2013-09-11

一時帰国は時間が足りない

夏休みを利用して、10日間ほど日本へ帰った。
今回は弟の結婚式が一番の目的だったけど、一時帰国中って本当にやることがたくさんあって、とにかく時間が足りない。

(1)人に会う
家族はもちろん、新旧友達や以前の同僚に会った。
今回はいつも会う友達に加えてなかなか会えないイタリア在住の友人夫婦や中学時代の同級生、子供を生んだばっかりの友人とその息子くんに会えて、なかなか充実していた。
いつもいろんな方法で連絡をとってはいるけれど、直接会うと大小いろんなことに話が及んで楽しいし、すごく刺激にもなって、力をもらえる。何も考えずにふらふらしてるわたしにみんな優しいんだよなー。うっうっ。

先日子供を産んだばかりのお菓子の先生をやっている友人(ブログ)が作ってくれた豆乳ブランマンジェ。和風な優しい甘さがおいしゅうございましたーー。

どうしても食べたいもの、わたしの場合はマジックスパイスのカレーだけど、そういうものを食べるのも大事である。次回いつかわかんないしねーー。
ガリガリ君の梨も外せない。ソーダ味はニューヨークでもよく見る。

(2)買い出し
アメリカで買えなかったり、買えるけど高かったりするものを買い出し。これは食いしん坊で変なところにこだわるわたしには一大イベントなので、早いうちからGoogleドライブで夫との共用リストを作って管理!
今回はこんなかんじである。
KINTOのコーヒーとお茶のフィルターつきのカップ。ぐふふ。ニューヨークにもあるんだけど、30ドルくらいするので帰国に合わせて購入。相変わらずわたしはケチである。
ちなみにこちらの商品であります。

わかめごはん大好きなので買占めってくらい買った。三島のわかめがやっぱり一番好きだーー。しかし、これ、ニューヨークはもちろん、日本もスーパーによっては売ってない。

巨大バスソルト、2キロもあってスーツケースのスペースと上限重量を圧迫した。iPhoneとの対比をお楽しみください。
これはこちら。なかなかぽかぽかしてよい。日本の入浴剤ラインナップはやっぱりすばらしい。

買い出しだけど、一時帰国中は時間がいくらあっても足りないので、ネットで買って実家に送っておくのが一番便利だと思っている。
以前両親へのプレゼントで使ったAmazonの登録住所(実家)と両親の名前をそのまま使って送ったら、父が自分へのプレゼントだと思ってお礼の電話をかけてくるという事案が発生した。ごめんなさい、お父さん。それわたしのものです…と謝る親不孝な娘。
しかしこのネット通販作戦、つい買いすぎて、2キロのバスソルトとか買っちゃうので注意が必要。
あと、忘れちゃいけないお土産。わたしは地元のお菓子にした。

(3)事務処理
意外と日本でしかできない処理が多い。今回は国際免許ともうふたつやりたい処理があったんだけど、ひとつはタイムオーバーと先方の予定が合わず処理できず。とにかく飛び立つ前に洗い出して窓口の時間とか必要書類とか調べておくべきである。反省。

で、これらをこなそうとすると、お昼も夜も人と外食になるし、空いてる時間は買い物か事務処理、みたいになるので、お休みのはずなのに結構忙しい。栄養ドリンクを飲んでパワー充電をしていたけど、電車や屋内が寒いからか、温度差にやられて風邪をひいて1日まるまる寝込むことになった。つめこみすぎは次回からやめようと思ったのであった。

ということで、それぞれの項目について次回の一時帰国に見るためのリストを作ってみた。

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【一時帰国チェックリスト】
(1)会いたい人リストを作る
と言ってもだいたいみんな会いたいので、ちょっとやらしい言い方だけど、優先順位づけが大事。

  1. とにかく会いたい人(親友とか家族)
  2. 今しか会えない人(海外や遠方在住でスケジュールが合う人、成長が著しい子供とかもしかしたら次回は…という心配のあるご老人)
  3. お世話になってる人(仕事関係、不義理をしないほうがいい親戚とか)
  4. その他

という順番でスケジュール調整をするべきである。
友達が産休や育児休暇でお休みなので、まあスケジュール合うでしょうと高をくくっていたら、予防接種やらなんやらで結構みんな忙しくて結局全員の予定が合わなくてごめんなさい、という経験をしたのであった…

(2)買い物リストを作る
これまた言い出すとスーツケースのスペースにきりがないので、優先順位づけをしよう。

  1. 日本でしか買えないもの(上述のわかめのようなもの)
  2. ニューヨークでも買えるけど、日本で買った方がお買い得なもの(KINTOのカップとか)

我が家は1番目だけでほぼいっぱいになってしまったので、2番目の食料品とかはお買い得度によって優先順位をつけた。海苔やカレー粉は買わなかったよ…

(3)事務処理リストを作る
今回の大反省点。

  1. やらなきゃいけないことを列挙する
  2. それぞれに必要な書類を列挙
  3. 必要書類をとりに行く場所も含めて、開所時間帯を確認

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ところで、先月日本へ帰ったときも思ったけれど、やっぱり日本、かなり居心地がいい。特に地元。ニューヨークから帰ると本当にほっとする。
しかし、日本での仕事がいやでニューヨーク行きを志願して、今のところ仕事は楽しいのである。
日本で、今の仕事ができたらほんと充実してるんだろうなあ。
うーむ…

と悩んでいたら、またもや友人がひとり、自分の会社を立ち上げていることを発見した。
わたしにもできるかなあ。いや、自信ないなあ、なんていうのを自問自答する夏休みであった。

2013-08-24

『(株)貧困大国アメリカ』を読んで反省した日

「なんでベジタリアンじゃないの?」
先日、スペイン人の大学生にそんな質問をされて、その発想はなかった…と思う中、やっと読んだこの本。
 

このシリーズは全部読んでいるけど、読むたびに毎回ぞっとする。今はアメリカに住んでいるので、本の中で紹介されていることがより身近に感じられて無視できない。

何より衝撃を受けたのは食べ物に関する数々の記述。
安全が証明されていない遺伝子組み換え作物、借金のかたに大企業に支配され、原価割れの価格でお肉や卵を出荷する小規模農家…ときて、まあでも、わたしよく使うスーパーはちょっとお高めでオーガニックを前面に出してるホールフーズですし、大丈夫ですよね?と思いきや、2章でぐさりとメスが入れられた。
実はホールフーズの主要商品は、完全な有機農業ではなく「自然派の」通常食品なのだが、普通のスーパーで買うのとは雰囲気がまったく違うため、顧客は喜んで割高価格でも財布を開く。
…あの雰囲気なら大丈夫だと思って、表示もちゃんと見てませんでした…
スーパー大好き、食べ物大好きなわたしはホールフーズの戦略に踊らされていた自分が恥ずかしい。確かにオーガニックにしては安すぎるもんなあ。反省。
政府と業界が作り上げた「オーガニック」の基準は生産効率を上げるために穴だらけ、認証を取るコストは高く小規模農家はどんどん大企業に吸収されていく。大企業は生産から販売まで事業を垂直統合してコストカット、効率化追い求めて産業の工業化が進んで、その中ではこんなことが行われていて…という話が書かれていて、背筋が冷たくなった。
本当の意味でのオーガニックは、地産池消で生産者の顔が見えることが基本ですよね。石油を使って何百キロも離れた場所にあるスーパーマーケットに流通させ、低コストで大量に生産するやり方とは根本的に相容れない。(中略)鶏肉を見たときに、それがどこから来たのか、どうやって育てられたかを考えることは、地産池消という本来のやり方を続ける小規模有機農家を守るだけでなく、私たち自身が他のいのちとのつながりを見失わないためにも、とても大事なことなのです
この有機農家の人の話がぐさりと突き刺さり、影響されやすいわたしはグリーンマーケットへ行ってきた。
グリーンマーケットはすべてがオーガニックとは限らないけど、少なくとも仲介業者はいないし、生産者の人と直接対話ができるし、地産池消である。

土曜日はお店も多いし、にぎわっている。

いろんな種類のトマト。おもしろいーー。

えー、キジとかウサギは買ってないけど、このお店でチキンを買った。

白いナス初めて見た。買わなかったけど。味も違うのだろうか。

冒頭の「なんでベジタリアンじゃないの?」という質問に対して、
「小さいころからの食生活の中で当たり前のようにお肉を食べてたから欠かせないものになっている。たんぱく質の補給のためにも必要だと思っている」
と答えたんだけど、食べるからにはちょっと高くても誠実な生産者から買って、彼らの事業を支えることくらいはしてもいいだろう。いや、そうするべきなのかもしれないな。収入と支出のバランスは難しいけれど。

この本はやや煽りすぎかなーという部分もなきにしもあらずだけど、取材をした人が考えていることは事実だろうし、とにかく色々と自分の生活を考えさせられる1冊だった。

そういえば最近こんなニュースを見たことを思い出した。

イオン、全国で大型農場 PB野菜販売1000億円に(日経)

日本でも確実に産業の垂直統合は広まっているし、日本政府は農地集約を推進しているのか。
安易な言葉ではあるけれど、政府や企業のこういう動きに対して「食の安全」を確保するためには、消費者が自分のお金をどういうものに使うかという行動で意見を示していくことが大切なのだろう。

物の価格には理由がある。安いものにはそれなりのからくりがあるし、「高いものはいいもの」という思い込みを利用して不当に高く売っているものもある。さらになんでも怖がるのはばかばかしいし、かと言って無頓着すぎるのもよくない。試行錯誤しながら自分の判断基準を磨いていきたいと思う。
今のところ、わたしの判断基準というか努力目標はこんなかんじである。

  • 安いものには理由があるので、安くないものと原料とか産地を比べる
  • 高いという理由だけで買わない
  • よくわからないものは適度に怖がる
  • お肉類は成長促進剤や多量の抗生物質を与えられたものをなるべく避けられるように、可能であればオーガニックにする
  • グリーンマーケットを活用する

グリーンマーケットで買ったチキンで作ったカレーはおいしい気がした。

2013-08-17

東京は愛せど余裕がない

「子供ができてから、仕事をがつがつやろうっていう気持ちがなくなって、何より子供を大事にしなきゃっていう気持ちになった」
先日日本で会った2ヶ月後に出産を控えた友人の言葉である。
以前は円形脱毛症になっちゃうくらいがんばって仕事をしていた彼女である。がつがつ仕事をしているときは男性ホルモンが出まくってたんだろうなーと笑いながら出っ張ってきたおなかをさすっている姿はほほえましかった。

そんな妊娠8ヶ月の女性ホルモンでまくりの彼女であるが、この期に及んで、夜の11時まで残業する日があるそうだ。

別の友達の話。彼女の夫はちょっと前に転職して激務だという話は聞いていたのだけど、最近は会社に泊まりこんで仕事をさせられる上に、休日出勤もちらほら出てきたらしい。

元同僚や友達もかなり遅くまで仕事をしている。友達のひとりは事務職の派遣社員なのにこれまた夜の11時くらいまで仕事をしているのだが、旦那さんも同じくらいまで残業をしているそうである。

ああ、そうだ。わたし、こういう日本の
「けじめけじめ言うくせに、労働時間についてはけじめがなくてだらしない」
みたいな矛盾が嫌いで、別の国で働きたいと思ってアメリカに来ることにしたんだったなあ、ということを思い出した。その結果がどうだったかはとりあえず今のところ置いておいて。

みんななんでそんなに仕事があるんだろう…と思いつつ、東京の快適な街を眺めてみる。

時間ぴったりに来る電車、
安全が保たれている繁華街、
どこでもつながる携帯電話、
魅力的できれいに印刷された本、
おもしろくて目につく広告、
ごみひとつ落ちていない道路、
商品がきれいに陳列されたお店、
おいしいごはん、
コンビニに並ぶ無数の新製品、
予定通りに進むすべてのものごと、
マニュアルを人間にしたような効率的な店員さん・・・

長時間労働が、この快適さや高い品質、幅広い選択肢を提供しているのである。

ニューヨーク、というかマンハッタンも労働者の使い方は同じようなところがあるような気がする。アパレルのお店が朝8時から開いているし、お店に入ると店員さんがやたら多いところがある。レストランにはデリバリー専門の人がいる。たいていのお店は定休日がない。
それに対して、ヨーロッパはそこまで労働者ががんばらない気がする。夜はそんなに遅くまでお店が開いていないし、定休日があるお店も多い。ほら、また、「欧米」でくくっちゃいけないということがわかるでしょう!(過去記事)

日米の労働時間を見てみると、なかなかいい勝負をしている。

年間実働時間の国際比較(社会実情データ図録)

青い線を見ると、「おっ、日本人の労働時間が短くなってるじゃん」と思うのだが、記事にも書かれている通り、
OECDデータの日本の値は基本的には厚生労働省の毎月勤労統計調査に準拠した数字が使われている。これは、かつて時短の対外公約の際に公式に使用していた年間労働時間が毎月勤労統計調査に基づくものだったという経緯によるものと考えられる。しかしこの調査は事業所が調査対象であり、企業が賃金支払いのために把握している労働時間(所定内と所定外)が回答されている。そのため、いわゆるサービス残業や個々の労働者の会社外の副業時間は把握されていない。図には、参考のため、世帯を対象とした労働力調査の週間就業時間(残業、副業を含む毎月の月末1週間の実際の労働時間)を年間換算した値を掲載しておいた。
ということで、サービス残業を含むと日本は相変わらず韓国とならんで世界トップクラスの働き蜂である。

色々調べていたら、もっと衝撃的な事実を見つけてしまった。

日本人の労働時間は以前より短くなっているのか?(経済産業研究所)

15ページに、これまで長時間労働になるのは高所得者であったが、2006年では低所得者が長時間労働になっていると!!
これなんだか実感としてわかる気がする。あれこれ指示を出してさっさと帰るおじさんたちに対して、裏で色々準備する若者たち…

以前もちょっと紹介したこの本の通り、東京やニューヨークは消費者天国だけど、労働者地獄なのではないだろうか。
少しくらい不便な方が、労働者には優しい社会なのかもしれない。本書いわく、「顧客の便利は労働者の不便」である。


わたしも含めて、「お客様は神様」とたてまつられた日本の消費者がどこまでの品質低下を許せるかというところが肝である。
生活レベルはそうそう落とせないものだけれど、労働時間を減らすためには、世の中のサービスに優先順位をつけて、何をどこまで満たすかということを取捨選択する必要があるのだろう。
安全な食べ物は当然必要。でも、電車が1分の誤差も許されない必要があるのか?とか、こういう感じにいろんなものがその品質である必要性があるのかを考えて、人間らしい生活を遅れる労働時間と、街やサービスの均衡がとれる場所を見つけていったらどうなのだろうか。

「そんな社会になるには、まず朝の遅刻を許すところからだと思います!」

…と低血圧の持論を述べて終わりにします。

2013-08-11

今、日本の地方都市がアツイ

先日の帰国時には、某地方都市の実家にも帰った。
わたしの実家は東京から新幹線で1時間半、人口約20万人弱の決して大きくはない、でもそこまでさびれていない地方都市である。
「そこまでさびれていない」というのは最近抱いた感想で、実家を出た10年前から4年ほどまではバブル崩壊や中央集権のあおりを受けて、看板は古めかしいし、建築物には錆が浮いているしで、なんとなく元気のない雰囲気を漂わせていた。実家に住んでいたころのわたしは、たまに東京に行って洋服や雑貨を買い物するのに喜びを覚える典型的な田舎の少女だった。その頃は途中にある大宮ですら輝いて見えていたわ…ふふふ…
遠い目はこの辺にして、自分が変わったのか、地元が変わったのか、判別不明なのだが、最近地元が熱い。

遠くからの写真でよく見えないかもしれないが、新幹線の駅を降りたところで、「打ち水大作戦」と銘打って、街の人たちが集まっていた。
バケツとひしゃくが用意されていて、10時くらいにはハッピを来た人たちが駅前で水をまいていた。
地元のTVだろうか、カメラも来ている。こんな取組み、昔はやってなかったよなあ。高齢者の方から、子供まで、みんなで水をまいている姿が微笑ましい。

どうやら最近は観光にも力を入れているようで、こんなものも。

美味だれ…聞いたことない。我が地元で焼き鳥が名物なんて知らなかった…
B級グルメとか騒がれているから、名物で町おこししようとしているのだろうか。おいしそう。次に帰った時に食べてみたい。
そのほかにも、ロケに使われた映画や、有名な戦国武将を前面に押し出した看板がたくさんあって、「ああ、こういうのを目当てに観光客がやってくるのね」というのが推し量れる。いずれにしても昔こういうのなかったよなあ。

まずは、オンラインで予約した駅近くの美容室へ。ホットペッパーが我が地元までカバーしていることにびっくりである。インターネットすごい。
行った美容室のインテリアはきれいだし、店員さんもみんなおしゃれで丁寧。かなり細かく希望を聞いてくれるところもいいし、炭酸泉でのシャンプーもついて4000円ちょっとって破格である。腕も都内で切ってもらっていた美容師さんと比較しても遜色なし。地元にこんなおしゃれで居心地のいい場所があるなんて、昔では考えられなかった。その服どこで買ったんですか?とか聞きたいくらいである。

その後、妹と一緒に巨大ショッピングモールへ。我が地元には10年ほど前に大きなショッピングモールができたのだが、2年前にも2キロほど離れた場所に違うショッピングモールができた。2年前にできた方には行ったことがなかったので行きたかったのである。

我が地元に関する記憶が10年前からほぼ止まっているわたしはそのモールに足を踏み入れて愕然とした。
10年前には田舎では望むべくもなかったスターバックスはもちろんのこと、ロフトやカルディ、トーホーシネマズまでそろっているのである!!
地方都市になかったのは、こういう巨大雑貨屋さんとか、輸入食品屋さんである。それをよーーーーくわかったラインナップと言わざるを得ない。大きな映画館も今までなくて、新作が始まるのは全国公開からちょっと時差があったりした。
あまりに感動したので、ロフトでボールペンの芯を買い、無印で安くなってたカーディガンを買ってしまった。ついでに果物や野菜からジュースを作ってくれるお店で妹とジュースを飲んだ。なんか新宿駅のプラットフォームでジュースを飲んでる人みたいである。

妹が運転する車の中で、興奮冷めやらぬわたしはまくしたてた。
「昔何にもなくて退屈だと思ってたけど、今じゃなんでもあるね。住むのに全然問題ないね」
実家からちょっと離れたさらに小さい街に住んでいる妹も同意する。
「そうなんだよ!いいお店も結構あるし、人も優しいし、温泉も近いし、ほんといいよね!」
夏は暑いけれど、緑が多いし、ビルが少ないので、東京みたいないやな暑さではない。近くの温泉は朝6時(!!)からやっているし、空は澄み渡って空気はきれいだし、食べ物はおいしい。都内で高い家賃を払ってちょっと緑が多い下町に住んでた自分がばかばかしくなる環境の良さである。
試しに都内で住んでいた家と同じような条件の家を探してみたら、家賃は半分以下であった。ニューヨークと比べたら鼻血が出そうな差なので忘れることにした。

ニューヨークから日本に帰ったら、そうだ、実家を改装して、東京には新幹線通勤してみようかなー。ぐふふ…なんて帰りの新幹線の中で果てしない妄想を繰り広げていたので、新宿の紀伊国屋でこんな本を見つけたときにジャケット買いならぬタイトル買いをしたのも必然であった。

地方にこもる若者たち 都会と田舎の間に出現した新しい社会 (朝日新書)(阿部真大)

この中では、倉敷市が例として出てくる。多分、倉敷は我が地元よりも全然大きい都市に見受けられるけれど、昔はただの田舎だった「地元」が、巨大ショッピングモールの登場により魅力的になっている、というのは共通している部分だと思う。
この本ではそこまで言及されていないけれど、田舎出身のわたしとしては、インターネットでなんでも買えるというのも大きい。

こういう環境は商店街を駆逐していく、という論が述べられているけれど、我が地元は東京からの地の利に恵まれているからか、郊外に移転したお店や後継者がいなくて廃業したお店の後に、若い人が始めたおしゃれなカフェやパン屋さん、雑貨屋さんなんかが入ってきてなかなかおもしろい。昔から続いている甘味屋さんの近くに木目調のナチュラルなインテリアの雑貨屋さんやベーグル屋さんが並んでいる姿はなかなか魅力的である。古い映画館では映画ではなくライブを開催するなど、とにかく町中で色々な試みがなされている。おそらく、そういう試みもテナント料が安いから気軽にできるのかもしれない。東京で飲食店開業するには最初にものすごい金額が必要そうだし。

もちろん、飲食店のような物理的な事業でなく、ソフトの事業は政府のディジタルディバイド対策さまさまで、地方の得意とするところである。ちょっと前に読んだこの記事を思い出した。


これからは、こうやって「民」主導で地方の活性化が進むのかもしれないなあ。IT社会バンザイである。

選択肢が多く、なんでも便利なことが魅力の都会での生活に対して、とにかく心身によさそうな地方都市での生活。今の「草食系」で「ゆとり」の若者には後者の方がはやりそうだけど、どうだろうか。

2013-08-10

日本の素晴らしさをニューヨークで叫ぶ

先日、仕事の関係で日本に一時帰国した。
本当に短い期間だったんだけど、半年ちょっとニューヨークに住んでみてから東京(と地方都市の実家)に戻ってみて、ああ、わたしはやっぱり日本が好きだなあと自分の気持ちを再確認したのであった。

【日本のいいところ】
(1)きれいで安全
もう誰がなんと言おうと、これでしょう!これまでに多分25か国くらい行ったことがあるけど、人がちゃんと生活している感じをさせながらも、日本ほどきれいで、夜でも怖くないと思える場所って本当に稀有である。先日も書いたけど(参照)、モントリオールとミュンヘンはけっこういい線いっている。
記憶の中の新宿は全部歌舞伎町のようにくさくて汚い酔っ払いの街だったけど、あれだけ人が多い東口ですらゴミはほとんど落ちていないし、業務ゴミが山のように積まれているなんてこともなく、この面での日本の快適さに感動すら覚えた。ゴミを朝回収してくれるというのは日本のきれいさにかなり貢献していると思う。ニューヨークだと夕方に回収している地域もあって、特に夏は食べ物屋さんの前を通るときは気分が悪くなる。
人種の問題もあるのかもしれないけど、人が集まるところに特有のにおいがなくて、不快なにおい大嫌いなわたしは成田空港に降りたった瞬間から快適そのもの。石鹸とかも変なにおいしないし、無臭の製品多いし、すばらしい…
昔より危なくなったという意見はあるかもしれないけど、遅くまで飲んで、酔っ払い状態でも公共交通機関で何も怖さを覚えずに家に帰れるのってやっぱりすごい。

(2)ごはんおいしい
日本人だからかもしれないけど、野菜とかお魚とか、あっさりしたものが多くてうれしい。味つけもやさしい。ひさびさに食べた青じそドレッシングのおいしさに気絶しそうになった。
いいかニューヨーカー!どうせローファットを好むなら牛乳だけじゃなくて食生活全体のバランスを考えるんだ!と叫びたくなるくらい。(全ニューヨーカーのみなさんすみません)
ということで、日本で食べた感動ごはんの写真を少々。
六本木の『豚組[しゃぶ庵]』さん。ここはしゃぶしゃぶはもちろんのこと、サイドメニューも繊細でおいしい。こちらはいちじくのふろふき。なんて繊細な!いちじくの自然な甘みとお味噌が日本の素晴らしさを8割くらい物語っている。はい大げさです。当然メインのしゃぶしゃぶは安定のおいしさ。一緒に行った友達も喜んでくれて本当によかった。次回帰国時も絶対に行くぞー!

最近観光スポットとして話題の信州は小布施の『竹風堂』でいただいた栗おこわセット。
もちもちしたおこわはもちろん、鮎の甘露煮やら、山菜やら高野豆腐やらお漬物やら…ぎゃああおいしい。お肉やとか海の魚介類を使わなくてもこんなに満足なご飯が食べられるなんてすごいぞ日本の田舎。
ところで上の真ん中にあるすりばちに入ったものは「むかご」の胡麻和え。むかごとは長いも(母談)を収穫するときにいっしょに根についてきた小さなおいもなのだそうだ。味や食感は里芋みたいなかんじでほくほくしている。こういう、「捨てられちゃうところ」を食べる文化に感動するわたし、「もったいない精神」がどこまでも染みついた日本人である。おいしかったーーーー。

こちらは『築地 奈可嶋』でいただいた松前丼。いくら…とびこ…昆布…温泉たまご…!!!とまたもや感動しきりである。
盛り付けは美しいし、味付けは繊細。これが東京のど真ん中で1200円で食べれちゃうってどういうことなの、日本!!ニューヨークで12ドルで食べられるものを考えると気絶しそうになる。

こちらは焼き鳥屋さん、『阿佐ヶ谷バードランド』。焼き鳥は言わずもがなでおいしかったのだけど、このミョウガに白みそを塗って焼いたものは季節を感じられるし、ミョウガひさしぶりだし、お味噌との相性がめちゃくちゃいいしで感動した。こういう繊細かつシンプルな食べ物はやはり日本すばらしい。はあああああ。
そして、阿佐ヶ谷といえばここ。ジェラート屋さんの『SINCERITA』である。アメリカでこれでもかーーー!というようなあまーーーーいジェラートを食べていたので、果物や素材の味がしっかり感じられるこちらのジェラートは、郷愁の念を抱かせるのに十分な威力で…ううう…写真は前から大好きだったお豆腐とアールグレイのジェラートの2種盛り。
はっ、いかん、ごはんの話で盛り上がりすぎた。続きいってみよう。

(3)便利で効率的、いろんなシステムがすごい
東京駅のお手洗いの中に、こんな表示があったのである。
ちょっとわかりづらい構造のお手洗いの空き状況がわかる表示。すごい。そういえばラーメンの『一蘭』もこんな表示があったりするよなあ。

さらに、久々に駅の自動改札を通ってみて、「これものすごい計算をものすごいスピードでさせてるよね」ということに気づいた。ニューヨークの地下鉄はどこまでいっても均一料金2.5ドルだし、郊外に行く電車では電車の中で検札の人が回ってきて、切符をチョキンと切られる。そのおかげで、降車のときの改札はスルーできるわけである。
しかし日本では、どこの駅から乗ったというデータをSuicaが記憶していて、降りるときに自動精算。新幹線とかの長距離電車はまず改札を2段階にすることで無賃乗車をブロック、検札の人はくるけれど、指定席だったら基本的には車掌さんの持っている端末におそらく自動で飛んでくるデータと座っている人を確認することで、声をかけたり切符を切ったりはしない。降りる駅の自動改札が最後の関門になる。

マニュアル化されたコンビニやチェーン店の接客、シンプルすぎるくらいのビジネスホテルと、とにかく便利さや効率性をどこまでも上げていこうとするところはすごい。もちろんオートメーションによって人間の雇用が…という点はあるかもしれないけれど。
そういえば今回、仕事で会った人が「お客様満足が大切なので」ってやたら言っていたのが気になったな。目に見えにくい指標だけど、利益度外視でお客様は神様です!って思っている人は結構いそうである。

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ああ、他にもかゆいところに手が届くとか人が優しいとかいろいろあるけれどこの辺にしておこう。一応日本のいやだなーと感じたところも書いておこう。差引いても絶対日本はいいところだけどねえ。

【日本のいやだったところ】
(1)ベンチがない
東京は本当にベンチがない。ちょっと疲れたから休みたいなあというときに座れる場所がないのは、本当に不便である。文化の差なのか、ホームレス対策なのか?ともあれ、これから高齢化社会が進むのだから、もっと街の中にベンチがあってもいいと思う。
ホームレスと言えば、ニューヨークのホームレスの人々は夜になると教会の近くで眠るようだ。日本だとそういう場所がないもんなあ。うーん。

(2)フリーWi-Fiや充電できる場所がない
成田にはついにWi-Fiが入っていた!!やっと、という感じである。
そのほかのお店はいろんなプロバイダーのWi-Fiだけど、日本の携帯会社と契約していない人は使えないし、日本語がわからない観光客の人のことを考えるとただでさえ英語の看板が少ないので、とにかく気の毒である。
あと充電できる場所がないのも痛い。電気屋さんの店頭に充電する機械あるけど、あれに入れちゃったら使えないし。充電しながらフリーWi-Fiで旅の計画を立てられるような場所があってもいいと思うんだよなあ。
でもって、お店で充電を頼んでも、マニュアル化されているので融通がきかなくて断られるとかはちょっと悲しい。

(3)話が長いような?
仕事の関係で色々な人にあったんだけど、みんな予定している打合せの終わりの時間を考えずにしゃべるしゃべる。キャッチボールというよりは一方的な演説みたいな。どこが大事でどこがそうでもないのか、という判別がなかなか難しいし、いやどちらにしてもお客さんだからさえぎれないし…と言う感じ。よく言われる、始まる時間の遅刻にはうるさいのに、終わる時間にはルーズとはこういうことだったなーというのを思い出したのであった。

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他にも、日本の保守的な人(おもにおじさん)がうざいとか色々あるけど、とりあえずこの辺で。前にも書いたけど、こういう嫌なところを補って余りある良さがあるぞニッポン。

ちなみに日本最高!というのはBBCの調査でも明らかにされておりますぞ。

BBC poll: Germany most popular country in the world(BBC)
今年は世界4位。上位がドイツとカナダというのが非常に納得できる。(UKについてはわたしは相性が悪いので略)

日本の素晴らしさにしみじみしていたら、ちょっと前に読んだこの本を思い出した。
 
パラダイス鎖国 忘れられた大国・日本 (アスキー新書 54)(海部未知)

いや、ほんと仕方ないです。引きこもりたくなりますってあの快適さ…ということで、しばらく日本の思い出に浸りながら、つらつらと書いていきたいと思います。
実は来月も日本に行くのですが。ははは。

2013-07-27

「Vacancy」、「レイオフ」、「貧困層」

「vacancy」

先日、外国人の友達から、日本の会社に履歴書を送りたいからこの英語を日本語にしてくれない?と頼まれた。
彼は日本語が結構できるんだけど、ビジネスの日本語まで行くとさすがに難しいようである。送られてきた英文を見て、ちょっと考えた。

I hope you find my profile interesting to be considerate for any vacancy.

vacancy。この単語、「日本で働くこと」に対する自分の考えがものすごく曖昧だったんだなあということを思い知らされる。
なんとなく進学との選択肢で就職を選び、なんとなく新卒一括採用をしている企業に入って、日々おかしいなーと思うことがあってもタスクをやっつけていくのはそれなりに楽しくて、人事異動を数回しながらなんとなく10年ほど働き続けている会社。その会社にvacancy(空き)がある、と思ったことはないのである。

毎年多くの人が定年退職して、多分同じくらいか少ないくらいの新卒の人が入ってくる会社。社内の人事異動は3年おきくらいにあり、人事異動のルールとなる社内の「人材育成計画」は、必ずしも悪いことばかりではないけど人事に関わる人が変わるたびにころころ変わる。
そういう会社の人事異動は、何百人というパズルをなんとなーく組み立てている感じである。そのパズルを組み立てるのはもちろん大変だろうけど、ピースははめる場所からちょっとはみでてたり、足りなかったりしてもそこまで問題ではなく、「誰が」「どこで」働いている、というのはそこまで重要じゃなくそうに見える。それよりも、とにかくピースを「若者を現場に」とか「この人は高学歴だから出世できるポジションへ」みたいなルール通りにはめる、ということに注力されている気がする。
だから「vacancy」という単語を見たとき、ピースである彼の能力をきちんと判断して、会社のリソースであるパズルのどこにはめるか、ということをきちんと考えてくれる会社だといいなあという気持ちが生まれたのである。

彼が応募しようとしていた会社のサイトを見たら、
・新卒予定者(国内大学)
・新卒予定者(海外大学)
・経験者採用
という3つの採用種別があった。彼のような大学院を卒業して母校で有期雇用のティーチングアシスタントとして働いてた人は経験者採用になるのだろうか、と思いリンクを開いてみたら、経験者採用は履歴書が手書き必須、と書いてあった。
手書きの必要性が全然わからないんだけど、日本の郷に従え、ということなのかな…

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「レイオフ」

vacancyについて考えさせられたほんの数日後、こちらの会社でいちばんよく話して気が合うと言っても過言ではない同僚から、普段とあまり変わらない声音で突然告げられた。
「7月末で終わりなんです」
聞いた瞬間、意味がよくわからなかった。最近その人が契約社員?派遣社員?ということに気づいたくらいだったので、思わず、「えっ、なんで?」と聞いてしまう。うーん、とちょっと考えたあと、ぽつりと言葉が発せられる。
「仕事に合わなかったみたいで、もういらないって言われてしまいました」
ああ、わたしのバカ。聞かなきゃよかった…

帰り道、一緒に歩いていた長いこと派遣社員をやっているという別の人が、「あの人の気持ちがすごくわかります」とため息をつく。
「レイオフされるって、やっぱり考えちゃうんですよね。自分の能力がもっとあったらよかったのか、とか」
レイオフ。昔、lay offは会社都合の解雇、fireは能力不足や勤務状況がよくない場合の解雇で、レイオフは悪いものじゃないんだよーという話を聞いたことがあるのだけど、やられた方はたとえ履歴書に傷がつかなくても精神的にダメージを受けるよねということを恥ずかしながら一連の会話で気づかされた。
これまでわたしは、前述の外国人の友達のように、有期雇用の仕事をすることもなく今の「終身雇用っぽく見える」会社に新卒で入ってしまっているから、自分がレイオフにあうかもしれないという可能性を考えたことがなかったし(辞めるシミュレーションはよくする)、契約が切れたあと次どうしようと考えて履歴書を送るみたいなこともやったことがない。
わたし、ネットでよく叩かれてる「既得権者」なんだなと思ってちょっと気持ちが重くなった。

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「貧困層はなんで貧困なの?」

…なんてことを、日本から来ている駐在員の同僚が突然言い出した。前述のレイオフについて聞かされる数時間前のこと。
「仕事なんていくらでもありそうじゃん。能力の問題なの?それとも性格が働くことに向いてないとかそういうことなの?」
「教育を受けられないから、いい仕事につけないとかなのかな」
無邪気な疑問に対して、別の駐在員の同僚が言う。ちなみに両方同年代の男性で、都会の中高一貫校を出て、一流大学に入って、うちの会社に入った人たちである。
アメリカ人の同僚は、「うーん…難しい」と言葉を失ってしまった。
わたしはこの辺の話にすごく興味があって、これまでに貧困に関する本はたくさん読んでいるのに、「例えば建設現場で働いてて、けがをしちゃって働けなくなるとか、何らかの疾患で働けなくなって貧困になってしまうっていうのはあるよね」というのが精一杯だった。

この会話に、仕事がしたくても大学院を出た経験を生かせる仕事にvacancyがない友達や、レイオフされてしまう同僚の話がちょっとかぶってきて、金曜日の夜から土曜日にかけて頭がパンクしそうだった。

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貧困や働き方に関しては、この辺の本がとても考えさせられたのでご紹介。決して読後感がいいわけではないけど、知りたい方、考えたい方へ。


貧困の光景 (新潮文庫)(曽野綾子)
生き生きとしたアフリカの情景と貧困のコントラスト、著者の苦悩がひしひしと伝わってくる。


子どもの貧困―日本の不公平を考える (岩波新書)(阿部彩)
これは日本の話。日本では6人に1人の子供が「貧困」だという事実はショック。
以下のNHKの番組で話していることがこの本の中に事例と一緒に書かれているかんじである。
視点・論点「子どもの貧困 日本の現状は」(NHK)
貧困とされる家庭の生活の様子を読むと、暗い気持ちになって、自分にできることはないかなと考え込むこと間違いなし。


なぜ若者は保守化するのか-反転する現実と願望 (山田昌弘)
「顧客の便利は労働者の不便」というところは「経営者の便利は労働者の不便」にも言い換えられるんじゃないかなー。山田さんの本はほんとに毎回考えさせられる。理論だけでなく、若者の視点に立った考察がうれしいし、どの著作もどこかに希望を感じられる。

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先日読んだこの本に、現代は昔よりもいろいろな情報が手に入りやすいので、Y世代(ミレニアル世代)以降の人たちは様々なことを身近に感じられるようになってきている、ということが書いてあって共感した。


ワーク・シフト (孤独と貧困から自由になる働き方の未来図<2025>)(リンダ・グラットン)

もし本当にそうなのだとしたら、週末に考え込むことは未来のためにそこまで無駄でもないのかもなと感じた。
…そう感じないとちょっといてもたってもいられない気持ちだった、ともいえる。

2013-07-21

ミツワ初上陸、「日系」スーパーはこれからどうなる?

ミツワ。それはニューヨーク在住の日本人なら誰でも耳にしたことのある日系スーパーである。ニューヨークのスーパー事情をひたすらブログにまとめて(これとかこれ)電子書籍にまでしたくせに(これ)、ミツワ行ったことないなんてもぐりだよね、ということで行ってきた。
マンハッタンから行くにはポートオーソリティーからのシャトルバスを使う。水曜日、木曜日以外は片道3ドル。どうやら他のバスよりもお手頃なせいか、地元の人の足としても使われているようである。
25分ほどで到着!
外観はよくあるアメリカ的な四角い建物…なんだけど、「九州沖縄物産展」とかでかでかと出ている。残念ながら今週の中盤からだったが、店内ではすでに準備が始まっていた。

この中はどれだけ日本人だらけなのか!とわくわくしながら店内へ。
いきなり目に入ってきたのは混みまくりのフードコート。おなかも空いていたのでさっそくお昼ご飯を食べることにした。
あの山頭火があるというのも日本人社会では有名。しかしお昼ちょっと前にも関わらずお店の前には長蛇の列で、並ぶのがめんどくさい。その横にあった茅場という名前のお店でうどんとかつ丼のセットを頼んだ。8ドルくらいで超お得である。ニューヨークじゃ考えられない値段だねえと夫と感動した。
「当店のかつ丼はひと味違います!」みたいなことが書いてあったのでちょっと期待してたんだけど、うん、まあ普通だった。値段なりである。夫が頼んでいた天丼はそこそこおいしかったので選択を間違えたかもしれない。
フードコートには、中国語やスペイン語を話している家族連れっぽい人数の多いグループが多くて、日本人があまり見当たらない。お手頃だから近所の人たちが買い物はしないけどごはんだけ食べにきているのかなあと推測。

本館を見る前に離れというか向かいの建物へ。大きな三省堂書店があった。
東京にいた頃、一番好きな本屋さんは神保町の三省堂だったよ…ということを思い出してホームシック再燃。マンハッタンの紀伊国屋より見やすい陳列をしてある気がするけど、商品の絞り込みがうまいのだろうか。一番奥にはなつかしい日本の文房具もたくさん売っていたけど、来月一時帰国するのでとりあえず見なかったことにする。

その他この離れには陶器を売っているお店やおもちゃ屋さんも入っていたのだけど、なんだろう、雰囲気が懐かしいのである。プラモデル系の箱が積み上がっていたし、奥まったところには日本人形とか売ってたし、「わたしたちが子供の頃のおもちゃ屋さんっぽいね」という意見で夫と一致。今思えばテレビゲーム類が置いていなかったかもしれない。お店の中にはお客さんより店員さんが多いくらいの静かさで、日本の地方を彷彿とさせる。
離れの一番はじっこのスペースは空いていて、テナントを募集していた。

さてやっと本館へ。
マンハッタン在住のわたしたち、ニュージャージーは道も広いし勝手にミツワは奥が見えないくらい大きいんじゃないかな!?と想像していたのであるが、そうでもない。向こう側が見渡せないくらい広いなんてこともなく、日本の地方のスーパーくらいの大きさである。都内でもこのくらいの大きさの西友とかあるよねというくらい。イオンモールほどは大きくないと思う。
で、フードコートの混みっぷりはなんだったのか、スーパーはそこまでごみごみしていない。試食をくばる人がたくさんいるんだけど、飛ぶようになくなるなんてことはなさそうで、店員さんたちが呼び込みをしていた。
前に友達から「日本よりも種類が多い!」と聞いていた納豆売り場。
確かにこの充実度はすごいかもしれないけど、都内でスーパー選びたい放題の場所に住んでいたわたしとしてはそこまでの感動はなく…すまん友人。結局買わなかった。
ところで、ミツワのある場所には、こんな不思議な法律があるそうだ。

「電化製品は郡の法律により日曜日の販売はできません。」
へー。これおもしろい。「Blue Law」というのは日曜日をお休みと課す法律だそうで、おそらくキリスト教の名残なのであるが、アメリカ国内でもそこまで多くの場所で残っているわけでもないようである。


このミツワの近隣のBergen countyでは、日曜日の電化製品や洋服、家具の販売が禁止されている。このBlue Lawさん、去年のハリケーンの時には1週間だけ特別措置がとられたようだけど、その後見事復活を果たしたそうだ。
しかしさーーー、ヨーロッパみたいにお店ごと休みってわけじゃないと、開いててお客さん来るんだし、レジの人は働いてるんだし意味ないよね…と激しくつっこみたくなる気もする。


あ、もうつっこまれているようである。税収を上げるためには日曜日の営業を許可するというのは手っ取り早いだろうし。
ということで、電化製品売り場はきちんと見られなかったのだけど、テスコムの割とお手頃なキッチン用品とかもあるので必要な人はいいかもしれない。

最終的にネギとかちょっと懐かしい細長いナスとかカルピスとか、日本を思わせるその辺の食材を買って帰ったのであった。スーパー研究家のわたし観察によると、野菜の価格はもしかしたらダイノブに軍配が上がりそうではあるが、せっかく来たし何も買わないで帰るのも悔しい。レジもそこまで混んでなくて快適と言えば快適な買い物体験であった。塩辛とかイカの一夜干しとかは魅力的だったけど、暑いのでちょっと怖くてやめてしまった。次行くとしたら保冷バッグを持って行くかも。

しかし、なんと言えばいいのだろうか。わたしの想像の中でミツワはなんでもある巨大なサンクチュアリと化していたので、想像を盛り上げすぎて、がっかりした感がある。売り場面積が広いからアドバンテージのありそうなのに、マンハッタンのサンライズマートとかダイノブとそこまで変わらない品揃えのような気がしてしまう。
期待していた化粧品とか日用品売り場にも、わたしがすごく欲していた汗拭きシートが見つからない。日本だとどのドラッグストアでも入口近くに置いてあるのに。お徳用サイズも出ちゃうくらいなのに。なんで男性向けのギャツビーの顔拭きはあるのに女性向けの汗拭きシートはないんだろう?ニューヨークで働く日本人女性は汗かかないんですか?
日本であれだけ支持を得ている(と勝手に思い込んでいる)商品がないとなると、せっかく広いのに、サンライズマートやダイノブと同じ仕入れ元の同じカタログから買ってますね?という深読みをしてしまう。需要を無視しているのは仕入れ元なのかそれとも買う方なのか。あ、汗拭きシートくらいで騒いですみません。ともあれ、マンハッタンからわくわくした気持ちで来るお客さんに対する差別化ができていないように感じた。その差別化のできてない感じが、時間が止まったかのように古さというか哀愁というか、「海外での日系スーパー」の衰退を予期させるのであった。

日系の食べ物に関して言えば、和食の人気の高まりとともに少し大きめのスーパーに行けば簡単に見つかるので、ミツワができた時代とは和食材のレア度が変わってきているというのもあるだろう。
また、以前の日本人よりも今の日本人はいろいろなものを食べて育ってきているから、「焼き魚食べないと1日が始まらない!」「お酒のおつまみには絶対枝豆と塩辛」という昔の人たちのこだわりは、「今日の朝はパンでもいいや」「お酒にはチーズでもいいや」という嗜好に置き換え可能だったりして、昔からの蓄積による食へのこだわりというか欲求も変わってきているだろうし、ゼロにはならないだろうけど需要そのものが減って行く恐れもある。
おそらく、だからミツワは日系スーパーとしてこちらの現地の人たちが食べられないような納豆とかで日本人を呼び込んでいるのだろうけど、もっと食が多様化して、日本人の和食依存度が下がったらこういうお店は何を売りにするんだろうなあというのを考えると面白い。日本人に限らず和食大好きな人たちを呼び込むか、「どうしてもこれだけは!」というものを高値で売るか。
…と、ここまで勝手に妄想してしまいました。

帰りのシャトルバスの乗客の中で日本人はわたしたちだけだった。
とりあえずもう1回くらいはちゃんと観察するために行くかも。でも往復1時間以上は遠いので涼しくなってからにしようと思う。

(2015/2/17追記)

ありゃりゃ、ミツワのシャトルバス、2014年末でなくなったようです。