2019-06-02

男らしくなくていい、自分らしく育ってほしい

「男の子だねえ」「やっぱり男の子だ」「男の子だからこれからきっと…」

ことら(仮名・息子)のことをそう言われるとめちゃくちゃモヤモヤする。まだ1歳にも満たないのに、もうステレオタイプの刷り込みが始まっているのだ。そういう話題になると、わたしは意識的に話を変えるか、おいしいもののことを思い出して話を聞かない。

迎える子どもが男の子だと知ったとき、正直言うと少し戸惑った。性別の希望はなかったのだが、どこかで女の子だと思い込んでいて、「周囲が言ってくる女らしさなんて気にしなくていいんだよ。自分らしく、大きくなるんだよ」というメッセージを伝えていこうと思っていた。

しかし男の子の場合、何をどう伝えればいいんだ。東京育ちの圧倒的マジョリティだけど、マイノリティへ想いを馳せることができる子どもに育ってほしい。でもどうやって?
女の子をエンパワメントするものはたくさんあるのに、男の子へのこの手のメッセージって少なくない?
…と思っている中、この本に出会った。

ボーイズ 男の子はなぜ「男らしく」育つのか

タイトルだけで気になる度最高なのに、著者の子どもが養子の男の子で、勝手に親近感を覚えた。

わたしがそうだよね!!!と100回くらいうなずいたのはこの文章だ。

(子どもが)人形なりピストルなりを自然と好むようになったと、私たちは信じたいのだ。私の知っている限り、息子がいる親はほぼ全員、一度はこのような発言をしている。「好みに影響するようなことは何もしてないのよ。この子はただ自然とトラック(あるいはフットボール、スターウォーズのレゴ、その他男の子用と定義されるもの)が大好きになったの!」。しかし、ピンクとブルーの分離化がこれほど広まっており、しかもそれがごく早期に始まって、本や映画や広告や、大人からの直接的・間接的期待によって繰り返し強化されていることを考えれば、生物学的要素と社会的要素とを見分けることは不可能だ。
(中略)
「親は、男の子には一貫してジェンダーに対応したおもちゃを与える傾向がある。それは、ホモフォビアの色濃い文化において、『ピンク』の側に入った男の子の社会的代償は特に大きいと理解しているからかもしれないし、ジェンダー規範に従ってほしいという親自身の願いによるものかもしれない」。

成長の過程で、男の子は「グループに順応し所属したいから」、男の子らしいふるまいをするようになる。10歳、11歳くらいになると、人に助けを求めることは「男として出来損ない」なのだと思うようになるそうだ。

他にも男の子とは切り離せないスポーツやゲームの話も書かれていておもしろい。また、「男らしさ、女らしさ」のせいで、性的マイノリティの子どもたちが直面する困難にも触れていてすばらしい。思春期の男の子たちにクールな男性たちが性教育をする、カルガリーのワイズガイズ(WiseGuys)の取り組みが興味深かった。

読み終わって気づいた。結局、伝えるメッセージは男の子でも、女の子でも、一緒なのだ。

「周囲が言ってくる男らしさ・女らしさなんて気にしなくていいんだよ。自分らしく、大きくなるんだよ」

「はじめに」がここに公開されているのでぜひ。


2019-05-06

電車でベビーカーをたたむシミュレーション


東京近郊を走る某電車の車内放送で、ベビーカーをたたむように放送があったらしい。



さいきん、ベビーカーを手に入れたばかりのわたし。たたんで電車に乗ったことなかったことに気づく。ということで、めったに乗らないが、あるワンオペの日、突然、中華街でエビマヨを食べたくなったときのために、ちょっとシミュレーションしてみることにした。

荷物の体積
月齢、年齢にもよるが、子供と出かけるときには荷物が多い。ことら(息子)の場合はこんな感じ。ざっと体積も出してみた。ポーチの大きさから計算しているので、ちょっと大きめに出るのはご了承くださいませ。

13,396cc2リットルのペットボトル7本分弱である。重さはペットボトルほどにはならないが、なかなかかさばる。いつも子供連れの人が大きなバッグを持っているわけである。


荷物をつめて、持つ
5分ほど調べたところ、荷物を入れたまま、たためるベビーカーはなさそうである(あったら教えてください)。そのため、電車に乗る時にはペットボトル7本分+自分の持ち物を入れるバッグを「持つか、片方の肩にかける」必要がある。体積的に、このバッグならいけそう。

なお、ベビーカーをたたんだあと、ことらをエルゴに収納しないといけないので、肩紐が干渉するリュックはNGだ。

電車が来る前の準備
駅のエレベーターを求めて右往左往しながらも、なんとか中目黒に到着。電車が来る前に、こんな準備をする必要があるだろう。
 ①ベビーカーに収納していた荷物を下ろす
 ②バッグの中からエルゴを取り出す 
 ③エルゴを装着し、ことらを抱っこする
 ④ベビーカーをたたんで片手に持つ
 ⑤荷物を肩にかける
これをその辺でぱぱっとやるのはけっこう大変だ。人がたくさんいたらベビーカーを端に寄せたり、ベンチを探したりしないといけないかも。

電車に乗る
いつもどおり、中華街行きの電車はおしゃれな人でいっぱいである。なんとか乗り込む。片手にベビーカー、正面には10kgのことらと、もう片方の肩には大きなトートバッグ。ベビーカーを持ってない方の手でつり革を持ちたいけど、混んでいるのでなかなかいいポジションが取れない。停車駅が少ない電車なのでメンバーチェンジがなく、座れない。ふらふらしながら、なんとか中華街に到着。

そしてエビマヨへ
途中、おむつ大爆発でおむつ替えスペースの検索に手間取ったりしたけど、ぷりぷりのエビにたどりついて大満足!! 帰り道を想像し、「時間かかるけど、ベビーカーたためって言われないJRで帰ろうと心に誓うのであった。

ちなみにトップ画像はニューヨークのチャイナタウンで食べた小籠包でした。食べたい〜〜。しかしニューヨークの地下鉄にベビーカーで乗ろうとしたらもっと大変そう。どうなんだろ。

2019-04-05

不妊治療と養子の費用を比べてみる 〜不妊治療か、養子かを考える〜

はじめに注意書き。養子を迎えるまでにかかるお金は誰かが利益を上げるためのものではなく、実親さんや子どもを支援するための実費だ(法律で決められている)。

なので、自由診療で病院に利益が出る不妊治療にかかるお金と比べることにはちょっと抵抗があるが、「自分のお財布」から出ていくという意味では違いがないので、比較をしてみたい。

ちなみに我が家は、「どうせお金を使うなら、不妊治療よりも、困っている実親さんや子どもを助ける方に使いたいよね」という点で夫婦の意見が一致していた。…のに、後述するようになぜか不妊治療もしてしまったので、その経験を書きたい。

養子を迎えるまでにかかるお金

以下の記事にいろいろな団体の費用が載っているが、だいたい数十万円〜300万円弱くらいである。ということで、間を取って200万円を目安にしたい。

養子縁組の基礎知識、児童相談所と民間事業者の違いとは?(マネープラス)


不妊治療にかかるお金

今度は200万円でできる不妊治療の内容を考えてみよう。ぐぐって1番最初に出てきた、この病院の費用でざっくり計算してみた。

すると、だいたい、人工授精5回、採卵〜顕微授精のセット4回くらいで200万円くらいになりそうだ。ただし、途中の検査や注射の費用は入っていない。あと、めでたく妊娠したら、これに分娩費用がかかるので、プラス50万円〜80万円くらいである。

我が家の場合

前回も書いたが、わたしたち夫婦は養子がいいなと思っていたのに、「養子の倍率は数十倍」という記事を見かけてしまい(この記事が見つからない…)、
養子が数十倍だったら、子どもが来る可能性が1桁%だよね? だったら、30代中盤で妊娠する確率は50%くらいだから、その方が子どもを育てられる確率が上がるのでは?」

と小賢しいわたしが考えて、1年ちょっと不妊治療をした。かなり効率的(?)に治療をして、やめるまでの支出が約100万円だった。

不妊治療を始めるときに、「年齢、経済的に養子を迎えるための余力を残しておくため、不妊治療は高度な治療を1回だけにする」と決めていた。しかし、いざ、採卵をして、受精して、胚盤胞ができて、産院を決めて…となると、期待してしまうのである。採卵数や、胚盤胞のランクをいちいちぐぐって、自分が妊娠・出産する確率はどのくらいなんだろうと確認し、ここまで使ったお金と時間への執着や、怖さもあって、悪いことは考えられなくなっていった。

結局最初の試行で稽留流産してしまったのだが、「1回だけ」という決まりがあったにも関わらず、流産直後に「まだ凍結胚があるから次どうしよう」と夫に相談した。そのとき夫が、「今は冷静になれないから、ちょっと落ち着こう」と言ってくれて、気がついたら養子がいるのが今の状況である。

まとめ 

ということで、冷静なうちにリミットを決めておくのはとても大事だと思うわけである。そして、養子を迎えるという選択肢を残しておくためには、リミットを決めるときにポイントになるのが、

・不妊治療にかけるお金
・不妊治療を終わりにする年齢

の2点だと考えている。

2019-04-03

「産みたいかな?」のチェックリスト 〜不妊治療か、養子かを考える〜





前回突然描いてみた、不妊治療か、養子かを考えるフローチャート。最初の判断ボックス、『「出産」したい?』についてちょっと考えてみたい。

最近、厚労省が力を入れているので、特別養子縁組についての記事や特集をよく見る。その中でよく出てくるのが、「産みたいのか、育てたいのか?」という問いだ。

産みたいのですか、育てたいのですか?――特別養子縁組で親になるという選択(ハフィントンポスト)

この問い、なかなか具体的に考えるのが難しいかもしれない。ということで、産みたいのか、育てたいのか、明確にする手助けになるチェックリストを作ってみた。

【産みたいかな?チェックリスト】

(1) 出産という体験をしてみたい
 →妊娠や、つわり、陣痛、分娩を経験してみたいという場合。女性同士だと妊娠期間の話で盛り上がることもあるので、経験した上でその会話に参加したいとかも。

(2) 生物学的につながりがある子どもがいい
 →自分(と相手)の遺伝子を継いでいてほしいと思うなら、産むしかない。代理母もここに含む。

(3) 養子にまつわる困難に耐えられそうにない
 →以前も書いたが、養子は「普通の家庭」からはやってこない。養親になるには法律で決められた研修を受ける必要があるし、出産よりも費用がかかる場合もある。


ここで重要なのは、産む人の意思だ。「パートナーが子どもをほしいと言っている」とか、「親戚がうるさい」とか、子ども関連は周囲の要望やら騒音が激しい場合が多い(わたしも夫の実家(九州)とバトルを繰り広げた…)。そうだとしても、そのうざったさと、上記の3点を自分の胸に問いかけて、自分の意思として判断ができたら何よりだ。

ちなみにわたしは(1)、(2)にはまったくこだわりがなく、(3)に至ってはむしろ燃えるタイプだったのだが、「特別養子縁組の競争率は数十倍」という記事をどこかで読んでしまい、ちょっと遠回りしてしまった。その辺の話は別の機会に。

2019-03-28

不妊治療か養子か。人の決断は、フローチャートのようにはいかない

…と思いつつ、作ってしまった。不妊治療か、養子かを考えるフローチャート。じゃじゃーん。

作ってみて、そもそも家族をどう作るかって、自分の「したい・したくない」だけで決められないことが多すぎるから悩むのだなと思った。実家がうるさいとか、消滅可能性都市で跡取りがいないと困るとか。「生む機械」って言われたからとか、少子化だから子どもがいないとダメそうな感じがするとかも。

さらに言うと、最初の「子育てがしたい」ですら、昨今の子どもや親に厳しい社会を見ていると決めかねてしまうだろう。特に東京砂漠は「健康な身体を保つ20-50代くらいの男性」に最適化されているからなあ…

2018-12-29

家庭内パンデミックのおそろしさを知る


。それはすべての子育て家庭が恐れる季節

12月のある日。起き上がったけど全身がだるくて鼻水が止まらない。わたしの場合、風邪になるときには喉が痛くなるという兆候があるのだが、この日は突然やってきた。運悪く、翌日は裁判所での面談、そしてその翌日は大きな仕事のしめきり

状況を総合的に判断し、完治を目指して1日休むことにした。しめきりに向けてカバーしてくれる同僚に感謝しかない。育児も家事も夫が全部やってくれた。

功を奏して翌日午前中は起き上がれたので厚着&マスクで裁判所へ。急いで帰って、午後は前日分を取り戻すために家で仕事。この日は以前から夫が外せない仕事を入れていたので、子を抱えながら在宅勤務。電話がかかってきたときに、ことらが声を出さないかひやひやしていたら、案の定「きゃーーう!」と声を上げた。「かわいいっすねー!」と相手に気遣われる。

さらにその翌日はしめきりなので出社するが、夫が忘年会なので打合せを途中で抜けて17時ダッシュで帰宅。翌日は遅れた仕事を取り戻すべく残業。鼻水止まらなくて絶不調だが、夫婦で調整の結果、1つだけに絞った忘年会はもったいない精神が働いて参加してしまう。

なんてやっていたら治るわけもなく、その後3日間寝込むことになった。いつもだったらわたしの帰宅後、育児をバトンタッチをして夫が仕事にとりかかるのだが、それができない。遅れを取り戻すべく深夜まで働く夫。わたしがなんとか起き上がれるようになった頃、ことらが鼻水ずるずる、咳こんこん。なんとかやりすごせるか!?と思ったところで、今度は夫がダウンしたのであった。

知識としては知っていた。「家庭内パンデミック」の恐ろしさ。誰かがウィルスを持ち込み、家族が順番に発症。やっと完治したと思ったら、別のウィルスに感染して無限ループ。本当になるんだなあ、と妙に感慨深かった。

思えば、夫とのふたり暮らしのときにふたりでダウンすることはなかった。ダウンしたら休むことや相手の看病に専念できるからである。しかし子どもがいると、ごはん、おむつ替え、お風呂、ぐずったときの対応、寝かしつけなどなど、なかなか休息や看病だけというわけにはいかない。だから治りづらい。これは無限ループするわけだと身をもって実感したのであった。

休んだときの仕事も、復活後に残業すればなんとか取り戻せていた。でも、育児で時間の制約があるので残業する手段がとれないことも多い。また、自分がやっている仕事を改めて見返してみると、これまでなんの障害もなく残業できたからできていたことも多い。今までの仕事のやり方はbrute-forceというか「力づく」感があって、変えなければいけないなあと思った。無理することで体調崩すリスクも上がるだろうし。

夫とわたしは、「育児で無理をしない」というモットーを共有している。しかし、完全ツーオペならなんとかなるとたかをくくって、「仕事も無理をしない」という話はしたことがなかった。「これからはちゃんと健康管理をしよう」かすれ声で夫がつぶやいた。まったく同感だ。

2018-12-26

育児にメリットしかない専門家の家庭訪問



特別養子縁組で0歳児の「ことら(男・仮名)」がやってきた我が家。
子どもが来ると同時に、家族や友人などの訪問者が増えるというのは「あるある」だと思うが、我が家の場合はそれに加えて、各機関の方々がやってくる。各機関とは、

児童相談所の児童福祉司さん、児童心理司さん
支援団体のカウンセラーさん、保育士さん、助産師さん、看護師さん
家庭裁判所の調査員さん
・申立をお願いしている弁護士さん

である。これがなかなかいいので、よいところを書いておきたい。

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よいところ① 専門家に家のチェックをしてもらえる

まずはこれ。子どもを育てるにあたって、危険な箇所はないか専門家がチェックしてくれる。もちろん、母子手帳の中にも「起こりやすい事故」が書かれているんだけど、ふだんすごしている家をネガティブチェックするのはけっこう大変だし、複数の目で見てもらう方が断然効率がいい。我が家の場合、

・手が届くところに洗剤のストックがあるのは危ない(ドアロックをつける)
・床においてある観葉植物の土を食べちゃう(触れない場所に置く)
・姿見が倒れるかも(倒れないようにする)

なんていう指摘をもらった。子どもが動き始めてから気をつけることも多くて生まれてすぐでなくてもいいんだけど、生まれる前にやっておくと後が楽かもなーと思っている。


よいところ② すぐに相談できる

訪問の時には絶対に「なにか困っていることとか、不安なことはないですか?」と聞かれる。めちゃくちゃ心強い。専門家が見ている子どもの数は桁が違うし、知識も豊富なので、聞いて正しい回答がすぐに得られるのは本当に助かる。ぐぐって素人の経験談が書かれているフォーラムを見てもやもやする時間よ、さようなら。

・泣いたときにすぐだっこすると抱き癖がつくと言われたけど放置した方がいいのか(思う存分だっこしていい)
・ミルク飲み過ぎか(全然大丈夫だった

あたりを相談した。他にも裁判や自治体の手続き、予防接種などについても完全サポート。助かる。

よいところ③ 家が片付く

なんせ人がよくくるので、片付けやすい家にしようというインセンティブが働く。片付いている部屋は子どもに危なくないし、リラックスできるし、なによりルンバブルである!! 片付けやすい家はこんまりメソッドを参考にしている。が、これは完全に趣味の世界なので、みんなそうするべきという話ではない。


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ということで、個人的にはメリットばかりの家庭訪問。「訪問」にかまえてしまう人が多いかもしれないが、うまく利用すれば親にも子にもいい機会になるので、養子の家だけでなく、すべての乳児がいる家でもっと頻繁にやっていいんじゃないかなと思う。助産師さんの派遣をワンタイムでやっている自治体があるが、その回数を増やすのはどうだろう。

本当に余談なのだが、今回の我が家のケースは訪問者が全員女性である。ふだん仕事をしていて、関わる全員が女性ということがまずない技術職なので、新鮮だった。保育士さんに女性が多いように、子ども関連の仕事だと女性が多いとかあるのかしらー。


追記:
トップの画像は我が家のモデムラックです。お花や季節のものを飾ったり、冬は無印のディフューザーも置いちゃったりして。後ろの壁がプロジェクター投影用なので、あんまり大きいものを置くと夫がそっと撤去している。