された。「これで拭いてください」って、手なのだろうか、それとも…

すぐに出た尿検査の結果は問題ありませんでした、という話とともに、お医者さんに1枚の紙を渡された。いわく、精密検査の設備はこの病院にはないから、この紙を持って別のところに行かなければいけないという。
さらに、わたしはちょっと驚いたのだが、その結果はお医者さんのところに直接送られて、お医者さんが診断をして、電話で結果を知らせるということだった。電話でって!わたしが日本でかかったお医者さんは、その日に薬を出してこれで治らなかったらまたきてねーというやり方だったので、そんなやり方もあるんだなあと目から鱗が落ちた。
結局、待ち時間も含めて20分以内で終わっただろうか。帰りながら気づいた。あんなにがんばって書いた問診票を使っていない…


ステップ4. 検査施設へ行く
◇予約する
今度は探さなくていいから楽勝、と思っていたのだが、よく見るとその検査施設もいろいろなところにあるようだ。仕事前に行けるように、ビジネス街にある施設を予約することにした。電話が人に替わるまで1分くらいだったので、この前の病院と比べたらスムーズである。
どういう検査を受けたい、とお医者さんに言われたまま伝えたところ、受付の人がその検査の場合に気をつける内容を教えてくれた。
「骨盤まわりの超音波なので、膀胱を空にしないでください」
「えっ?膀胱を空にしないってどういうことですか?」
「2時間前からトイレに行かないでください」
そ、そんな検査あるのー!?(今なら言える、あります)
ちなみに膀胱はbladderという。もちろん以前は知らなかったのだが、先日の問診票で調べていたのでわかったのである。使われなくて持ち帰ったあの問診票(にかけた時間と労力)が、浮かばれた瞬間であった…
検査の予約がとれたのも、結局そこから1週間後だった。最初に病院行こうと思ってから、はや2ヶ月半以上経っている。

◇検査施設へ行く
検査施設はオフィスビルの1フロアに入っていた。保険のカードを見せて、簡単な問診票的なものを書く。お金払わなくていいの?と聞いたら、保険に入ってるなら保険会社に請求するから、と返された。保険すごい。
しばらく待って名前を呼ばれた。今度は新姓にもばっちり反応。若い技師さんと思われる女性に、ビニール袋に入ったガウンを渡された。
「下着も含んで全部脱いで、これを着て待っててください。あ、靴は履いてていいです」
…靴。その日は雪が降っていたのでわたし長靴なのだが。ほぼ裸に長靴って…同じことに技師さんも気づいたようで、一瞬彼女の顔に気まずそうな色が浮かんだ。スリッパとかないのか、と思ったのだが、あるわけない。

ビニール袋に入ったガウン。カーテンで仕切られた空間なのをいいことに写真を撮った。開ける。

わかりますか?このしわくちゃ具合。さすがアメリカクオリティー。

◇いざ、検査
しわくちゃのガウンに身を包まれ、検査室へ向かった。巨大なキッチンペーパーみたいな使い捨てシーツが敷かれたベッドと、超音波の検査機器と、天井からぶらさがったモニターが1台。なんで天井に?と思ったのだが、ベッドに寝てみてわかった。リアルタイムで自分の内部の映像が見えるのである。
技師さんはてきぱきと検査を進めていく。…のだが、うぎゃーーー!!2時間お手洗いに行くのを我慢したあとに、膀胱近辺を圧迫されるのがこんなにきついとは!!これ新しい拷問なんじゃないのーーーー!
永遠にも感じられるような苦行が終わったあと、「婦人科検査の前にまずはお手洗いに行ってきてください」と言われたときには、技師さんの目にわたしの膀胱はどう映っていたのだろう…と思った。
お手洗いから戻ってちょっとすると、技師さんとともにお医者さんが入ってきた。婦人科のエコー検査もして、お医者さんがうーん、とちょっと思案顔。な、何かあったんですか!
「あなた、なんで検査を受けてるんですか?」
「いや、たまにわき腹あたりが痛くて…」
「今日の検査の結果、なんにもないです。大丈夫」
………
ほっとするとともに、なんだか健康な人間がみなさんをお騒がせして申し訳ない気分になったのであった。


ステップ5. 診断結果をもらう
その日の夕方、最初に行った病院のお医者さんから、電話がかかってきた。
「検査の結果、何も問題はありませんでした。しばらく様子を見て、1ヶ月か2ヶ月経っても気になるようならさらに検査をしましょう。あ、それと、便通をよくしてください」
………
………
うたがわしきは無自覚な便秘かい!!

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ということで、長くなったが、これがわたしの病院チャレンジの記録である。
本当は日本とアメリカの比較も書こうと思っていたのだが、ちょっと長くなりすぎたので、次回以降に回したいと思う。それまでに便秘解消のいい方法がありましたら、教えてください。本人は便秘だと思ってないんだけどなあ…

2015-02-20

同僚がすばらしくて自慢せざるを得ない

アメリカに引っ越して3回目の冬である。
…寒い。ニューヨークからちょっと南に引っ越したのに、相変わらず寒い。マイナス15度とかざらなんですが!さらさらした雪は雪合戦には向かない。

寒さにはへこたれそうだが、仕事に行きたくないなーと思うことはない。揺れまくって8割の確率で酔う地下鉄には辟易するが、オフィスに着いたときには「今日も仕事するぞー!」という気持ちで、心が踊る。長い社会人生活でこんなことはあまりなかったので、その理由を考えてみたのだが、ひとえに上司や同僚がみんなすばらしく、働きやすいからなのだった。あまりにすばらしいので、今日はそのすばらしさを言葉にしてみよう。

◆◆◆◆ 突然開催!同僚自慢のコーナー ◆◆◆◆

(1)みんなプロフェッショナル
わたしの上司や同僚は、みんなある分野の専門家だ。
日々の研鑽を怠らず、必要とされるものをきちんとした質を保ちながらアウトプットしていく姿は、これまで付け焼き刃でその場しのぎ的なことばかりしてきたわたしには非常に勉強になる。
日々の研鑽というのは本当に細かいことの積み重ねで、例えば日々最新情報を集めて理解し、そこから将来の動きを予測するという行動である。「アンテナを高くしてうんぬん」とか、口では簡単に言えるけど、毎日出てくる新しいものを自分の知識とつきあわせてじっくり考えるのはなかなかできないことだ。本番へのウォーミングアップを毎日欠かさないと言えば伝わりやすいだろうか。

(2)お互いを尊重し、率直な議論ができる
「この分野はあの人の専門」というものがあると、組織の上司と部下という関係を超えて、もちつもたれつ専門分野で助け合いながら、お互いを尊重しあうようになる。自分の存在を誇示するために、上司ぶるとか、こびを売るとか、そういう間違った方向の努力をしなくてもいい。
お互いを尊重しているということがわかっているので、率直な議論ができるというのが本当に助かる。上司の顔色をうかがって、びくびく何を言うか思い悩むのとは、生産性がぜんぜん違う。わたしの上司はいつでも、「自分はこう考えてるんだけど、どう思う?」と意見を引き出そうとしてくれるし、わたしの意見が自分の考えと違うときこそ、意味があると言って感謝してくれる。わたしの英語での下手な説明をじっくり聞いてくれる点も含め、非常にできた人である…

(3)仕事が早くて、早く帰れるから元気
普段から入念なウォーミングアップ…というか準備をしているので、仕事を片付けるのがめちゃくちゃ早い。さらに率直に議論ができるので、無駄な資料を作ったり、説明をしたり、という時間が大幅に削減できていると思う。
仕事が早いので、おうちにも早く帰れるからか、みんな基本的に元気である。元気だから次の日も朝からばっちり働けるし、仕事が早く終わらせられる。お休みもきちんと取れる。これを好循環と呼ばず、なんと呼ぶのだ!ってかんじ。

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ああ、なんてすばらしい環境なんだ!書いてみて、改めてうっとり。

まったく正反対の、
(1)みんながやっつけ仕事
(2)上司が高圧的で意思疎通ができない
(3)みんな長時間働いてる、夜中でもお休みでも仕事は当たり前
というような職場で働いていた経験があるので…うっうっ。本当に、今の環境が天国のようだ。

ただ、わたしの職場のような場所は、いろいろな条件が揃わないと実現できないような気もする。ぜんぜんひねりがないけど、ひとことで言えば「人を一番大事にする」という点じゃないかなあ、とだいぶ前の友人のブログを読んで思ったのであった。

知識労働時代の資本(カネ)の使い方(Casual Startup - MBA/プログラマの起業日記)
さて、知識集約産業では、従業員の持つ知識・知恵がもっとも重要なので、資本は知識を持った従業員を定着させ、より効率的に知恵を出してもらうために使うべきです。
今現在こういう職場にいるわたしは、この主張に本当に心から同意する。

2015-01-21

海外駐在凍結か卵子凍結か、それは選択肢の問題だ

時事ネタというほどでもないけれど、ある日の記事が目に留まった。


三菱商事、育児中の在宅勤務導入 女性社員の支援拡充 (日経新聞)

 三菱商事は4月から、仕事と子育ての両立をめざす女性社員を支援する制度を拡充する。在宅勤務制度を試験導入し、海外駐在のタイミングなどにも配慮する。同社は2006年から採用を増やした女性社員が結婚や出産の時期を迎え始めている。支援体制を整え女性の管理職登用などにつなげる。
 三菱商事の女性社員比率は約25%。4月から取得時間などに上限のある在宅勤務制度を導入する。保護者会や授業参観などの行事に使える年3日間の「学校休暇(仮称)」を設けるほか、小学生を対象とした学童保育を実施する。外部の保育サービスを活用し、夏休みなど学校の長期休暇に社員の子供を預かる。  
 出産や育児がキャリア形成に影響しないよう、海外駐在の仕組みも見直す。子育てのタイミングを考慮し、女性社員の30歳前後の海外研修などを極力避ける「女性社員ファストキャリア」の導入などを検討している。
 三菱商事は20年までに現在7.1%の女性管理職比率を10%以上にする目標を掲げる。11年からは一般職の採用も再開しており、「家庭と仕事を両立して長期で活躍してもらうことは重要」(三菱商事)として環境づくりを急ぐ。大手商社は女性管理職の割合が低く他業界に比べ女性活用で出遅れているとされる。


どこか誇らしげに掲載されたこの記事、なんとなーく違和感を覚えていたのだが、その理由がわかった。同じような問題を扱っていながらも、まったく違う対応をしているこちらの記事をちょっと前に読んだからである。


FacebookとApple、女性社員の卵子凍結費用を負担(テッククランチ)

 FacebookとAppleは女性従業員が出産を先に延ばし、キャリア形成に専念しやすくしようとしている。両社は卵子凍結の費用を負担する。(中略)
 手続きには最大1万ドル費用と毎年500ドルの保管料がかかる。Facebookは既に、卵子凍結のために最大2万ドルの特典を全女性従業員に提供しており、Appleも来年1月から、費用負担を開始する予定だ。
 卵子凍結は、Appleが女性向けに提供している唯一の特典ではない。「われわれは、継続的に女性のための福祉を拡大している。育児休暇の延長、および不妊治療の一環としての卵子の凍結保存はその一部だ。当社では養子補助プログラムも提供しており、法に基づく養子縁組に係わる費用をAppleが補償する。Appleで働く女性が自分の人生のために最高の仕事をしつつ、最愛の家族を気にかけ、育てていける環境を作りたいと考えている」とApple広報担当者はメールで発表した。(中略)
 30代の女性は、卵子凍結によって出産を延期できる可能性によって「力を得た」と感じることが、2013年に”Fertility and Sterility” に掲載された調査で報告されている。同じ調査で5人に1人が、職場の柔軟性のなさが、出産を遅らせる要因だと回答している。(後略)

わたしには、同じような問題に対して、正反対のことをやっているように見えたのだった。

この取り組みの比較だが、どちらがいいとか悪いとかいう問題ではない。たとえば、「私は仕事そんなにやりたくないし、海外転勤を制限してもらえるのはうれしいわあー」っていう人もいるだろうし、「卵子凍結とか自然の摂理に反する!」って考える人もいるだろう。「卵子凍結させて、むちゃくちゃ働かせるんでしょう?」という不安もわかる。そしてたぶん実際そうなのだが、日本の企業と比べたらどうかはよくわからない…ただアメリカ人の友達と話していると、「もう日系企業はナシだよね…」という話によくなる、とだけ書いておきます。

わたしは、どのような選択肢であっても、選択肢が増えることは望ましいんじゃないかと思うのである。だって、わたしは海外駐在ストップされたらいい迷惑だと思うけど、その時期は妊活に専念したいって人もいるだろうし。卵子凍結に抵抗があっても、誰かは使いたいかもしれないし。どっちも余計なことしてくれるな!っていう人だっているだろうし。

しかしだ、三菱商事の取り組みは、なんで「女性」だけなんだろう?
例えば、子供ができた男性の側が、配偶者の都合に合わせて休める制度とか、そういう配慮はないんだろか。三菱商事の男性と結婚した女性は、社内外問わず、自分のキャリアを捨てて出産・子育てに専念しろということなのだろうか…そのうち、「待遇から見る理想の結婚相手 年収編、子育て編」なんてランキングが作られそうである。もうあるかも?

そう、夫婦別姓もわたしにとっては同じ問題だ。
だから「選択制」夫婦別姓に異論を唱える人の理屈は本当にわからんのだ。選択肢が増えるだけの問題で、あなたは選択しないかもしれないけど、選択したい人だっている。わたしのように。よく言われる子供がどうする、っていう問題だって、どうにでもなると思ってしまうのだが…。

おっと、「子供がいたら名字なんて、どうでもよくなるのよー☆」という、子なしには反撃できない鋭い一撃がどこかから聞こえてきたような気がするので、今日はこの辺で退散する。

2015-01-17

アメリカに引っ越して2年が過ぎた

いまさらクリスマスツリーの写真ですみません。

昨年の今頃、「おお、もうニューヨークに来て1年かー」と思っていたのだが、気がついたらそこからまた1年経っていた。
しかもまさかアメリカ国内で引っ越しをすることになるとは思っていなかった。けど、今のところ新しい仕事は楽しいし、同僚はみんないい人たちだし、勉強になることばっかりでいい経験をしているなあと思う。

年が明けたので新年の抱負を考えようとして、ふと気づいた。あれ、2014年の抱負って何かあったっけ…?
…あった。ばっちりブログに書いてた…。完璧に忘却の彼方だったので、全部「ああ、こんなこと書いてたのね」という感じである。せっかくなので評価してみようと思う。

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【2014年の抱負】
(1)わからないことを流さない
これはけっこうできたかもしれない。というのも、仕事が変わったので、これまでの知識が使えないことがたくさん出てきた上に、同僚たちがそれをばっちりサポートしてくれる姿勢だったからだ。(って、相変わらずこういうところは受け身ですねわたし…)

(2)いつでもユーモアを忘れない
あんまりできませんでした…どうしても納得できないことは、ばっさばっさ切り捨ててしまったよ…。もうちょっとこう、皮肉のきいたかんじでじわじわダメージを与えながら要求を通す技とか覚えたい。
むむ、この技、何かに似ている。あっ、隠れながら進むスキルが要求されるアサシンクリードだ!…アサシンクリード、開始1時間で無理だと思って投げ出しちゃったよ。ばっさばっさ敵を倒すRPGは好きなんだけどなーーーー。

(3)「めんどくさい」ことを避けない
たいてい避けずに行けたと思うけど、やっぱり正面切ってやりすぎた感は否めない。もうちょっとうまく避ける方法を…やはりアサシンクリードスキルを…

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ということで、2015年も懲りずに抱負を考えてみよう!

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【2015年の抱負】
(1)自分で勝手にあきらめない
何かをやろうとしたときに「ああ、わたしには無理だろうなあ」とやる前からあきらめてしまうことがある。そもそも何かを試すことや実験が大好きなので、興味がわいたものはとりあえずやってみようと思う。ああ、アサシンクリードも…?

(2)めんどくさいことを先延ばししない、でもあんまり計画的になりすぎない
めんどくさいことを先延ばししないというのは引き続きなんだけど、がちがちに計画されたものってなんだかつまんない。
具体的に先延ばしにしないことは、友達に連絡を取ることや、アメリカで病院に行くこと。内臓とか病気とかの英語まじでわかんなくてめんどくさいよーーー。超がつくくらい健康体なので、日本でもめったに病院に行かないのだ…
あと計画的になりすぎない、というのは週末や旅行の予定とか。突然持ち上がったことにも柔軟に対応したい。夫がめちゃくちゃフレキシブルで、いつもにこにこしているような人なので、ちょっと真似したい。しかし、日本の友達はみんな忙しいのできちんと計画しよう…

(3)節約を経験より優先させない
先日のこの日経のアンケートを見て、ちょっと考えさせられたのだ。


1位が貯金って!そりゃ景気良くならないわ!
もちろん貯金が大事っていうのはわかる。備えあれば憂いなしっていうのも。実は以前、あまりにもお金が貯まらないので「貯金最優先!」みたいな生活を送ってみたのだが、自分や年金システムの将来を憂いながら、貯金の金額を気にしてケチケチするのってあんまり楽しくない。「生きるためならなんでもできるよねー」という気持ちで生きていくほうが楽しい。
たとえばおいしいものを食べるとか、見たことない景色を見るとか、ストレスなく旅行をするとか、そういうところには惜しみなくお金を使おうと思う。今の経験がたぶん未来のわたしを形作るのだ。この考え方、「なんでもお金で解決!」のアメリカに毒されている気がしないでもないが、今年は試してみようかなー。
ちなみにわたしだったら20歳のわたしに、「そのまま好きなことやれ!」というアドバイスを送る。つまり今の自分にそれなりに満足しているようである。

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ところで、先日日本へ帰ったとき、複数の友人から、余った妊娠検査薬や、婦人科系の病気に効くっていうハーブティーやらをもらった
※妊娠検査薬は2本入りのことが多く、1本目で妊娠が判明した人が、残った1本を、妊娠を希望している人にあげる、というのが日本の女子界のげん担ぎ的儀式だそうだ。
…………………………
そういう方向で激しく心配されているんだろうなあと思う次第である。ほんと少子化・赤字大国日本に貢献せず、納税もせず、生きててすみません。…基本的人権の尊重ばんざーい!

2014-12-24

お騒がせ映画、「ザ・インタビュー(The Interview)」を観たよ

なんで「ジ・インタビュー」じゃないんだろう…という疑問はとりあえず置いておきます。
この事件、毎日のようにアップデートがあって目が離せない。
「公開中止!」→「圧力に屈するな!」→「言論の自由!」とか言い出すいかにもアメリカンな経緯をたどったこの映画。オンライン配信されていたので観ることにした。

我が家はXboxで観た。これを書いている時点では、他にもGoogle PlayとYouTubeで観られるそうだ。NHKいわく、日本では観られないらしい。

いやー、とにかく、これまでに観たことないくらいのおばか映画だった…(あまり映画を観ないので、というのもあるが)
「金正恩の暗殺映画」とか書いてしまうと、なんだかシリアスな手に汗握るサスペンス映画を想像するが、全然そんな感じじゃない。どたばたおばかコメディーである。
くわしいストーリーはこちら。町山さんがおっしゃっている通り、この映画で北朝鮮が釣れたこと自体がまずネタだし、むきになるアメリカ政府やら「言論の自由だ!」とか言ってる人たちも、すべてが次回作に向けた壮大な仕込みなんじゃないかと邪推してしまうくらいだ。
「言論の自由だ!」と拳を振り上げていた人たちが「勝利!」とばかりに実際に観てみたら、まるで実家で流れていたテレビに突然ラブシーンが出てきたかのような、なんともいえない微妙な雰囲気がその場に漂うことが容易に想像できる。実際、無駄(?)なポルノシーンもあるし。

ということで、日本で公開されるかどうかわからないけれど、「観る価値があるか?」って言われたらどうだろうなあという感じである。少なくとも、映画館で観る必要はまったくもってない…
おばかの裏にはたぶん強烈な皮肉があるのだが、見たあとに何も残らないお笑い番組のように、うすっぺらいおばかの勢いが何よりも勝っている。やっぱりこれに釣られたという北朝鮮(なのかなあ?)のレベルは推して知るべしとも言えるのだろう。そして売られたケンカは種類を選ばず買っちゃうアメリカさんよ…

本当の「自由」はおばか映画をおばかだと言える環境なんじゃないだろうか。なんちゃって。

2014-11-27

アメリカの車社会に屈した日 ~車、買っちゃいました~

わたしは車所持否定派である。そんな派閥があるのかは知らないが。
車はそれ自体も高いし、保険も駐車場もかかる。ガソリン代も気になる。
東京近郊は本当に公共交通機関が便利で、渋滞や、駐車場を探すわずらわしさを考えると、電車で行くより車で行く方が早い!という場所があんまりないような気がする。大江戸線とか京葉線とかめんどくさいけど、なんだかんだで電車のが早かったりすると思う。

ということで、買いたいものリストに「車」という項目が出てくる機会がここ十数年なかったのだが、少し前に郊外に引っ越してからというもの、さすがに生活に不便が生じてきた。
よくよく周りを見ていると、アメリカ郊外…というか、ニューヨークの地下鉄圏外に住んでいる人は、だいたいみんな車を持っている。その理由がわかってきたのである。

◆◆◆◆◆◆◆◆

(1)公共交通機関の品質が悪すぎる
マンハッタンに住んでいたころ、地下鉄の不安定さにぶーすか文句を言っていた。今読むと東京の水準が忘れられていなかったんだなあと思う。(過去記事 『ニューヨーク地下鉄との終わりなき戦い』
…が、ここ、首都の公共交通機関に比べたら、ニューヨークの地下鉄なんかかわいいものだった。
ワシントンDC近郊を走る地下鉄は、車両も線路も大してメンテナンスしてないし、乗り心地を考えた運転をしてくれないので、がたがた揺れて、10分ほどの乗車時間にもかかわらず、毎日ほぼ100%酔う。週末は始発が朝7時、運が良くても電車の間隔は20分おきくらいになる。
さらに、空港や免許センターやコムキャストみたいなほぼ公共施設に公共交通機関で行きづらい。25分電車に乗ったあと、降りて20分歩くとか、30分おきのバスに乗り換えて1時間以上かけて行かなきゃいけないとか…
そんな場所が、「車だったら20分」と出てくるのである。これは車所持を前提で街を作っているんじゃないだろうか、ということに気づいたのだった。

あと、電車のマナーが東京のように確立されていないので、車内は混む。せっかくあるつり革も使い方がわからなくて、みんな棒を確保しようとする…
東京メトロのみなさん、新しいビジネスとして電車の乗り方コンサルタントなんてどうでしょう。

(2)車で移動しやすい
車だったら15分でも、東京みたいに駐車場探すのに苦労するんだったら意味がないのだが、さすが土地だけは余ってるアメリカ、郊外だったら駐車場探しに苦労することはない。
駐車スペース空きまくり。
道路わきの駐車スペースも空いていることが多いし、いたるところに州の公営駐車場があって、25セントで12分という安さな上に、夜間、土日は無料である。
もちろん、お店にもだいたい駐車場がついている。

(3)ガソリンが日本より安く、電車が日本より高い
ガソリン代が日本よりかなり安い。今日は1ガロン2.799ドル(ソース)。

1ガロン=3.785リットルなので、1リットル0.74ドルである。今は円安だけど、それでも日本の半額くらいじゃないだろうか。日本車が燃費改善を追求している理由もここからもわかる気がする。
ちなみに郊外の我が家から電車でDCの中心地へ行こうとすると、片道3ドルほどかかる。往復6ドル、割引はほとんどない。毎日乗ろうがなんだろうが、ふつうの民間人に割引はないのだ。(公務員はあるっぽい?)
6ドルということはガソリンが8リットル買える。よほど燃費の悪い車でなければ、10km足らずの距離に、これだけのガソリンを消費することはないだろう…
ともあれ、公共交通機関の高さやしょぼさ、ガソリン税の優遇っぷりは、自動車業界のロビイストの手腕を称賛せざるを得ない。

◆◆◆◆◆◆◆◆

つまるところ、アメリカは、「便利に生活したいなら車を買え」ということである。
その思想に屈するのは公共交通機関を心から信頼する日本出身者としてちょっと悔しいが、これ以上、東京にいたころの気持ちをひきずって車を買わないのはなんだか現実をちゃんと見ていない気もする。田舎の実家にいたころは、車を持つことに疑問を抱かなかったじゃないか。ということで、ついに買ってしまった…

なんとなくハイブリッドで地球環境を意識してみた。アメリカの流行に踊らされている気もするが、ともあれ、これで行動範囲が格段に広がったのはたしかである。

最近、アメリカでも若者の車離れだったり、シリコンバレーのバス通勤がクール!みたいな風潮があったりもする。

Millennials Don't Care About Owning Cars, And Car Makers Can't Figure Out Why(Fast Company)
「グーグルが運営する通勤バス」をめぐるさまざまな問題(WIRED)

のしかかる教育ローンを考えると車買えません…というのはわかる。しかし、こういう場合でも、もし若者が田舎に住んでいたら、日本の地方都市と一緒で、親世代から古い車をもらってたりするんじゃないだろうか。
シリコンバレーのバス通勤も、「住んでるところがサンフランシスコだからできるんだよねー」と今のわたしはうがった視線を送ってしまうのである。
さらに、アメリカでは公共交通機関が便利なところほど、車を買えないような低所得者層の人が集うという問題もあるそうで、日本ってやっぱり平和だよなあと思わざるを得ない。

これからもしアメリカに来る人で、「絶対に車持ちたくない!」という人は、治安とか家賃とかの問題も飲み込んで、とにかくその都市の中心地付近に住むことをおすすめする。きれいで家が広くて家賃がお手頃だからという理由で、うっかり郊外なんかに住んではいけない。わたしのように…
でもきっと、都市中心地でも車なしではきついってところがたくさんあるんだろうなあ。アメリカはやっぱり広い。


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(2015/4/3 追記)
DC近辺でも「若者の車離れ」は深刻で、いわゆるミレニアル世代に住んでもらうには公共交通機関が絶対に必要だ、という記事を見つけたのでご紹介。

Suburbs such as Montgomery County rethink transit to court millennials(Washington Post)

この記事で出てきているMontgomeryカウンティーというのは、DC郊外の高級住宅街。もともとかなりハイソな場所なのだが、車必須という環境は若者にとって全然魅力的じゃない、という話だ。記事の中に出てくる人の「地下鉄の駅があるから中華街(※あんまり治安がよくないといわれている)に決めた」というところが、おそらくこれまでの価値観と間逆なのだろう。

「使いづらいから公共交通機関を使わない→赤字→整備できない→ますます使わない」というループに入っちゃってるような気がするこの辺の公共交通機関。ともあれ、もうちょっとなんとかなりませんかねー。日本のテクノロジーがんばれ!

2014-11-11

車でアメリカ・カナダ国境を越えてみた


天高く馬肥ゆる、短くはかない東海岸の秋だ。容赦なく暑い夏、長くて寒い冬の間の素晴らしい季節である。当然、行楽シーズンである。
しかし、トロント・ナイアガラ旅行の予定を直前に立てたところ、飛行機がひとり400ドルくらいであまり安くない。ということで、初めて車を借りて旅行へ行ってみることにした。
わたしの手元には期限が切れた国際免許証…ニューヨーク州免許を持っている夫に全面協力を仰いだ。

車はEnterpriseで借りた。
遠出するし、燃費のいいハイブリッドカーがいいよねえ、ということで日本が誇るプリウスをオンライン予約していたのだが、当日営業所へ行ったところ、
「昨日の夜、事故にあってひどい損傷なのでプリウスが貸し出せません。別の普通の車でもいいですか?」
との宣告。あてがわれたのはヒュンダイのセダンであった。最初から予定が狂うのがさすがのアメリカクオリティー。ナビと呼ぶにはしょぼすぎるナビをオプションでつけて、いざ出発!

なんせ車を持っていないので、勝手が全然わからない。この道、みんな100km/hくらい出してるけど、高速道路…なの??お金どこかで払うの?

助手席でぐぐってみると、アメリカには日本的な有料道路はあまりないようである。じゃあサービスエリア的なものは?と思ったのだが、ないと言っていいだろう。幹線道路の出口の手前に、フォークやガソリンスタンド、ベッドのシンボルが書かれた看板が出てくる。それを見て大きな道路を降りるとたいてい細い地元っぽい道がつながっていて、ちょっと走ったところにガソリンスタンドやファーストフード店やファミレス、モーテルが並んでいる。無料だから別に何度降りようといいのだろうが、ちょっとめんどくさい。
たまに道路の出口のすぐそばにガソリンスタンドやファーストフードのお店が展開されているところがあって、そういうところは日本のサービスエリアに近い。地元のおみやげを売っているところは本当に数が限られるが、ゼロではなさそうだった。

地方のガソリンスタンド。土地が有り余っている感満載。

ガソリンスタンドにはたいていコンビニ的なものが併設されている。当たり前だが、品揃えに期待してはいけない。ジャンクフードばっかりである。サブウェイ、マクドナルドなんかも多いが、とにかくスナックやらファーストフードやら、こってりぎとぎとなものばっかりで代わり映えしないので、長いドライブの最後には食欲がなくなる。うどんからメロンパンまで幅広い品揃えを提供する海老名SAや上里SAはやっぱりすごいと思わざるを得ない。(※注:日本の素晴らしいサービスエリア。念のため)

このコンビニ、車のメンテナンス用グッズもたくさん売っている。
近所の人達にとって、コンビニとファーストフードと車用品店が合わさったような存在なのだろうか。

DVDやゲームのレンタルができるRedboxが設置されているところもあった。
日本の地方だと蔦屋書店(TSUTAYAではないところがポイント)がででーんと構えていたりするが、アメリカでは自動レンタル機になってしまっているようだ。

たまに有料道路もあるが、全体の行程からすると本当にちょっとだけの区間である。日本だと有料道路の料金を自動で精算するETCがあるけど、アメリカ東海岸にはEZ Passというものがあるらしい。

ちょっとこの写真だとわかりづらいが、EZ Passもしくはクレジットカードで支払うところと、キャッシュで支払うところのレーンがわかれている。
わたしはレンタカーだったし、システムがよくわからなかったのでキャッシュのところに行って払ったが、結局カナダまで3ドルくらいの金額を1,2回払っただけだった。800キロくらい移動していることを考えると日本とはだいぶ道路システムが違うなあと思わされる。安かろう悪かろうだけど…

家を出発して10時間ほど、とっぷり日も暮れて雨がふりだした頃、やっとニューヨーク州とカナダのオンタリオ州との国境に到着。国境をまたぐ橋のその名はレインボーブリッジ。お台場の橋とどっちが先に名前をつけたのだろう…と思ったが、世界中に同じ発想の人がいるのだろう。橋を渡るときに、3ドル渡した。カナダドルなら3.25ドルと書いてあった。

その後現れた入国審査の感じのいい人に、「武器は持ってないか?」みたいなことを聞かれた。平和を愛する一般的な日本人が持っているわけがないが、アメリカからカナダへ行く人には持っている人がいるかもしれない。

今回、カナダのワーホリビザの許可証(?)を持っている妹も一緒に行ったところ、横の建物へ行くように言われた。建物がおしゃれで、カナダの玄関口としてのこだわりを感じさせる。その中でわたしたちはスタンプを、妹はビザのようなものをもらって、無事カナダへ入国!
カナダに入った瞬間、道がきれいになった気がしたが、カナダひいきのわたしの気のせいかもしれない。

これは帰り道。アメリカへの入国はお昼すぎくらいだったので、なかなか混み合っていた。
カナダとアメリカの国旗がかかげられているところが国境だった。来るときには混んでいたので全然気づかなかった。
帰りの入国は「カナダで何か買った?」と聞かれて、「買ってない」と答えたらそのままスルー。スタンプすら押されなかったけど大丈夫なんだろうか…

結局、途中の観光や休憩も込みでトロントまで12時間の長時間ドライブだったが、飛行機のときに気をつけなければいけない荷物関係、重さや液体物の仕分けを気にしなくてよかったので、車で行くのも十分選択肢のひとつとなり得ると思う。
費用面もお手頃である。レンタカー代はプリウスじゃなかった分安くて、税込みで1日40ドルしないくらい。ナビのオプションが1日10ドル、ガソリン代は1リットル1ドルくらいで、日本よりかなり安く感じる。結局3人で200ドル強で行けてしまった。

…というか、道中「リアル大草原の小さな家」をたくさん見たので、「車という選択肢がある」なんて話ではすまされないのかもしれない。延々と続く長い道と変わらない雑木林や枯れたとうもろこし畑の景色に、とにかくアメリカの広さを実感させられた。
アメリカが車社会である理由がちょっとわかった気がする旅行だった。