「子供ができてから、仕事をがつがつやろうっていう気持ちがなくなって、何より子供を大事にしなきゃっていう気持ちになった」
先日日本で会った2ヶ月後に出産を控えた友人の言葉である。
以前は円形脱毛症になっちゃうくらいがんばって仕事をしていた彼女である。がつがつ仕事をしているときは男性ホルモンが出まくってたんだろうなーと笑いながら出っ張ってきたおなかをさすっている姿はほほえましかった。
そんな妊娠8ヶ月の女性ホルモンでまくりの彼女であるが、この期に及んで、夜の11時まで残業する日があるそうだ。
別の友達の話。彼女の夫はちょっと前に転職して激務だという話は聞いていたのだけど、最近は会社に泊まりこんで仕事をさせられる上に、休日出勤もちらほら出てきたらしい。
元同僚や友達もかなり遅くまで仕事をしている。友達のひとりは事務職の派遣社員なのにこれまた夜の11時くらいまで仕事をしているのだが、旦那さんも同じくらいまで残業をしているそうである。
ああ、そうだ。わたし、こういう日本の
「けじめけじめ言うくせに、労働時間についてはけじめがなくてだらしない」
みたいな矛盾が嫌いで、別の国で働きたいと思ってアメリカに来ることにしたんだったなあ、ということを思い出した。その結果がどうだったかはとりあえず今のところ置いておいて。
みんななんでそんなに仕事があるんだろう…と思いつつ、東京の快適な街を眺めてみる。
時間ぴったりに来る電車、
安全が保たれている繁華街、
どこでもつながる携帯電話、
魅力的できれいに印刷された本、
おもしろくて目につく広告、
ごみひとつ落ちていない道路、
商品がきれいに陳列されたお店、
おいしいごはん、
コンビニに並ぶ無数の新製品、
予定通りに進むすべてのものごと、
マニュアルを人間にしたような効率的な店員さん・・・
長時間労働が、この快適さや高い品質、幅広い選択肢を提供しているのである。
ニューヨーク、というかマンハッタンも労働者の使い方は同じようなところがあるような気がする。アパレルのお店が朝8時から開いているし、お店に入ると店員さんがやたら多いところがある。レストランにはデリバリー専門の人がいる。たいていのお店は定休日がない。
それに対して、ヨーロッパはそこまで労働者ががんばらない気がする。夜はそんなに遅くまでお店が開いていないし、定休日があるお店も多い。ほら、また、「欧米」でくくっちゃいけないということがわかるでしょう!(過去記事)
日米の労働時間を見てみると、なかなかいい勝負をしている。
年間実働時間の国際比較(社会実情データ図録)
青い線を見ると、「おっ、日本人の労働時間が短くなってるじゃん」と思うのだが、記事にも書かれている通り、
色々調べていたら、もっと衝撃的な事実を見つけてしまった。
日本人の労働時間は以前より短くなっているのか?(経済産業研究所)
15ページに、これまで長時間労働になるのは高所得者であったが、2006年では低所得者が長時間労働になっていると!!
これなんだか実感としてわかる気がする。あれこれ指示を出してさっさと帰るおじさんたちに対して、裏で色々準備する若者たち…
以前もちょっと紹介したこの本の通り、東京やニューヨークは消費者天国だけど、労働者地獄なのではないだろうか。
少しくらい不便な方が、労働者には優しい社会なのかもしれない。本書いわく、「顧客の便利は労働者の不便」である。
わたしも含めて、「お客様は神様」とたてまつられた日本の消費者がどこまでの品質低下を許せるかというところが肝である。
生活レベルはそうそう落とせないものだけれど、労働時間を減らすためには、世の中のサービスに優先順位をつけて、何をどこまで満たすかということを取捨選択する必要があるのだろう。
安全な食べ物は当然必要。でも、電車が1分の誤差も許されない必要があるのか?とか、こういう感じにいろんなものがその品質である必要性があるのかを考えて、人間らしい生活を遅れる労働時間と、街やサービスの均衡がとれる場所を見つけていったらどうなのだろうか。
「そんな社会になるには、まず朝の遅刻を許すところからだと思います!」
…と低血圧の持論を述べて終わりにします。
先日日本で会った2ヶ月後に出産を控えた友人の言葉である。
以前は円形脱毛症になっちゃうくらいがんばって仕事をしていた彼女である。がつがつ仕事をしているときは男性ホルモンが出まくってたんだろうなーと笑いながら出っ張ってきたおなかをさすっている姿はほほえましかった。
そんな妊娠8ヶ月の女性ホルモンでまくりの彼女であるが、この期に及んで、夜の11時まで残業する日があるそうだ。
別の友達の話。彼女の夫はちょっと前に転職して激務だという話は聞いていたのだけど、最近は会社に泊まりこんで仕事をさせられる上に、休日出勤もちらほら出てきたらしい。
元同僚や友達もかなり遅くまで仕事をしている。友達のひとりは事務職の派遣社員なのにこれまた夜の11時くらいまで仕事をしているのだが、旦那さんも同じくらいまで残業をしているそうである。
ああ、そうだ。わたし、こういう日本の
「けじめけじめ言うくせに、労働時間についてはけじめがなくてだらしない」
みたいな矛盾が嫌いで、別の国で働きたいと思ってアメリカに来ることにしたんだったなあ、ということを思い出した。その結果がどうだったかはとりあえず今のところ置いておいて。
時間ぴったりに来る電車、
安全が保たれている繁華街、
どこでもつながる携帯電話、
魅力的できれいに印刷された本、
おもしろくて目につく広告、
ごみひとつ落ちていない道路、
商品がきれいに陳列されたお店、
おいしいごはん、
コンビニに並ぶ無数の新製品、
予定通りに進むすべてのものごと、
マニュアルを人間にしたような効率的な店員さん・・・
長時間労働が、この快適さや高い品質、幅広い選択肢を提供しているのである。
ニューヨーク、というかマンハッタンも労働者の使い方は同じようなところがあるような気がする。アパレルのお店が朝8時から開いているし、お店に入ると店員さんがやたら多いところがある。レストランにはデリバリー専門の人がいる。たいていのお店は定休日がない。
それに対して、ヨーロッパはそこまで労働者ががんばらない気がする。夜はそんなに遅くまでお店が開いていないし、定休日があるお店も多い。ほら、また、「欧米」でくくっちゃいけないということがわかるでしょう!(過去記事)
日米の労働時間を見てみると、なかなかいい勝負をしている。
年間実働時間の国際比較(社会実情データ図録)
青い線を見ると、「おっ、日本人の労働時間が短くなってるじゃん」と思うのだが、記事にも書かれている通り、
OECDデータの日本の値は基本的には厚生労働省の毎月勤労統計調査に準拠した数字が使われている。これは、かつて時短の対外公約の際に公式に使用していた年間労働時間が毎月勤労統計調査に基づくものだったという経緯によるものと考えられる。しかしこの調査は事業所が調査対象であり、企業が賃金支払いのために把握している労働時間(所定内と所定外)が回答されている。そのため、いわゆるサービス残業や個々の労働者の会社外の副業時間は把握されていない。図には、参考のため、世帯を対象とした労働力調査の週間就業時間(残業、副業を含む毎月の月末1週間の実際の労働時間)を年間換算した値を掲載しておいた。ということで、サービス残業を含むと日本は相変わらず韓国とならんで世界トップクラスの働き蜂である。
色々調べていたら、もっと衝撃的な事実を見つけてしまった。
日本人の労働時間は以前より短くなっているのか?(経済産業研究所)
15ページに、これまで長時間労働になるのは高所得者であったが、2006年では低所得者が長時間労働になっていると!!
これなんだか実感としてわかる気がする。あれこれ指示を出してさっさと帰るおじさんたちに対して、裏で色々準備する若者たち…
以前もちょっと紹介したこの本の通り、東京やニューヨークは消費者天国だけど、労働者地獄なのではないだろうか。
少しくらい不便な方が、労働者には優しい社会なのかもしれない。本書いわく、「顧客の便利は労働者の不便」である。
なぜ若者は保守化するのか-反転する現実と願望(山田昌弘)
生活レベルはそうそう落とせないものだけれど、労働時間を減らすためには、世の中のサービスに優先順位をつけて、何をどこまで満たすかということを取捨選択する必要があるのだろう。
安全な食べ物は当然必要。でも、電車が1分の誤差も許されない必要があるのか?とか、こういう感じにいろんなものがその品質である必要性があるのかを考えて、人間らしい生活を遅れる労働時間と、街やサービスの均衡がとれる場所を見つけていったらどうなのだろうか。
「そんな社会になるには、まず朝の遅刻を許すところからだと思います!」
…と低血圧の持論を述べて終わりにします。
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