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2020-06-18

「赤ちゃんポスト」を「ハッピーゆりかご」に。女性ジャーナリストたちの連帯に泣いた

Photo by Michael Walter on Unsplash


女性ジャーナリストたちの「薔薇棘勉強会」

先日、読んだ本の中に、女性ジャーナリストで作る「薔薇棘勉強会」というグループの活動が載っていた。人数なんと600人!その薔薇棘(略します)が、日本での養子縁組の啓発、ひいては法制化に貢献していた…というのだから、フェミニストで、養子母のわたしとしては気になりすぎる。

足をどかしてくれませんか。——メディアは女たちの声を届けているか

本では、NHKの山本記者が薔薇棘を立ち上げた経緯や、2012年に貧困などからくる子どもの虐待死と、赤ちゃん縁組について勉強会をしたことがきっかけとなり、複数のメンバーが自分の所属するメディアで特別養子縁組について取り上げたことが書かれている。女性のネットワークやコミュニティの強さを感じて感服したのだが、この件を研究者の清水麻子さんが詳細にまとめた論文に心が震えたのだった。

日本におけるジャーナリストネットワークと社会的弱者支援の可能性

「赤ちゃんポスト」はメディアが生み出した

2006年、熊本の慈恵病院が、予期しない妊娠をした女性と、その子どもを救うために「こうのとりのゆりかご」を設置した。これをメディアは「赤ちゃんポスト」というネガティブな名前で報道した。以下は「赤ちゃんポスト」と「こうのとりのゆりかご」がどのような割合で使われていたか示す表。赤ちゃんポストがほとんどでドン引きする。


著者によると、こうのとりのゆりかごの報じられ方は、

「親の身勝手な理由で捨て子を助長する」vs「困窮した母子は貧困などの事情を抱えている」

「社会にこうした装置ができること自体が倫理上の問題」vs「倫理面より赤ちゃんの命を救うべき」

という二項対比だったとのこと。確かに、対比をしてバランス良く見せるこのやり方(「客観報道」というらしい)は新聞などでよく見るが、著者はこの客観報道について、社会問題を解決する役には立たないと切り捨てている。

こうした「客観報道」は,「最大多数の最大幸福」の原理に引っ張られ,
現状にある「妊娠し,子どもを捨てる身勝手な親」というイメージを覆さない。もちろん社会改革への議論に繋がることはあるが平行線に始終してしまう。結果として「予期しない妊娠をした女性と子どもの命を救う」という新たなイノベーションは導かない。

女性ジャーナリストたちによる問題の再定義

2012年、薔薇棘を主催する山本記者は、予期しない妊娠や経済的事情など、さまざまな理由によって「産んでも育てられない女性」が存在すること、妊娠に苦しんで自死してしまう女性がいること、生まれた子どもが捨てられて死亡してしまうことなどを知ったそうだ。

そして育てるのが困難な子どもを子どもを希望する夫婦に特別養子縁組をする「愛知方式」について勉強会を行い、自ら番組を作った。作られた3本の番組は、0才児の虐待死を防ぐことをめざし、『「予期しない妊娠をした女性と,その子ども」を包摂する』という明確な意図を持った「主観報道」だったとされている。


その後、薔薇棘メンバーが自分のメディアで問題を発信する。この見事な連携プレイ、『オーシャンズ8』を思い出したのはわたしだけだろうか…(いやあっちはちょっと悪いかんじだけど)


女性ジャーナリストたちは、困難な状況にある母親に思いを馳せ、解決するべきだという信念を持ってこの問題を発信し続けた。結果、赤ちゃん縁組は子どもを救う方法として前向きに受け止められるようになった。


そして「赤ちゃんポスト」は「ハッピーゆりかご」になった

薔薇棘の勉強会を通し、日本財団は養子縁組を促進する「ハッピーゆりかごプロジェクト」を2013年に立ち上げた。赤ちゃんポストと揶揄されていたものが、「ハッピーゆりかご」という温かくて、幸せそうな名前になったことに感動する。

日本財団 ハッピーゆりかごプロジェクト

さらに2016年には当時の塩崎厚生労働大臣によって児童福祉法が改正され、すべての子どもを家庭で育てる原則や、子どもの権利が初めて(!!!)日本の法律に盛り込まれた。

「どんな親でも必要なのは愛」 塩崎恭久氏が語る里親と特別養子縁組のこれから


つながればできることがある

ハフィントンポストによると、女性の記者は2割強。組織の中で発言力を持つためには30%が必要だというので、全然足りていない。トップに近づけば近づくほど女性の割合は減っていき、41社中30社は女性役員ゼロだそうだ。

メディアの“女性活躍“はどうなってる?41社中30社で女性役員ゼロ【国際女性デー】

残念ながら、この割合が明日突然50:50になることはない。それは悲しいことだけど、薔薇棘メンバーが見せた共感と連帯、社会問題を解決しようとする熱意には勇気をもらった。

それぞれの持ち場では、女性たちはマイノリティかもしれない。でも、ちょっと周りを見渡してみれば、仲間がいるのだ。そんなことを考えた2020年の国際女性デーだった。

2019-10-26

「ふつう」じゃなくても幸せだ。 『いるいないみらい』を読んで


Photo by Brendan Church on Unsplash

「ふつう」−−わたしにとって、会話の中で出てくると、一気にもやっとする単語だ。「常識とは、18歳までに身に付けた偏見のコレクション」とアインシュタインも言っているし、しょせん「ふつう」とはこれまでの自分の経験や考え方から導き出されたもので、他人にとって「ふつう」であるかは断言できない。

なんてえらそうに言っているが、『いるいないみらい』を読んだあと、わたしの脳裏に浮かんだのは、この短編集には「ふつう」じゃない家族ばかり出てきたなあ、という感想だった。


夫の収入が自分より少なく、子どもがほしいかわからない女性。将来の子どもを想定して郊外の3LDKのマンションを買ったけど、男性不妊ということがわかった男性。養子として高齢の夫婦に引き取られた経緯を持ち、子どもが大嫌いな女性。幼い子どもを亡くし、妻とも離婚してタワマンにひとりで暮らす、もうすぐ定年の男性。18歳まで乳児院で育ち、子どもを育てる自信がない女性。

どの人物も、「ふつう」ではないことに違和感や葛藤を抱いている。わたしも含め、「ふつう」じゃない状態を経験したことがある人なら、わかる!と言いたくなるような描写がたくさんあった。

マンションを買うとき、いずれは子どもができるのでしょうから、と薦められるままに3LDKを選んだ。(略) 夫婦に子どもが二人。あらかじめそういう家族像をモデルに設計されているのだ。今、子どもができるかできないかの瀬戸際にいる僕には、それが正しい家族像だと強制されているような気がして息苦しかった。

マーケティングでも、社会保障の制度でも、効率が大事なので「ふつう」の型を設定する。その「ふつう」から外れているとき、多くの人はプレッシャーを感じたり、疎外感を覚えたりする。

しかし、本作の主人公たちはもやもやしているだけではない。「ふつう」ではないけれど、過去のつらい経験に自分なりの落とし所を見つけたり、大切なパートナーを得た幸せを噛み締めたりしている。葛藤の先にありたい将来を見出そうとするところに心が打たれる。

「血のつながりって、そんなに大事なものかな?(略) 僕と繭子は血はつながっていないけれど家族だろう。家族だと僕は思っているよ。僕の両親も繭子のことを家族だと思っている。血のつながりなんて、そんなに大きなものだろうか」

養子を迎えたい夫が妻にかけた言葉である。これ、養子を考えたことがある人なら、絶対1度は通る道、というか、考えることでは…。

日本のあちこちで「多様性は大事だ」と言われて結構な時間が経った。その割には夫婦別姓は選択させてもらえないし(恨み節)、同性婚もできないし、しまじろうにはエプロンをつけて家事をするお母さんに、新聞を読んでふんぞり返っているお父さんがいる。どうも、少子高齢社会では、家族のかたちの多様性は認められていない雰囲気がある。

とはいえ、少なくとも社会のプレッシャーは無視でいいと再確認した。あなたの人生だからあなたが幸せを定義していいんだよ—そんなメッセージを感じる、「ふつう」じゃない人や家族を勇気づける小説だった。人はイエのために生まれるわけではなく、国のために働くわけでもないしねえ。

2019-06-02

男らしくなくていい、自分らしく育ってほしい

「男の子だねえ」「やっぱり男の子だ」「男の子だからこれからきっと…」

ことら(仮名・息子)のことをそう言われるとめちゃくちゃモヤモヤする。まだ1歳にも満たないのに、もうステレオタイプの刷り込みが始まっているのだ。そういう話題になると、わたしは意識的に話を変えるか、おいしいもののことを思い出して話を聞かない。

迎える子どもが男の子だと知ったとき、正直言うと少し戸惑った。性別の希望はなかったのだが、どこかで女の子だと思い込んでいて、「周囲が言ってくる女らしさなんて気にしなくていいんだよ。自分らしく、大きくなるんだよ」というメッセージを伝えていこうと思っていた。

しかし男の子の場合、何をどう伝えればいいんだ。東京育ちの圧倒的マジョリティだけど、マイノリティへ想いを馳せることができる子どもに育ってほしい。でもどうやって?
女の子をエンパワメントするものはたくさんあるのに、男の子へのこの手のメッセージって少なくない?
…と思っている中、この本に出会った。

ボーイズ 男の子はなぜ「男らしく」育つのか

タイトルだけで気になる度最高なのに、著者の子どもが養子の男の子で、勝手に親近感を覚えた。

わたしがそうだよね!!!と100回くらいうなずいたのはこの文章だ。

(子どもが)人形なりピストルなりを自然と好むようになったと、私たちは信じたいのだ。私の知っている限り、息子がいる親はほぼ全員、一度はこのような発言をしている。「好みに影響するようなことは何もしてないのよ。この子はただ自然とトラック(あるいはフットボール、スターウォーズのレゴ、その他男の子用と定義されるもの)が大好きになったの!」。しかし、ピンクとブルーの分離化がこれほど広まっており、しかもそれがごく早期に始まって、本や映画や広告や、大人からの直接的・間接的期待によって繰り返し強化されていることを考えれば、生物学的要素と社会的要素とを見分けることは不可能だ。
(中略)
「親は、男の子には一貫してジェンダーに対応したおもちゃを与える傾向がある。それは、ホモフォビアの色濃い文化において、『ピンク』の側に入った男の子の社会的代償は特に大きいと理解しているからかもしれないし、ジェンダー規範に従ってほしいという親自身の願いによるものかもしれない」。

成長の過程で、男の子は「グループに順応し所属したいから」、男の子らしいふるまいをするようになる。10歳、11歳くらいになると、人に助けを求めることは「男として出来損ない」なのだと思うようになるそうだ。

他にも男の子とは切り離せないスポーツやゲームの話も書かれていておもしろい。また、「男らしさ、女らしさ」のせいで、性的マイノリティの子どもたちが直面する困難にも触れていてすばらしい。思春期の男の子たちにクールな男性たちが性教育をする、カルガリーのワイズガイズ(WiseGuys)の取り組みが興味深かった。

読み終わって気づいた。結局、伝えるメッセージは男の子でも、女の子でも、一緒なのだ。

「周囲が言ってくる男らしさ・女らしさなんて気にしなくていいんだよ。自分らしく、大きくなるんだよ」

「はじめに」がここに公開されているのでぜひ。


2019-04-05

不妊治療と養子の費用を比べてみる 〜不妊治療か、養子かを考える〜

はじめに注意書き。養子を迎えるまでにかかるお金は誰かが利益を上げるためのものではなく、実親さんや子どもを支援するための実費だ(法律で決められている)。

なので、自由診療で病院に利益が出る不妊治療にかかるお金と比べることにはちょっと抵抗があるが、「自分のお財布」から出ていくという意味では違いがないので、比較をしてみたい。

ちなみに我が家は、「どうせお金を使うなら、不妊治療よりも、困っている実親さんや子どもを助ける方に使いたいよね」という点で夫婦の意見が一致していた。…のに、後述するようになぜか不妊治療もしてしまったので、その経験を書きたい。

養子を迎えるまでにかかるお金

以下の記事にいろいろな団体の費用が載っているが、だいたい数十万円〜300万円弱くらいである。ということで、間を取って200万円を目安にしたい。

養子縁組の基礎知識、児童相談所と民間事業者の違いとは?(マネープラス)


不妊治療にかかるお金

今度は200万円でできる不妊治療の内容を考えてみよう。ぐぐって1番最初に出てきた、この病院の費用でざっくり計算してみた。

すると、だいたい、人工授精5回、採卵〜顕微授精のセット4回くらいで200万円くらいになりそうだ。ただし、途中の検査や注射の費用は入っていない。あと、めでたく妊娠したら、これに分娩費用がかかるので、プラス50万円〜80万円くらいである。

我が家の場合

前回も書いたが、わたしたち夫婦は養子がいいなと思っていたのに、「養子の倍率は数十倍」という記事を見かけてしまい(この記事が見つからない…)、
「養子が数十倍だったら、子どもが来る可能性が1桁%だよね? だったら、30代中盤で妊娠する確率は50%くらいだから、その方が子どもを育てられる確率が上がるのでは?」

と小賢しいわたしが考えて、1年ちょっと不妊治療をした。かなり効率的(?)に治療をして、やめるまでの支出が約100万円だった。

不妊治療を始めるときに、「年齢、経済的に養子を迎えるための余力を残しておくため、不妊治療は高度な治療を1回だけにする」と決めていた。しかし、いざ、採卵をして、受精して、胚盤胞ができて、産院を決めて…となると、期待してしまうのである。採卵数や、胚盤胞のランクをいちいちぐぐって、自分が妊娠・出産する確率はどのくらいなんだろうと確認し、ここまで使ったお金と時間への執着や、怖さもあって、悪いことは考えられなくなっていった。

結局最初の試行で稽留流産してしまったのだが、「1回だけ」という決まりがあったにも関わらず、流産直後に「まだ凍結胚があるから次どうしよう」と夫に相談した。そのとき夫が、「今は冷静になれないから、ちょっと落ち着こう」と言ってくれて、気がついたら養子がいるのが今の状況である。

まとめ 

ということで、冷静なうちにリミットを決めておくのはとても大事だと思うわけである。そして、養子を迎えるという選択肢を残しておくためには、リミットを決めるときにポイントになるのが、

・不妊治療にかけるお金
・不妊治療を終わりにする年齢

の2点だと考えている。

2019-04-03

「産みたいかな?」のチェックリスト 〜不妊治療か、養子かを考える〜





前回突然描いてみた、不妊治療か、養子かを考えるフローチャート。最初の判断ボックス、『「出産」したい?』についてちょっと考えてみたい。

最近、厚労省が力を入れているので、特別養子縁組についての記事や特集をよく見る。その中でよく出てくるのが、「産みたいのか、育てたいのか?」という問いだ。

産みたいのですか、育てたいのですか?――特別養子縁組で親になるという選択(ハフィントンポスト)

この問い、なかなか具体的に考えるのが難しいかもしれない。ということで、産みたいのか、育てたいのか、明確にする手助けになるチェックリストを作ってみた。

【産みたいかな?チェックリスト】

(1) 出産という体験をしてみたい
 →妊娠や、つわり、陣痛、分娩を経験してみたいという場合。女性同士だと妊娠期間の話で盛り上がることもあるので、経験した上でその会話に参加したいとかも。

(2) 生物学的につながりがある子どもがいい
 →自分(と相手)の遺伝子を継いでいてほしいと思うなら、産むしかない。代理母もここに含む。

(3) 養子にまつわる困難に耐えられそうにない
 →以前も書いたが、養子は「普通の家庭」からはやってこない。養親になるには法律で決められた研修を受ける必要があるし、出産よりも費用がかかる場合もある。


ここで重要なのは、産む人の意思だ。「パートナーが子どもをほしいと言っている」とか、「親戚がうるさい」とか、子ども関連は周囲の要望やら騒音が激しい場合が多い(わたしも夫の実家(九州)とバトルを繰り広げた…)。そうだとしても、そのうざったさと、上記の3点を自分の胸に問いかけて、自分の意思として判断ができたら何よりだ。

ちなみにわたしは(1)、(2)にはまったくこだわりがなく、(3)に至ってはむしろ燃えるタイプだったのだが、「特別養子縁組の競争率は数十倍」という記事をどこかで読んでしまい、ちょっと遠回りしてしまった。その辺の話は別の機会に。

2019-03-28

不妊治療か養子か。人の決断は、フローチャートのようにはいかない

…と思いつつ、作ってしまった。不妊治療か、養子かを考えるフローチャート。じゃじゃーん。

作ってみて、そもそも家族をどう作るかって、自分の「したい・したくない」だけで決められないことが多すぎるから悩むのだなと思った。実家がうるさいとか、消滅可能性都市で跡取りがいないと困るとか。「生む機械」って言われたからとか、少子化だから子どもがいないとダメそうな感じがするとかも。

さらに言うと、最初の「子育てがしたい」ですら、昨今の子どもや親に厳しい社会を見ていると決めかねてしまうだろう。特に東京砂漠は「健康な身体を保つ20-50代くらいの男性」に最適化されているからなあ…

2018-12-26

育児にメリットしかない専門家の家庭訪問



特別養子縁組で0歳児の「ことら(男・仮名)」がやってきた我が家。
子どもが来ると同時に、家族や友人などの訪問者が増えるというのは「あるある」だと思うが、我が家の場合はそれに加えて、各機関の方々がやってくる。各機関とは、

・児童相談所の児童福祉司さん、児童心理司さん
・支援団体のカウンセラーさん、保育士さん、助産師さん、看護師さん
・家庭裁判所の調査員さん
・申立をお願いしている弁護士さん

である。これがなかなかいいので、よいところを書いておきたい。

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■よいところ① 専門家に家のチェックをしてもらえる

まずはこれ。子どもを育てるにあたって、危険な箇所はないか専門家がチェックしてくれる。もちろん、母子手帳の中にも「起こりやすい事故」が書かれているんだけど、ふだんすごしている家をネガティブチェックするのはけっこう大変だし、複数の目で見てもらう方が断然効率がいい。我が家の場合、

・手が届くところに洗剤のストックがあるのは危ない(ドアロックをつける)
・床においてある観葉植物の土を食べちゃう(触れない場所に置く)
・姿見が倒れるかも(倒れないようにする)

なんていう指摘をもらった。子どもが動き始めてから気をつけることも多くて生まれてすぐでなくてもいいんだけど、生まれる前にやっておくと後が楽かもなーと思っている。


■よいところ② すぐに相談できる

訪問の時には絶対に「なにか困っていることとか、不安なことはないですか?」と聞かれる。めちゃくちゃ心強い。専門家が見ている子どもの数は桁が違うし、知識も豊富なので、聞いて正しい回答がすぐに得られるのは本当に助かる。ぐぐって素人の経験談が書かれているフォーラムを見てもやもやする時間よ、さようなら。

・泣いたときにすぐだっこすると抱き癖がつくと言われたけど放置した方がいいのか(思う存分だっこしていい)
・ミルク飲み過ぎか(全然大丈夫だった…)

あたりを相談した。他にも裁判や自治体の手続き、予防接種などについても完全サポート。助かる。

■よいところ③ 家が片付く

なんせ人がよくくるので、片付けやすい家にしようというインセンティブが働く。片付いている部屋は子どもに危なくないし、リラックスできるし、なによりルンバブルである…!! 片付けやすい家はこんまりメソッドを参考にしている。が、これは完全に趣味の世界なので、みんなそうするべきという話ではない。


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ということで、個人的にはメリットばかりの家庭訪問。「訪問」にかまえてしまう人が多いかもしれないが、うまく利用すれば親にも子にもいい機会になるので、養子の家だけでなく、すべての乳児がいる家でもっと頻繁にやっていいんじゃないかなと思う。助産師さんの派遣をワンタイムでやっている自治体があるが、その回数を増やすのはどうだろう。

本当に余談なのだが、今回の我が家のケースは訪問者が全員女性である。ふだん仕事をしていて、関わる全員が女性ということがまずない技術職なので、新鮮だった。保育士さんに女性が多いように、子ども関連の仕事だと女性が多いとかあるのかしらー。


追記:
トップの画像は我が家のモデムラックです。お花や季節のものを飾ったり、冬は無印のディフューザーも置いちゃったりして。後ろの壁がプロジェクター投影用なので、あんまり大きいものを置くと夫がそっと撤去している。

2018-10-22

『朝が来る』読書感想文 〜つらいフィクションは現実の鏡〜



特別養子縁組を題材にした小説『朝が来る』を読んだ。最近、養子を迎えたところ(試用期間中)なので胸に迫るものがあり、文章にしてみることにした。(noteに書いた文章の再掲です)

ひとことで言うと「つらい」

解説には、「このラストシーンはとてつもなく強いリアリティがある。」と書かれている。しかし、この解説にはあまり同意できない。いい意味でドラマ感満載のラストシーンより、そこに至るまでのふたりの主人公、養親の佐都子と実親のひかりの境遇があまりにもリアリティに溢れていて、それがつらかった。


仕事から不妊治療、養子を検討するまで

たぶん、わたしの友達や30代中盤から後半の人がこの本を読んだら、佐都子に感情移入する人が多いかもしれない。仕事は楽しい、夫とふたりの生活もエンジョイしている。結婚◯年、気づいたら子どもがいない。これでいいのかと考えて、子どもがほしいと思い、不妊治療を始める。最初、夫は協力的でない。悩んだ挙句、高度な治療を始めて、結果に一喜一憂する。実家が心配と称して干渉してくる…

あー、書いててつらい。リアルすぎる。特別養子縁組に至るまでの佐都子夫婦の境遇は40代の足音が聞こえてくるわたしの周りで起きていることそのものだ。
特別養子縁組に至るまでの部分は経験した人は少ないかもしれないが、こちらもやっぱりリアリティに溢れている。特に、支援団体の説明会が迫真の描写と言える。会場の重苦しい空気、40代以降が中心の参加者、みんな不妊治療で追い込まれている、養子は「普通の家庭」からはやってこないという説明。ちなみに本作では割愛されていたが、現実では説明会の後でこれまた厳しい(団体による)審査があって、期待値が低い不妊治療ギャンブルとはまた違う、人にジャッジされるつらさもあったりする。


妊娠で追い詰められる若い女子

一方、中学生で妊娠して、子どもを産むことになるひかりの人生は、なかなか想像しづらいかもしれない。しかし、14歳以下の妊娠は30年前に比べたら増えているし(2015年で年間42件)、中絶数も変化していないそうだ。

本人の意思も確認せず、娘の妊娠を受け止められない母親が段取りをして、妊娠の事実がばれないように遠方の支援団体へ行かされる。出産した子どもを佐都子夫妻に託し、元の生活に戻ろうとするが、子どもの父親である彼氏はなかったことにしているし、高校受験にも失敗。家族との関係は悪化の一方で、高校在学中に家出してしまう。信頼できる人が誰もいない場所で、未成年のひかりはどんどん追い詰められていく。実子を託した佐都子が武蔵小杉のタワーマンションで幸せな日々を送っているのとは対照的で、若年妊娠の問題点を突きつけてくる。


フィクションだと知っておいてもらいたいこと

リアルだと言い続けたこの作品だが、すべての特別養子縁組がこうではないというところはつけ加えておきたい。特別養子縁組の支援団体は厚労省に届け出たところだけでも29あり、それぞれ方針が違う。

・ひかりが出産後、赤ちゃんを1回しか抱っこできなかった
・ひかりが佐都子の住所を知らされていなかった
・養親登録をしてからは避妊する、不妊治療をやめる必要がある
・養親登録にあたって、養親側の事情を考慮する(作中では、「個々の事情への対応を検討」と団体の人が言っている)
あたりは本当に団体によって異なるので、書き添えておく。


つらいフィクションは現実の鏡

作者は「報道やノンフィクションでないからこその、小説だから描けることというのもあると思うんです」と話しているが、本作はほとんど現実だ。だから読んでいてつらい。今日も日本のどこかで、子どもができないことで親族から責められる人、不妊治療の経過に一喜一憂する人、予期しない妊娠をしてしまった人とその家族がいる。彼らと子どもが幸せになれるように、後悔のない選択ができることを祈るばかりだ。

2018-10-04

3人家族になりました(試運転中)


産んでないけど、家族が増えました!

生まれたばかりの男の子が、わが家にやってきた。子育てはしたい。でも時間とお金とストレスがかかる妊活にはテンションが上がらない。そんなわたしたち夫婦は、最近、特別養子縁組の支援団体に登録したばかりだった。法律で定められている6ヶ月の監護期間を経て、実の家族になる予定だ。

特別養子縁組で子どもを受け入れるためには、法律で定められたそれなりのボリュームの研修を受ける必要がある。研修の科目を見てもらうと、妊娠したときに受ける両親学級とはけっこう中身が違いそうな感じがする。

【養子縁組里親研修の内容】
  • 児童福祉論(講義) 
  • 養護原理(講義) 
  • 里親養育論(講義) 
  • 発達心理学(講義) 
  • 小児医学(講義) 
  • 里親養育援助技術(講義) 
  • 里親養育演習(講義・演習) 
  • 養育実習(実習) 


(参考 厚労省)



子どもの持つ「よい環境の中で育てられる」権利や、保護者の養護を受けられない子どもを社会的に保護する「社会的養護」についても学んだ。

「養子を育てる」と伝えたときに、「自分で産んだ子をかわいがれないなんておかしい」と産みの母親を非難をする声がたまにある。もちろん、その妊娠が幸せなもので、生んで育てたいという人がいたら、その意志を尊重するように行政がサポートすることはとても重要だ。でも、そうじゃない妊娠・出産はどうしても発生してしまうだろう。その中で生まれた子どもと実の母親が幸せになるために、養子縁組というのは選択肢としてあるべきだ。


今回、急に育休を取ることになったが、友人や会社の人たちのサポートが手厚くて、感謝しかない。たくさんの人たちが祝福してくれたし、わたしたち夫婦の決断を勇気あると讃えてくれる声もあった。ベビーグッズもたくさんもらった。哺乳瓶とおむつくらいしか買ってないよ本当に。

また、養子縁組をすると伝えたときに、「今まで誰にも話したことないんだけど…」と前置きをして、自分の家族について話してくれる人がたくさんいたことも印象的だった。

「子どもがいないことを気にしていて、夫婦で養子縁組について考えたことがあるけど、うまくいかなかった。だから応援したい」

「経済的な理由で一番下の子どもを中絶しようと思った。でもとても立派に成長したので、やっぱり育ててよかったと夫婦で話した」

こんな話だ。割と仕事で成功しているおじさまたちからこんな話を聞いたので、そんな悩みがあったんだ…と驚いた。子育てについて思うところがあるのは子育て世代だけではないのだと気付かされた。「わかりあえる」と言ったら失礼かもしれないけど、目指す社会の姿を共有することはできるかもしれないと思った。


正直、まだ実感がわかないし、「息子」と呼ぶのもなんとなく気恥ずかしい。重い責任がのしかかった感もある。でも、毎日新しい発見があって、それを大好きで尊敬しているパートナーとわかちあうのはとても幸せだ。ここに至るまでの義実家とのバトルを忘れるくらい、充実した時間が流れていく…(遠い目)

わたしの人生を記した本があったら、新しい章に入った気がする。章のタイトルはまだない。