2014-11-11

車でアメリカ・カナダ国境を越えてみた


天高く馬肥ゆる、短くはかない東海岸の秋だ。容赦なく暑い夏、長くて寒い冬の間の素晴らしい季節である。当然、行楽シーズンである。
しかし、トロント・ナイアガラ旅行の予定を直前に立てたところ、飛行機がひとり400ドルくらいであまり安くない。ということで、初めて車を借りて旅行へ行ってみることにした。
わたしの手元には期限が切れた国際免許証…ニューヨーク州免許を持っている夫に全面協力を仰いだ。

車はEnterpriseで借りた。
遠出するし、燃費のいいハイブリッドカーがいいよねえ、ということで日本が誇るプリウスをオンライン予約していたのだが、当日営業所へ行ったところ、
「昨日の夜、事故にあってひどい損傷なのでプリウスが貸し出せません。別の普通の車でもいいですか?」
との宣告。あてがわれたのはヒュンダイのセダンであった。最初から予定が狂うのがさすがのアメリカクオリティー。ナビと呼ぶにはしょぼすぎるナビをオプションでつけて、いざ出発!

なんせ車を持っていないので、勝手が全然わからない。この道、みんな100km/hくらい出してるけど、高速道路…なの??お金どこかで払うの?

助手席でぐぐってみると、アメリカには日本的な有料道路はあまりないようである。じゃあサービスエリア的なものは?と思ったのだが、ないと言っていいだろう。幹線道路の出口の手前に、フォークやガソリンスタンド、ベッドのシンボルが書かれた看板が出てくる。それを見て大きな道路を降りるとたいてい細い地元っぽい道がつながっていて、ちょっと走ったところにガソリンスタンドやファーストフード店やファミレス、モーテルが並んでいる。無料だから別に何度降りようといいのだろうが、ちょっとめんどくさい。
たまに道路の出口のすぐそばにガソリンスタンドやファーストフードのお店が展開されているところがあって、そういうところは日本のサービスエリアに近い。地元のおみやげを売っているところは本当に数が限られるが、ゼロではなさそうだった。

地方のガソリンスタンド。土地が有り余っている感満載。

ガソリンスタンドにはたいていコンビニ的なものが併設されている。当たり前だが、品揃えに期待してはいけない。ジャンクフードばっかりである。サブウェイ、マクドナルドなんかも多いが、とにかくスナックやらファーストフードやら、こってりぎとぎとなものばっかりで代わり映えしないので、長いドライブの最後には食欲がなくなる。うどんからメロンパンまで幅広い品揃えを提供する海老名SAや上里SAはやっぱりすごいと思わざるを得ない。(※注:日本の素晴らしいサービスエリア。念のため)

このコンビニ、車のメンテナンス用グッズもたくさん売っている。
近所の人達にとって、コンビニとファーストフードと車用品店が合わさったような存在なのだろうか。

DVDやゲームのレンタルができるRedboxが設置されているところもあった。
日本の地方だと蔦屋書店(TSUTAYAではないところがポイント)がででーんと構えていたりするが、アメリカでは自動レンタル機になってしまっているようだ。

たまに有料道路もあるが、全体の行程からすると本当にちょっとだけの区間である。日本だと有料道路の料金を自動で精算するETCがあるけど、アメリカ東海岸にはEZ Passというものがあるらしい。

ちょっとこの写真だとわかりづらいが、EZ Passもしくはクレジットカードで支払うところと、キャッシュで支払うところのレーンがわかれている。
わたしはレンタカーだったし、システムがよくわからなかったのでキャッシュのところに行って払ったが、結局カナダまで3ドルくらいの金額を1,2回払っただけだった。800キロくらい移動していることを考えると日本とはだいぶ道路システムが違うなあと思わされる。安かろう悪かろうだけど…

家を出発して10時間ほど、とっぷり日も暮れて雨がふりだした頃、やっとニューヨーク州とカナダのオンタリオ州との国境に到着。国境をまたぐ橋のその名はレインボーブリッジ。お台場の橋とどっちが先に名前をつけたのだろう…と思ったが、世界中に同じ発想の人がいるのだろう。橋を渡るときに、3ドル渡した。カナダドルなら3.25ドルと書いてあった。

その後現れた入国審査の感じのいい人に、「武器は持ってないか?」みたいなことを聞かれた。平和を愛する一般的な日本人が持っているわけがないが、アメリカからカナダへ行く人には持っている人がいるかもしれない。

今回、カナダのワーホリビザの許可証(?)を持っている妹も一緒に行ったところ、横の建物へ行くように言われた。建物がおしゃれで、カナダの玄関口としてのこだわりを感じさせる。その中でわたしたちはスタンプを、妹はビザのようなものをもらって、無事カナダへ入国!
カナダに入った瞬間、道がきれいになった気がしたが、カナダひいきのわたしの気のせいかもしれない。

これは帰り道。アメリカへの入国はお昼すぎくらいだったので、なかなか混み合っていた。
カナダとアメリカの国旗がかかげられているところが国境だった。来るときには混んでいたので全然気づかなかった。
帰りの入国は「カナダで何か買った?」と聞かれて、「買ってない」と答えたらそのままスルー。スタンプすら押されなかったけど大丈夫なんだろうか…

結局、途中の観光や休憩も込みでトロントまで12時間の長時間ドライブだったが、飛行機のときに気をつけなければいけない荷物関係、重さや液体物の仕分けを気にしなくてよかったので、車で行くのも十分選択肢のひとつとなり得ると思う。
費用面もお手頃である。レンタカー代はプリウスじゃなかった分安くて、税込みで1日40ドルしないくらい。ナビのオプションが1日10ドル、ガソリン代は1リットル1ドルくらいで、日本よりかなり安く感じる。結局3人で200ドル強で行けてしまった。

…というか、道中「リアル大草原の小さな家」をたくさん見たので、「車という選択肢がある」なんて話ではすまされないのかもしれない。延々と続く長い道と変わらない雑木林や枯れたとうもろこし畑の景色に、とにかくアメリカの広さを実感させられた。
アメリカが車社会である理由がちょっとわかった気がする旅行だった。

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